連れ去られた先で頼まれたから異世界をプロデュースすることにしました。あっ、別に異世界転生とかしないです。普通に家に帰ります。 ② 

KZ

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天使のホワイトデー

ガールズトーク

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 ダメっ娘がチャンスを台無しにしたので、話は進まない。なので、足りないところを補填していきます。
 話が進まないのはダメっ娘のミカちゃんのせいです。では、始めます。

『ミカちゃん。キミ、具合が悪いというのは嘘だね?』

『──そんなことないわ! すごく具合が悪い!』

『ふーん。なら、れーとに言っていい?』

『な、な、何を? ごほっ、ごほっ……あー、あたまもいたいー』

『実は一緒にお風呂に入った時から気になっていたんだ。その似合わない日焼けのこととか。この甘い匂いのこととか。さっき、れーとからした匂いは、あの時のミカちゃんからしたし、今この部屋からもする! つまりヤツはこの場にいた。だが、れーとはミカちゃんには会っていないと思い込んでいる。何故なら──』

 と、いうことがあった。んっ……ちょっと違うや。これは忘れなさい。
 こっちだった。 ──こっちだって!

『ミカちゃん。本当はルシアちゃんとどうなりたいの?』

 こっちのガールズトークの話をするから。
 ミカちゃんの部屋に行った日に、れーとを追い返したあと、一愛いちかがミカちゃんと話したことをお伝えします。

『仲良くなりたい。姉妹のようになりたい。姉のようになりたい。そして敬われたい。尊敬されたい。それから──』

『──もういい! 分かったから。そうか。ミカちゃんはルシアちゃんをそう思っているのか。子供のころのままの距離感で、ルシアちゃんに接しているのが問題なのか。自覚がないのかアホの子なのか……』

『?』

『あるところに子供が2人いました。子供たちは気づいたら一緒にいて、気づいたら一緒に遊んでいました。はじめ2人の間には、何の溝もありませんでした。しかし、時が経つにつれ何故だか溝ができて、その溝はどんどん深まって広がっていきました。何でだと思う?』

『??』

『あのね、ずっと同じままはいられないんだよ。いつまでも子供じゃないよね? いろんなことを知って、いろんなことを考えて、いろんなことを言うようになる。その分だけ溝は深く広くなるんだよ。歳を重ねるごとに距離感は変化し、その時の丁度いい距離感にお互いが自分で気付かなくてはいけないんだよ。ミカちゃんはそれができてない』

 ミカちゃんはお姉ちゃん気質だと思う。
 きっと小さい頃は、ミカちゃんがルシアちゃんを引っ張っていっていたんだろう。
 そしてルシアちゃんは、今ほど元気な子ではなかったんだろう。

 ミカちゃんはお姉ちゃんぶりたいのではなく、自他ともにお姉ちゃんだったのだ。だけど、今のルシアちゃんはそれが嫌なんだろう。
 姉を気取るミカちゃんが、ポンコツだからかもしれないけどね。


 ※


『なるほど。ルシアちゃん的には、一愛いちかがれーとのことを、ウザいと思うのと同じような心境なのかもしれないな』

『い、一愛はレートをそんなふうに思ってるの?』

『当たり前じゃん。いつまでも子供扱いするし、出来るヤツを気取るし、正直言ってウザい。絶対に携帯の番号は教えない……。きっと何の用もないのに毎日かけてくるから。保護者気取りというか、過保護というか、それがウザいとも分からずにあれやこれやと……──本当にウザい!』

『まさか。ルシアも同じことを思っていたりは?』

『すると思う。控えめに言ってミカちゃんはウザい。ツンデレのくせにベタベタしてくるし、出来る姉を気取るし、いちいち突っかかってくるし。まあ、ウザいヤツだと思われているでしょう』

『そ、そんな……』

 まあ、そんなことは分かってるとも思う。
 ミカちゃんがそんなヤツだと、ルシアちゃんは分かっているだろう。
 付き合いの短い一愛でもそうなので。

『──重要なのは距離感! これだと思う』

『距離感?』

『いいかいミカちゃん。妹の立場から言わせてもらうと、ベタベタしないでほしい。いちいち構わないでほしい。1年くらい先に生まれたからって粋がらないでほしい。ルシアちゃんも世の中の妹も、みんなこう思っている』

『──言い切った! 嘘でも濁らせるべきところなのに、なんてズバズバ言うの……。レートはよくこんな妹と仲良くしているわ』

『ふん、別に頼んでいない。その話はいいから、距離感を考えていくよ。一愛のみたところ、ベタベタしすぎなんだよ。ルシアちゃんが可愛いのは分かるけど構いすぎだし。適切な距離感と、正しい自称お姉ちゃんの在り方を考えていくよ』

『自称!? 確かに本当のお姉ちゃんではないけど、自称なの。付けなくてよくない? というか付けないでほしい』

 こうしてお節介をするのは、なんかずっと見てきたからだね。似たような2人を。れーととお姉ちゃんを。
 あの2人もしょっちゅう喧嘩していた。
 どーでもいいことで、どーでもいい喧嘩して。どーでもよくなって仲直りしてる。
 一愛は『またやってるよ……』ずっとそう思ってた。

 だけどある時、仲直りしないで終わってしまった。そこから仲直りしないままで5年も経過した。
 そして5年もと言ったけど、本当は5年じゃきかなかったかもしれない。ずっと。もう永遠にそのままだったかもしれない。

 でも、一愛には何も出来なかった……。

 れーとをシメて済む話なら簡単だったけど、それで解決する話ではなかったから。
 当人同士で解決するしかない問題だったからだ。

 だから、お姉ちゃんから、れーとが謝りに来たと聞いた時はビックリした。『今更かよ』って思った。
 その理由もかなり自己中心的なものだったけど、重要なのは広がった溝を埋めた……いや、飛び越えたところだろう。

 流石だと思う。埋めなかったんだよ? 飛び越えたんだよ?
 飛び越えてから埋めていくのだろう。
 アレはそういうヤツだし、お姉ちゃんはそういうヤツだと知っている。

 しかしこれは、れーととお姉ちゃんの場合の話。ミカちゃんとルシアちゃんに当てはめた場合は違ってくる。
 まず、男女じゃない。そして、何がいいのかは分からないがお姉ちゃんは……何でもない。プライベートなことだった。


 ※


『ミカちゃんはルシアちゃんが好きである』

『はい。す、好きです』

『それはどのように? こう、ガバッといきたいというやつなのかな?』

『……ガバッとって何?』

『女の子として好きなのかということ。例えば、ルシアちゃんが結婚するとしたら?』

『内心面白くはないけど、それでルシアが幸せになるなら……なんとか……どうにか我慢する』

『なるほど。アタシと結婚しなさい! とは言わないと』

 このことからあくまでミカちゃんの好きは、お姉ちゃんから見た一愛いちか的な感じだと思われる。
 ルシアちゃんが妹であり、ミカちゃんが姉なのだ。
 ここにライバルという要素が加わるのが、この2人の問題なのか。ミカちゃんは姉であるから負けたくないし、ルシアちゃんは妹ではないから負けたくないと。

 一愛にはライバルはいないから分からないな……。お互いに認めているから、負けたくないんだとは思うんだけど。
 れーとが言っていた、対等な関係というやつだな。

『ルシアちゃんに負けてあげたら。お姉ちゃんでしょ? 姉に敵う妹はいないとか古いよ?』

『──断固拒否するわ! 力及ばず負けるならいざ知らず、わざと負けるなんて論外よ。それがなんであれ、アタシはルシアより優れていなくてはいけないのよ!』

『ふーん。間違いなく勝ってるのは胸だけだけどね』

『──他にもあるわよ!』

『ないよ。ない。無理すんな』

 わざと負けるなんて論外。か。
 これは、れーともお姉ちゃんも同じだろうか?
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