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天使のホワイトデー 後編
天使ちゃんとお出かけ
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「うわぁー、アレは何! あっちも何!?」
「少し落ち着きなさい。別に建物は逃げないから」
移動中の電車も、ここまでのバスも、歩きになった今も、見るもの全てが新しいミカは、ずーーっとはしゃいでいる。もうとんでもなくね。
俺は現在、前にお姫様を連れて出かけた時を、はるかに上回る勢いでミカに振り回されている。
ある程度は予想していたが、もう疲れてきたよ……。
あと、おばちゃんがくれた帽子を装備させ、目立ちまくりのミカの見た目も比較的目立たなくなっていたのに。これじゃあなんの意味もないよね。
「よくそんなに落ち着いていられるわね。レートは感情が死んでるんじゃないの!」
「キミは逆に感情が生き生きしすぎだよ。頼むから落ち着いてくれよ。まだ、目的地にも着いてないよ」
目的地は見えてはいるが、まだ到着してもいないのよ。
ミカがいちいち『アレは何?』と立ち止まり、それに向かって突進していくもんだから、全然前に進まないんだ。
「そんなの無理ね! それに、これでも我慢しているのよ。本当は飛んで上から見たいのよ?」
「絶対にやんなよ。リアル天使降臨ってニュースになるからな。もしやったら、お前は捕獲されて解剖されるからな」
「約束したし、騒ぎにはしないわ。アタシ、そんな怒られるのが分かりきっている事をするほど子供じゃないわよ」
もうさっきから騒ぎになってんだよー。ずっと周りから目立ってんだよー。
そうは思っても、とても楽しそうなので強くは言えない。可愛いし。
バレンタインの時のお姫様も、こうして出かけて来て、姫の重圧から解放された時はこんなんだったしな。
同じ姫の立場の天使ちゃんにも、同じような重圧からがあるのだろう。
まあ、ミカの場合は『もっと遊びたい』と言っていた気もするけどさ。今日のところは、はしゃいでも大目に見てあげようと思います。
「デパートはもうそこなんだから行きますよー」
「えー、向こうの高い建物に行きたい!」
「いかないよー。アレはただのビルだしね。それにデパートの方が楽しいよー」
「……言ったわね。もし楽しくなかったら、すぐにあそこに行くからね!」
「はいはい」
とりあえずバレンタインの時と同じデパートにやってきた。
何故かというと、バレンタインの際の売り場はそのままホワイトデーの売り場になっているからだ。
まずはここで基本を外さずにリサーチする。
俺もお返しを買わないといけないからね。お返しは5個買わないとだし。
「デパートね。外観からは楽しそうな雰囲気はない……しかし……」
「外観では中まで分からないから。つーか、あのビルは? アレは楽しそうなの? たぶん何もないただのビルだよ」
「高いじゃない」
「高いところが好きなのはバカだって言うよ? バカなの?」
「──今、バカって言った!?」
「言ってないよ。ほら、行きますよ」
さて、ようやくデパートの中に入ります。
目指すのはバレンタインと同じ3階。ホワイトデーの売り場です。
※
「「もぐもぐ」」
「美味しい。次はあれにしましょう」
「甘ぇ……」
俺はそろそろ限界が近い。だが、天使ちゃんは休む事なく次々と口に入れていく。
「「もぐもぐ」」
「これも美味しい。次は隣ね」
「甘い。甘いよ……」
もう、無理だ。限界だ。
そろそろ、先月と同じような感想を述べようと思う。
「もぐもぐ……どうしたの? 食べないの?」
「俺はもう無理だ。試食なら1人で続けてくれ」
「そう。ならそうするわ」
するんだ。まだ、食べるんだ……。化け物め。
お姫様とは違い人混みを気にしない天使ちゃん。
見た目の繊細な感じは嘘らしく、彼女に遠慮とか限界とかはないらしい。あのペースなら試食を難なくコンプリートするだろう。
というか、何これ?
ホワイトデーの売り場だよね。ここ?
めっちゃチョコレート売ってんだけど……。
なんか先月とほぼ内容が変わんないんだけど。
いつからホワイトデーはチョコを返すようになったの? 全然知らなかったんだけど。
いつのまにか『チョコあげたんだからチョコ返しないよ!』ってなったの? クッキーとかアメとかじゃなくて?
ホワイトデーの売り場にはそれらもあるけど、チョコレートが幅を取っている。
これはチョコレートの需要によって、クッキーとかの幅が狭くなっているということなんだろう。知らなかった。
マシュマロとか姿も見えないんだけど……。
こうなるとお返しはチョコレートなのか。
一愛とマコちゃんのお返しには、クッキーとかアメとかを考えていたんだがな。
時代に逆行するより、時代に対応した方が喜ばれるのかな?
「ふう、一周してきたわ」
「試食をコンプリートしたのか……。お姫様でも途中でやめたのに」
「またルシアに勝ってしまった!」
「こんなんで競うな。買いもしないんだから誇るな」
試食を食いまくった天使ちゃんですが、全部が初めてのことなので許してあげてください。
俺はちゃんと買うんで。でも、先月から思っていたのですが試食させすぎだと思いますよ。
「あら失礼ね。特に美味しかったやつは買うわよ」
「買うってお前、金は──」
「出掛けにナナシがくれたからあるわよ? ほら」
ミカの整理され、ハンドバッグのみになった荷物。その中には諭吉さんが見える。束のやつがだ。複数だ。それが直にハンドバッグに入っている。
「……」
「あれっ、もしかして足りない?」
「あの執事は馬鹿なのか。いや、そもそも何故これほどの諭吉さんが……」
異世界通貨である金貨とかではなく諭吉さんが見える。それも100人集まった諭吉さんが複数。
遊びに行くのだからお小遣いを渡すくらいは理解できるが、この額は絶対に頭おかしいだろ。
「ねぇ、足りないの?」
「諭吉さん1人いれば足りるだろうが、ちょっと買うやつを選んでレジには行かずに待ってなさい。執事に電話してくるから」
「うん?」
※
『プロデューサー殿。いかがいたしました?』
「ミカのハンドバッグの中身を見たんだが、お前は頭おかしいのか? それとも馬鹿なのか?」
『ああ、余裕があるように持たせたまでです。もしかすると足りませんでしたか?』
「──金銭感覚! 俺は姫であっても大事だと思うなぁーーっ、1回遊びに行くのにいくら持たせてんだ!」
『そうは言っても、プロデューサー殿の迷惑にならない程度には必要でしょう』
「俺の財布には諭吉さんが2人しか入ってないけど? これで十分だと思うけど!」
『まあまあ、全部、姫に買わせたらいいじゃないですか』
「──んな真似できるか! 俺は女子にたかるようなクズではない! たとえ自分より持っていたとしても、出すところは俺が出すつもりだ」
『それはやはりデートだか──ブツッ──」
あっ、なんか電話切れちゃった。掛けなおすのも迷惑だろうし、このままいくね?
大量の諭吉さんの事とか聞かなかったけど、見なかった事にすれば何も問題ない。何もなかったことにします。
「少し落ち着きなさい。別に建物は逃げないから」
移動中の電車も、ここまでのバスも、歩きになった今も、見るもの全てが新しいミカは、ずーーっとはしゃいでいる。もうとんでもなくね。
俺は現在、前にお姫様を連れて出かけた時を、はるかに上回る勢いでミカに振り回されている。
ある程度は予想していたが、もう疲れてきたよ……。
あと、おばちゃんがくれた帽子を装備させ、目立ちまくりのミカの見た目も比較的目立たなくなっていたのに。これじゃあなんの意味もないよね。
「よくそんなに落ち着いていられるわね。レートは感情が死んでるんじゃないの!」
「キミは逆に感情が生き生きしすぎだよ。頼むから落ち着いてくれよ。まだ、目的地にも着いてないよ」
目的地は見えてはいるが、まだ到着してもいないのよ。
ミカがいちいち『アレは何?』と立ち止まり、それに向かって突進していくもんだから、全然前に進まないんだ。
「そんなの無理ね! それに、これでも我慢しているのよ。本当は飛んで上から見たいのよ?」
「絶対にやんなよ。リアル天使降臨ってニュースになるからな。もしやったら、お前は捕獲されて解剖されるからな」
「約束したし、騒ぎにはしないわ。アタシ、そんな怒られるのが分かりきっている事をするほど子供じゃないわよ」
もうさっきから騒ぎになってんだよー。ずっと周りから目立ってんだよー。
そうは思っても、とても楽しそうなので強くは言えない。可愛いし。
バレンタインの時のお姫様も、こうして出かけて来て、姫の重圧から解放された時はこんなんだったしな。
同じ姫の立場の天使ちゃんにも、同じような重圧からがあるのだろう。
まあ、ミカの場合は『もっと遊びたい』と言っていた気もするけどさ。今日のところは、はしゃいでも大目に見てあげようと思います。
「デパートはもうそこなんだから行きますよー」
「えー、向こうの高い建物に行きたい!」
「いかないよー。アレはただのビルだしね。それにデパートの方が楽しいよー」
「……言ったわね。もし楽しくなかったら、すぐにあそこに行くからね!」
「はいはい」
とりあえずバレンタインの時と同じデパートにやってきた。
何故かというと、バレンタインの際の売り場はそのままホワイトデーの売り場になっているからだ。
まずはここで基本を外さずにリサーチする。
俺もお返しを買わないといけないからね。お返しは5個買わないとだし。
「デパートね。外観からは楽しそうな雰囲気はない……しかし……」
「外観では中まで分からないから。つーか、あのビルは? アレは楽しそうなの? たぶん何もないただのビルだよ」
「高いじゃない」
「高いところが好きなのはバカだって言うよ? バカなの?」
「──今、バカって言った!?」
「言ってないよ。ほら、行きますよ」
さて、ようやくデパートの中に入ります。
目指すのはバレンタインと同じ3階。ホワイトデーの売り場です。
※
「「もぐもぐ」」
「美味しい。次はあれにしましょう」
「甘ぇ……」
俺はそろそろ限界が近い。だが、天使ちゃんは休む事なく次々と口に入れていく。
「「もぐもぐ」」
「これも美味しい。次は隣ね」
「甘い。甘いよ……」
もう、無理だ。限界だ。
そろそろ、先月と同じような感想を述べようと思う。
「もぐもぐ……どうしたの? 食べないの?」
「俺はもう無理だ。試食なら1人で続けてくれ」
「そう。ならそうするわ」
するんだ。まだ、食べるんだ……。化け物め。
お姫様とは違い人混みを気にしない天使ちゃん。
見た目の繊細な感じは嘘らしく、彼女に遠慮とか限界とかはないらしい。あのペースなら試食を難なくコンプリートするだろう。
というか、何これ?
ホワイトデーの売り場だよね。ここ?
めっちゃチョコレート売ってんだけど……。
なんか先月とほぼ内容が変わんないんだけど。
いつからホワイトデーはチョコを返すようになったの? 全然知らなかったんだけど。
いつのまにか『チョコあげたんだからチョコ返しないよ!』ってなったの? クッキーとかアメとかじゃなくて?
ホワイトデーの売り場にはそれらもあるけど、チョコレートが幅を取っている。
これはチョコレートの需要によって、クッキーとかの幅が狭くなっているということなんだろう。知らなかった。
マシュマロとか姿も見えないんだけど……。
こうなるとお返しはチョコレートなのか。
一愛とマコちゃんのお返しには、クッキーとかアメとかを考えていたんだがな。
時代に逆行するより、時代に対応した方が喜ばれるのかな?
「ふう、一周してきたわ」
「試食をコンプリートしたのか……。お姫様でも途中でやめたのに」
「またルシアに勝ってしまった!」
「こんなんで競うな。買いもしないんだから誇るな」
試食を食いまくった天使ちゃんですが、全部が初めてのことなので許してあげてください。
俺はちゃんと買うんで。でも、先月から思っていたのですが試食させすぎだと思いますよ。
「あら失礼ね。特に美味しかったやつは買うわよ」
「買うってお前、金は──」
「出掛けにナナシがくれたからあるわよ? ほら」
ミカの整理され、ハンドバッグのみになった荷物。その中には諭吉さんが見える。束のやつがだ。複数だ。それが直にハンドバッグに入っている。
「……」
「あれっ、もしかして足りない?」
「あの執事は馬鹿なのか。いや、そもそも何故これほどの諭吉さんが……」
異世界通貨である金貨とかではなく諭吉さんが見える。それも100人集まった諭吉さんが複数。
遊びに行くのだからお小遣いを渡すくらいは理解できるが、この額は絶対に頭おかしいだろ。
「ねぇ、足りないの?」
「諭吉さん1人いれば足りるだろうが、ちょっと買うやつを選んでレジには行かずに待ってなさい。執事に電話してくるから」
「うん?」
※
『プロデューサー殿。いかがいたしました?』
「ミカのハンドバッグの中身を見たんだが、お前は頭おかしいのか? それとも馬鹿なのか?」
『ああ、余裕があるように持たせたまでです。もしかすると足りませんでしたか?』
「──金銭感覚! 俺は姫であっても大事だと思うなぁーーっ、1回遊びに行くのにいくら持たせてんだ!」
『そうは言っても、プロデューサー殿の迷惑にならない程度には必要でしょう』
「俺の財布には諭吉さんが2人しか入ってないけど? これで十分だと思うけど!」
『まあまあ、全部、姫に買わせたらいいじゃないですか』
「──んな真似できるか! 俺は女子にたかるようなクズではない! たとえ自分より持っていたとしても、出すところは俺が出すつもりだ」
『それはやはりデートだか──ブツッ──」
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