連れ去られた先で頼まれたから異世界をプロデュースすることにしました。あっ、別に異世界転生とかしないです。普通に家に帰ります。 ② 

KZ

文字の大きさ
56 / 101
天使のホワイトデー 後編

プロデューサーのターン!

しおりを挟む
♢4♢

 日付けは変わらず土曜日。バイトが終わり無事帰宅して、美味しい夕飯のあとだ。
 心優しい俺は怪我をして安静にと言われている、お姫様のところにお見舞いにやってきた。

 その際、本当は枕元に6匹並べる予定だった猫のぬいぐるみは、諸事情により1匹になってしまったが、予定通りにお見舞いの品として献上した。

「ふかふかー、やっぱり可愛いわね。猫」

「ふっ──、おまえのほうが可愛いぜ」

 このように大変お喜びになられているので良かったです。怪我の具合も良いようで、完全復活も近いとのことです。良かったです。

「…………。ねぇ、いい加減に返事したら? ずっと呼ばれてるわよ」

「何の話? ボクには何も聞こえないよ?」

 ミカとのバトルにより負傷したお姫様は、安静のためベッドに横になられており、俺は近くに椅子を持ってきて、それに座り話している。
 あと、いつもはお姫様の部屋の前に兵はいないが今はいる。

 彼女が怪我をしているので、現在警備はお姫様大好きマンたちにより厳重になっている。
 この様子では、俺ですら中に入れなかったかもしれない。
 そんな中、俺がどうやってお姫様の部屋に入ったのかは、俺の使う入り口がお姫様の部屋の中にあるからだ。分からない人は自分で読み返してくれ。

「あんたが来るまで、ずっとあんな感じよ。その上、まだ平然と無視するのね。彼らが何をしたのよ?」

 お姫様の部屋の前からは、『人間……いや、プロデューサーと言ったか。頼む、出てきてくれ!』『説明しろ。何がどうなっている!』『このままでは奥さんに殺される』『あわわわわっ──』とか聞こえるような気もしなくもない。ここき来てからずっとね。

「さぁ、知らないなぁ。仮に知っていてもお姫様には関係ない。だが、少し耳障りではあるね。仕方がないから、ぼちぼち相手をしてやろうかね。えらーい天使さんたちの」

 本来は朝からこうなる予定ではあった。だが、俺がバイトだったから。帰りに遊んできちゃったから。
 時間だけは過ぎ。気が気でない。自分ではどうしようもない、えらーい天使たちは慌てふためいている。

「……悪い顔してるわよ」

「嫌だなー、ボクは良い人だよ? みんな仲良く。これがモットーだからね。まあ、それが出来ないヤツにはちょっとだけ厳しく接するけどね」

 あと、調子に乗ってるヤツらとかね。


 ※


 お姫様の部屋では迷惑になるので、プロデューサーの部屋に移動してきた。
 後ろに、えらーい天使たちを引き連れて。
 しかし、大して広くはないこの部屋に、おっさんたちに集団で雪崩れ込まれても邪魔でしかないので、1人ずつ順番に話をしています。

「──あれは何だ!」

 こいつで……何人目なのかは数えてない。
 半分は過ぎたような気もするし、そろそろ終わりのような気もします。分からないけど、いなくなるまで同じことを繰り返すだけです!

「写真」

 最初はこれまで全員に、ほぼ同じ事を言われているので即答で返す。それも、この後も大して変化のない質問が繰り出されるのがパターン化している。
 よって、俺も同じ事を言う。

 このヒゲ天使(偉い)に言った写真とは、もちろん、ただの写真ではない。
 えらーい天使さんたちが、酒に酔って女の子にセクハラしている(ように見える)写真だ。

 実際のところを酔っ払いの天使たちは覚えていないし、証拠が実際に写真としてある。
 これが全てだ! 何が真実かなどどーーでもいい!
 重要なのは、俺は怒っているという点だ。
 怒らせてはいけないヤツがこの世にはいるんだと、調子こいてる天使たちに教えてやる。

「貴様、いったいどういうつもりで──」

「──思い出だ。良い事も、悪い事も思い出だ。文句があるなら全部買い占めたら? まあ、その度に無限にプリントするけどね。お買い上げありがとうございます! ザマァ──」

 写真の販売方法について説明すると、修学旅行とかのあれを採用している。
 写真が欲しい人は番号を伝えて欲しい写真を買うというやつだ。

 俺の徹夜作業により、姫祭り翌日から姫祭りの写真を城内で販売している。
 写真は3人のカメラマンによって撮影されているので、思い出になる良い写真もあれば、見せられないような悪い写真も存在している。というわけだ。

 ちなみに悪い写真というのは主に、えらーい天使たちのなので、彼らには別に写真のリストを配布した。
 ああ、場内には一応彼らの写真も貼り出してあるけどね。ざまあみやがれクソ天使共が!

「たかが人間の分際で……」

「思い上がるなよ、クソ天使。自分の不逞だろ? それに、誰に口を聞いてるのかなー。言ったろう。俺が責任者だと。俺の指示1つでアレが天国中に拡散してしまうよー。いいのかなー。奥さんとか娘さんとか、どう思うかなー」

「ぐっ……」

「なに、そう青い顔をするな。俺はもう1つの言ったはずだ。みんな仲良くと。何もキミたちを貶めるつもりはないんだ」

「なら、何が目的だ。金か! 地位か!」

「──俺をみくびるな! 金も地位もいらん! 異世界の通貨など必要ないし、地位はこうしてすでにあるからな!」

 おい、『うわぁ……』とか今思ったな?
 でも、本当のことだから! それが現実だから!

「悪魔め……。なら、何が望みだ?」

「とりあえずお姫様に土下座して謝ってこい。話はそれからだ。馬鹿にして申し訳ありませんでしたーって誠意を持って謝ってこい。いいか、頭は上げてくださいって言われるまで上げんなよ? 分かったらさっさと行け! このグズのエロ天使が!」

「それで皆、この部屋から走って出て行くのか!」

「そうだよ、とっとと走れ! はい、次の人ーー」

 と、このようにしてとりあえず全員に謝らせます。
 しかし、これは序の口です。本場はこれからです。


 ※


「こ、困るぞ。あんなものが出回ったら私は終わりだ……」

「嘘つけ。お前には奥さんいないだろ。誰に見られて困んだよ。というか少しは痩せたら? そして奥さんもらったら?」

 ヒゲの後にガリガリ。そしてこのデブ天使で、偉い天使たちは終わりなようだ。
 ガリガリとデブは独身貴族なので、写真程度ではダメかと思っていたのだが、こいつは違うらしい。

「えっ、痩せたらいいのか?」
「えっ、言ってみただけだけど?」

「「……」」

「──何なのだ! 困るのは事実なんだ。表沙汰になれは今の地位から転がり落ちるのは明白。そうなったら奥さんどころの話ではない……」

 ふむ、こいつも地位と金はあるんだ。
 それに反応を見るにモテたいらしいな。
 クズが何を言ってんだと思わなくもないが、使えるならば使う。

「なら、俺に協力しろ。クズでデブでも何とかなるかもしれない」

「酷い……」

「うるせぇ! やんのかやんねーのかだ! まあ、やらないと言っだ場合には、ちょっと口には出せないことになるけどな。お前、金と地位じゃモテないんだろ? なら、うってつけだと思うぜ。良い事をするやつは魅力的に見えるからな」

 ちょっと口には出せないことは、すでに天国内部で準備万端用意されている。
 協力者というか、話を持ちかけてきたナナシくんがスタンバイしている。
 電話一本で終わりになるというわけだね!

「良い事?」

「お前らの地位と金が人の役に立つんだ。見返りは何も無いが、あの人は良い人だというくらいは宣伝してやってもいいぞ?」

「しかし、私1人では……」

「それも分かってる。とはいえ、どうせ他のヤツらは嫌とは言えない。キミには、同じく奥さんがいないガリガリを説得してもらいたい。ヤツめ、生意気に首を縦に振らんのだ。やり方は他にもあるがめんどくさ……同じ天使から言われれば違うだろう。それに、満場一致でないと俺のイメージが悪くなる。上手いこと言ってガリガリにも積極的に協力させろ」

「分かった」

「よろしい。ならば、行きたまえ」

「……どこへ?」

「──お姫様のところだよ! 行って頭下げて来いや! 最後に全員でもう1回謝らせるが、テメェもさっさと行けや!」

 次回は会議室から始まる……。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】

のびすけ。
ファンタジー
気づけば侯爵家の三男として異世界に転生していた元プログラマー。 そこはどこか懐かしく、けれど想像以上に自由で――ちょっとだけ危険な世界。 幼い頃、命の危機をきっかけに前世の記憶が蘇り、 “とっておき”のチートで人生を再起動。 剣も魔法も、知識も商才も、全てを武器に少年は静かに準備を進めていく。 そして12歳。ついに彼は“新たなステージ”へと歩み出す。 これは、理想を形にするために動き出した少年の、 少し不思議で、ちょっとだけチートな異世界物語――その始まり。 【なろう掲載】

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

処理中です...