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天使のホワイトデー 後編
天使のホワイトデー ⑦
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♢16♢
今起きたことを順に説明しよう。
俺の中でも目の前で起きたことをしっかり、1回きちんと整理するためにも必要だからだ。
「……」
まず、お姫様がミカと手を繋いだ。遺恨のある天使と悪魔。その両陣営の姫が友好の握手した。
とはいえ、普段からそんなに仲悪いわけではないので、俺からしたら特に特別なことは思わない。
むしろ仲悪いどころか仲良しだし。お互いツンデレなだけだし。
「…………」
しかし、この様子を初めて見た異世界の人たちにとっては衝撃的だっただろう。
実際にアマテラスからの映像では、ビックリしている人が多いのが証拠だ。
例えるなら、軍事的緊張が高まっている国同士のトップが握手したくらいの衝撃はあるだろう。パフォーマンスだとしてもビックリするだろう。
まあ、んな例えはどうでもいいんだ。
「………………」
問題は次からだ。手を握られたミカは顔を真っ赤にし、何故だか自己紹介をし、ようやくの謝罪を口にして、どうしてだかお姫様に抱きついた。
この行動をあの天使ちゃん的に理解しようとすると、感極まった。ツンデレを隠したかった。チャンスと思った。などの理由が考えられるが、おそらく違うんじゃないかと思う。
「………………こ……」
『『こ?』』
何故なら彼女は、『それから……──好きです! 大好き!』と言ってるからだ。これはアレだね。アレ。4文字のやつだね。
「こ、告ったーーーー?! 何をとち狂ったのか知らないが、あの子告ったよ! どういうつもりなんだよ。これ、大々的に放送されてるけど!? 予定にまったくないんだけど!」
急に告白するとか、あのポンコツ天使は何を考えているんだ。
お姫様を好きなのは知ってたけども! 今じゃなくない? 気持ちを伝えるにしてもこの場面じゃなくない? ──いや、それよりも何よりもどうすんだよこれ! 放送事故じゃん!
『アマテラスもご主人様が好きだよ?』
「──お前は黙ってろ! CMだ。CMを入れて仕切り直すんだ! ミカを画面から消して、お詫びコメントをしなくては、──あれっ?」
『そっちじゃないよ? それは拡声器のボタンだよ。そっちも違うよ。ご主人様、少し取り乱しすぎだよ。落ち着きなよ。お姉様はまだOKしてないから』
「──んな話をしてんじゃねーんだよ! 7歳は黙ってなさい!」
冷静なら1回でできるであろう操作もできない! ワンタッチでできるはずなのに!
アマテラスに指摘されたように、俺は取り乱しているというのか。そんにゃバカにゃ……。
『アマテラスの言う通りです。落ち着きなさい。ミカエラに先を越されたからと悲観しない。告白のチャンスは貴方にもありますよ』
「──な、何を勘違いしていらっしゃるのか分かりませんが、ガブリエルさんがおっしゃるようなことはありません。とんだ言いがかりですわ!」
『なら、尚のこと問題ないのではないですか? 何とも思っていない相手なら、告白されたくらいで貴方が狼狽える必要もないですよね?』
「その通り。ぜんっぜんっ狼狽えてなんていませんとも! むしろミカを応援してあげたいくらいですとも!」
『貴方も本当に素直ではないですね』
なんかすっげーーっ、ガブリエルさんが楽しそう。
こないだお姫様にも嬉しそうだったりと、この人の感覚がよく分からない。
そんなに笑うようなとこではないと思う。むしろ慌てふためく場面だと思う!
『それにミカエラはどうであれ、ルシアさんは違うようですよ。さて、ここが貴方が選択するところ。貴方の真価が問われる場面です。どうするのですか? プロデューサーさん』
……この放送事故でしかない状態で、カメラを止めるなと。そう言うんだろうか?
普通はCMが入って、そのCM開けには問題の人物はぬいぐるみに差し替えられているのが普通だと思う。しかし、そうではないと言うのか?
『アマテラスが教えて──』
『余計なことは言わない! 彼が選ぶのです。まあ、この程度で退くような者に、世界など変えられませんがね』
俺の狼狽えに対して俺以外の大勢は、起こった出来事を食い入るように見ている。
そこには色々な感情があるだろうが、これを放送事故と思っているのは俺だけなのかもしれない。
異世界では全てが初めてなんだから。
『……マスター、それはいいの? 教えてない? それが良くてアマテラスの言おうとしたことはダメ──、やめて、くすぐらないで! あはははっ──、やめてーーっ』
『それが余計なことだと言うんです』
もしかするとガブリエルさんには未来でも見えているんだろうか? 割り込んできたタイミングも絶妙だったしな。未来か……。
俺にそんなものはまったく見えないが、これから起きる事なら分かる。まず間違いなくそうなるだろう。
そうすると俺が取るべき行動は──。
「──二クス、用意しろ! すぐに出番になるぞ。このまま行くからな。カメラは止めない!」
「このままですか? 一度、仕切り直すべきだと思いますが」
「いいんだよ。生放送にハプニングはつきものだ。それに、失敗した場合も反省文で済む」
流れを切らずにいく。CMは使わない!
えらーい天使の方たちには申し訳ないとも思わなくもないが……別に思わないかもしれない。
あんなモブキャラたちなど後回しで十分だし。
『……はぁ、はぁ……今、ご主人様。生って言った? 生でするのは危ないんだよ? でも、ご主人様がどうしてもしたいならアマテラスはいいよ……』
「──お前は手伝わないなら帰れ!」
※
さて、何が起きるのか分からない人がいるだろうから、教えてあげよう。
だいたい分かる人も付き合ってほしい。
「ミ、ミカ……いい加減に離して……。苦しいから。あんた力加減がおかしいから!」
「ルシアーーーー!」
だが、あれだ。もう俺がどうこう言うより、見た方が早いかもだ。
彼女たちは外用モードをやめたら──
「──苦しいから離せって言ってんのよ!」
「にゃあーーーーーーーーっ!?」
──こんな感じだ。俺、知ってた!
完成に予想通りだった。まったく予想を裏切らない結果だった!
詳しく描写すると、抱きつかれていたお姫様がキレて、力一杯抱きついていたミカをいつぞやのように背負い投げた。
そんで、ミカは羽根を出して空中で停止。
ここまでは前回と同じだが、前とは違っているところもある。お姫様も羽根を出せるというところが前回と違う。
「──何すんのよ、抱きしめ返してよ!」
「はぁ? そもそもなんで抱きつくのよ。ちゃんと打ち合わせした通りにしなさいよ! 本当にバカ!」
「バカって言った! バカって言うヤツがバカなのよ!」
「じゃあ、やっぱりあんたがバカなんじゃない。自分で言ってるわよ。バカって」
しかし、どうしてこうなんだろう。学習しないというか、いつも通りというか。
仲がいいからこうなるのかな? それともツンデレは合わさるとこうなるのかな?
「抱きしめ返してもくれない……。バカって言う……。アタシがこんなに頑張ってるのに……」
「少しくらい頑張ったからって、調子に乗りすぎなんじゃない?」
「……どういう意味よ……」
「さぁ、自分で考えたら? バカじゃないんでしょう?」
あっ、これガチなやつだ。もう2人とも映ってる自覚が無いやつだ。未だにこの映像は流れているのに、ガチな喧嘩が始まるやつだ。
しかし、ガチバトルはやらせない。
そのためのイケメンと俺の思いつき。プロデュースは我が妹だ。
「アマテラス、アングルは任せるから上手く撮れ。隠し撮りではなく番組的に上手くだぞ。ちゃんとやれよ?」
『はーい』
「ち・ゃ・ん・と・や・れ・よ?」
※
「えー、ここでプロデューサーからお知らせです。予定だった終戦宣言は後で改めて誰かにやらせます。で、本題です。ご覧のように姫たち2人は仲良しですが、ツンデレなのでよく揉めます。これからお伝えするのはその解決法。暴力は無くしかし勝ち負けはつく。そんな方法です」
『そんなほうほうがあるなんてー』
「皆さんが知らないのも無理はない。これはここではない世界のモノなのだから。これにより、我らの世界ではもはや暴力的にいき過ぎた争いはない。何故なら、脳筋はもう流行らない! 時代はeスポーツだからです!」
『ご主人様。流石にeスポーツは伝わらないよ。そもそもカードゲームはeスポーツではないよ』
「そうか……じゃあなんて呼ぶの? 商品名は使えなくないか? デュエルでもあやしと思ってるのに」
『とりあえずはデュエルでいいんじゃない? 決闘だし』
「──だって。まずは一度ご覧ください。ルールは分からなくても楽しめるようになっておりますので」
今起きたことを順に説明しよう。
俺の中でも目の前で起きたことをしっかり、1回きちんと整理するためにも必要だからだ。
「……」
まず、お姫様がミカと手を繋いだ。遺恨のある天使と悪魔。その両陣営の姫が友好の握手した。
とはいえ、普段からそんなに仲悪いわけではないので、俺からしたら特に特別なことは思わない。
むしろ仲悪いどころか仲良しだし。お互いツンデレなだけだし。
「…………」
しかし、この様子を初めて見た異世界の人たちにとっては衝撃的だっただろう。
実際にアマテラスからの映像では、ビックリしている人が多いのが証拠だ。
例えるなら、軍事的緊張が高まっている国同士のトップが握手したくらいの衝撃はあるだろう。パフォーマンスだとしてもビックリするだろう。
まあ、んな例えはどうでもいいんだ。
「………………」
問題は次からだ。手を握られたミカは顔を真っ赤にし、何故だか自己紹介をし、ようやくの謝罪を口にして、どうしてだかお姫様に抱きついた。
この行動をあの天使ちゃん的に理解しようとすると、感極まった。ツンデレを隠したかった。チャンスと思った。などの理由が考えられるが、おそらく違うんじゃないかと思う。
「………………こ……」
『『こ?』』
何故なら彼女は、『それから……──好きです! 大好き!』と言ってるからだ。これはアレだね。アレ。4文字のやつだね。
「こ、告ったーーーー?! 何をとち狂ったのか知らないが、あの子告ったよ! どういうつもりなんだよ。これ、大々的に放送されてるけど!? 予定にまったくないんだけど!」
急に告白するとか、あのポンコツ天使は何を考えているんだ。
お姫様を好きなのは知ってたけども! 今じゃなくない? 気持ちを伝えるにしてもこの場面じゃなくない? ──いや、それよりも何よりもどうすんだよこれ! 放送事故じゃん!
『アマテラスもご主人様が好きだよ?』
「──お前は黙ってろ! CMだ。CMを入れて仕切り直すんだ! ミカを画面から消して、お詫びコメントをしなくては、──あれっ?」
『そっちじゃないよ? それは拡声器のボタンだよ。そっちも違うよ。ご主人様、少し取り乱しすぎだよ。落ち着きなよ。お姉様はまだOKしてないから』
「──んな話をしてんじゃねーんだよ! 7歳は黙ってなさい!」
冷静なら1回でできるであろう操作もできない! ワンタッチでできるはずなのに!
アマテラスに指摘されたように、俺は取り乱しているというのか。そんにゃバカにゃ……。
『アマテラスの言う通りです。落ち着きなさい。ミカエラに先を越されたからと悲観しない。告白のチャンスは貴方にもありますよ』
「──な、何を勘違いしていらっしゃるのか分かりませんが、ガブリエルさんがおっしゃるようなことはありません。とんだ言いがかりですわ!」
『なら、尚のこと問題ないのではないですか? 何とも思っていない相手なら、告白されたくらいで貴方が狼狽える必要もないですよね?』
「その通り。ぜんっぜんっ狼狽えてなんていませんとも! むしろミカを応援してあげたいくらいですとも!」
『貴方も本当に素直ではないですね』
なんかすっげーーっ、ガブリエルさんが楽しそう。
こないだお姫様にも嬉しそうだったりと、この人の感覚がよく分からない。
そんなに笑うようなとこではないと思う。むしろ慌てふためく場面だと思う!
『それにミカエラはどうであれ、ルシアさんは違うようですよ。さて、ここが貴方が選択するところ。貴方の真価が問われる場面です。どうするのですか? プロデューサーさん』
……この放送事故でしかない状態で、カメラを止めるなと。そう言うんだろうか?
普通はCMが入って、そのCM開けには問題の人物はぬいぐるみに差し替えられているのが普通だと思う。しかし、そうではないと言うのか?
『アマテラスが教えて──』
『余計なことは言わない! 彼が選ぶのです。まあ、この程度で退くような者に、世界など変えられませんがね』
俺の狼狽えに対して俺以外の大勢は、起こった出来事を食い入るように見ている。
そこには色々な感情があるだろうが、これを放送事故と思っているのは俺だけなのかもしれない。
異世界では全てが初めてなんだから。
『……マスター、それはいいの? 教えてない? それが良くてアマテラスの言おうとしたことはダメ──、やめて、くすぐらないで! あはははっ──、やめてーーっ』
『それが余計なことだと言うんです』
もしかするとガブリエルさんには未来でも見えているんだろうか? 割り込んできたタイミングも絶妙だったしな。未来か……。
俺にそんなものはまったく見えないが、これから起きる事なら分かる。まず間違いなくそうなるだろう。
そうすると俺が取るべき行動は──。
「──二クス、用意しろ! すぐに出番になるぞ。このまま行くからな。カメラは止めない!」
「このままですか? 一度、仕切り直すべきだと思いますが」
「いいんだよ。生放送にハプニングはつきものだ。それに、失敗した場合も反省文で済む」
流れを切らずにいく。CMは使わない!
えらーい天使の方たちには申し訳ないとも思わなくもないが……別に思わないかもしれない。
あんなモブキャラたちなど後回しで十分だし。
『……はぁ、はぁ……今、ご主人様。生って言った? 生でするのは危ないんだよ? でも、ご主人様がどうしてもしたいならアマテラスはいいよ……』
「──お前は手伝わないなら帰れ!」
※
さて、何が起きるのか分からない人がいるだろうから、教えてあげよう。
だいたい分かる人も付き合ってほしい。
「ミ、ミカ……いい加減に離して……。苦しいから。あんた力加減がおかしいから!」
「ルシアーーーー!」
だが、あれだ。もう俺がどうこう言うより、見た方が早いかもだ。
彼女たちは外用モードをやめたら──
「──苦しいから離せって言ってんのよ!」
「にゃあーーーーーーーーっ!?」
──こんな感じだ。俺、知ってた!
完成に予想通りだった。まったく予想を裏切らない結果だった!
詳しく描写すると、抱きつかれていたお姫様がキレて、力一杯抱きついていたミカをいつぞやのように背負い投げた。
そんで、ミカは羽根を出して空中で停止。
ここまでは前回と同じだが、前とは違っているところもある。お姫様も羽根を出せるというところが前回と違う。
「──何すんのよ、抱きしめ返してよ!」
「はぁ? そもそもなんで抱きつくのよ。ちゃんと打ち合わせした通りにしなさいよ! 本当にバカ!」
「バカって言った! バカって言うヤツがバカなのよ!」
「じゃあ、やっぱりあんたがバカなんじゃない。自分で言ってるわよ。バカって」
しかし、どうしてこうなんだろう。学習しないというか、いつも通りというか。
仲がいいからこうなるのかな? それともツンデレは合わさるとこうなるのかな?
「抱きしめ返してもくれない……。バカって言う……。アタシがこんなに頑張ってるのに……」
「少しくらい頑張ったからって、調子に乗りすぎなんじゃない?」
「……どういう意味よ……」
「さぁ、自分で考えたら? バカじゃないんでしょう?」
あっ、これガチなやつだ。もう2人とも映ってる自覚が無いやつだ。未だにこの映像は流れているのに、ガチな喧嘩が始まるやつだ。
しかし、ガチバトルはやらせない。
そのためのイケメンと俺の思いつき。プロデュースは我が妹だ。
「アマテラス、アングルは任せるから上手く撮れ。隠し撮りではなく番組的に上手くだぞ。ちゃんとやれよ?」
『はーい』
「ち・ゃ・ん・と・や・れ・よ?」
※
「えー、ここでプロデューサーからお知らせです。予定だった終戦宣言は後で改めて誰かにやらせます。で、本題です。ご覧のように姫たち2人は仲良しですが、ツンデレなのでよく揉めます。これからお伝えするのはその解決法。暴力は無くしかし勝ち負けはつく。そんな方法です」
『そんなほうほうがあるなんてー』
「皆さんが知らないのも無理はない。これはここではない世界のモノなのだから。これにより、我らの世界ではもはや暴力的にいき過ぎた争いはない。何故なら、脳筋はもう流行らない! 時代はeスポーツだからです!」
『ご主人様。流石にeスポーツは伝わらないよ。そもそもカードゲームはeスポーツではないよ』
「そうか……じゃあなんて呼ぶの? 商品名は使えなくないか? デュエルでもあやしと思ってるのに」
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