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第二章 旅の始まり
第二十三話 いざ冒険者ギルドのある町へ
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目眩や疲労感が抜けた後で戦闘の後始末を手伝っていると、もう夕方になっていた。
冒険者ギルドからの増援は明日の昼間までには到着予定と、アルセンの魔法通信に連絡があったらしい。
連絡を受けてから、アルセン達はもう自分達の家に戻りたそうに見えた。
俺は明日の朝一番に村を出発すると話をして、カレンの待つ小屋へと向かった。
小屋に戻ると、カレンが夕食を作っていた。
マスタングに積んでいた食材で作ってくれたのだろう。
「イズミさん、夕食を作ってみました。口に合えば良いのですが」
目の前にパンと野菜スープが出て来た。
エルフが食べられるように、肉類は入っていない。
色鮮やかで湯気が出ているスープは、見ているだけで食欲を刺激された。
「ありがとう、頂きます」
俺は早速スープを飲んでみる。
下処理が上手いのか野菜自体も良いのか、甘みを感じる葉野菜の食感が良い。
調味料を使っていないだろうスープも、野菜の旨味が溶け出しているのか身に沁みる。
「美味しいよカレン、ありがとう」
俺はカレンの目を見て、感謝の言葉を紡いだ。
夕食を食べ終え、カレンに明日の朝一番で村を出発すると説明した。
自由時間を与えた所、カレンはアルセン達と一緒にいる魔術師と話をしに出かけた。
俺は小屋の中で1人、トレーニングを始めた。
手始めに柔軟運動をして、腕立て伏せとスクワットで身体を温めた。
メインは肩からぶら下げた重量物だ。
このリボルバーは映画で見た物と同じサイズに見える。
バレルが長めなので、取り回しに難があるのだ。
もう少しバレルの短いモデルでも良いと思うのだが…
如何せん銃が重いので、取り扱いに慣れが必要だ。
弾を取り出してポケットに仕舞い、ホルスターから円滑にリボルバーを抜く練習を始める。
右手がリボルバーのグリップを握る。
銃口が自分の身体の上を通過しないように注意しつつ、正面に向けて構える。
それを何度も、何度も繰り返し練習した。
『ゆっくりは丁寧、丁寧は速い』
そんな映画の台詞を思い出しつつ、1つひとつの動作を確認していった。
今の俺の筋力では、片手のみで構えて連射するのは厳しいと言わざるをえない。
シングルアクションであれば狙えても、ダブルアクションだと引き金が重くて絞りの途中で狙いがぶれてしまう。
終いには腕がぷるぷると震えてしまい、しっかりと狙って撃てるとはお世辞にも言えない状態だった。
「映画みたいには出来ないか」
劇中のヒーロー達に思いを馳せつつ、俺はトレーニングを終えて汗に濡れた身体を拭いて、リボルバーに弾を込めてホルスターに仕舞った。
やはり…重い。
俺は明日に備えて眠る事にした。
カレンはまだ帰ってきていないが、問題無いだろう。
瞼を閉じたら、直ぐに睡魔が襲って来た。
翌朝、昨日カレンが作ってくれたスープを飲んでから、アルセン達に挨拶をして村を出発した。
距離があってもマスタングなら問題無いが、途中で休憩をはさみつつ車を走らせた。
ナビ通りに進んでいるが、周囲の景色に代わり映えが無く、下手に動いたら迷子になりそうだ。
「なぁカレン。冒険者ギルドへの用事が済んだら、何処に行きたい?」
カレンに尋ねてみる。
俺には冒険者ギルドの支店がある町に行って、ギルドへの登録をする以降の予定が無かったからだ。
…行き当たりばったりで、登録してから考えるつもりでいた。
一人旅なら良いが、今の俺にはカレンがいる。
それで行先未定はマズイだろう。
「そうですね…皇国の首都方面とかであれば、食料の調達も出来ますしイズミさんも楽しめるかもしれません」
皇国か…
マスタングに確認すると、かなり広大な領土らしい。
それも良さそうだと思った時、ふとカレンの話が脳裏を過ぎった。
「確か戦争の影響で故郷を避難したんだっけか?」
カレンに確認する。
「はい。もう1月程前になりますが」
そう言ってカレンはナビに触れて、故郷の場所を探し始めた。
思った程遠くない。
馬車だと半月程度の距離の場所だった。
「よし。ギルドへの用事が済んだら、カレンの故郷に向かうとしよう」
…もしかしたら両親にも会えるかもしれないからな。
「良いのですか?私はイズミさんに買われた身ですので、そこまでに気を使われなくても…」
俺はカレンの言葉を遮った。
「俺がそうしたいんだ…俺は二度と両親に会えない。友人と話す事も出来ない…二度とな」
「だがカレンは違う。両親が死んでさえいなければ、会える可能性があるんだ。これは俺の置かれた状況とは雲泥の差だ」
自分で言っていて泣けてくる話だ。
理解していても、言葉にすると辛いものだな。
「イズミさん…ありがとうございます」
カレンの声は、心なしか潤んでいるように聞こえた。
町に着いてからの行動リストを思い浮かべつつ、マスタングを走らせていると少し離れた所に移動中の馬車が見えた。
冒険者ギルドの増援だろう。
俺は馬車の邪魔にならないように道を譲る。
両者とも速度を落としつつ、軽い挨拶を交わした。
「冒険者ギルドの増援か?村でアルセン達が待ってるぜ」
相手も挨拶を返してくれたので、馬車の馬がマスタングのエンジン音に驚かないだろう距離を取ってから、アクセルを踏み込んだ。
冒険者ギルドからの増援は明日の昼間までには到着予定と、アルセンの魔法通信に連絡があったらしい。
連絡を受けてから、アルセン達はもう自分達の家に戻りたそうに見えた。
俺は明日の朝一番に村を出発すると話をして、カレンの待つ小屋へと向かった。
小屋に戻ると、カレンが夕食を作っていた。
マスタングに積んでいた食材で作ってくれたのだろう。
「イズミさん、夕食を作ってみました。口に合えば良いのですが」
目の前にパンと野菜スープが出て来た。
エルフが食べられるように、肉類は入っていない。
色鮮やかで湯気が出ているスープは、見ているだけで食欲を刺激された。
「ありがとう、頂きます」
俺は早速スープを飲んでみる。
下処理が上手いのか野菜自体も良いのか、甘みを感じる葉野菜の食感が良い。
調味料を使っていないだろうスープも、野菜の旨味が溶け出しているのか身に沁みる。
「美味しいよカレン、ありがとう」
俺はカレンの目を見て、感謝の言葉を紡いだ。
夕食を食べ終え、カレンに明日の朝一番で村を出発すると説明した。
自由時間を与えた所、カレンはアルセン達と一緒にいる魔術師と話をしに出かけた。
俺は小屋の中で1人、トレーニングを始めた。
手始めに柔軟運動をして、腕立て伏せとスクワットで身体を温めた。
メインは肩からぶら下げた重量物だ。
このリボルバーは映画で見た物と同じサイズに見える。
バレルが長めなので、取り回しに難があるのだ。
もう少しバレルの短いモデルでも良いと思うのだが…
如何せん銃が重いので、取り扱いに慣れが必要だ。
弾を取り出してポケットに仕舞い、ホルスターから円滑にリボルバーを抜く練習を始める。
右手がリボルバーのグリップを握る。
銃口が自分の身体の上を通過しないように注意しつつ、正面に向けて構える。
それを何度も、何度も繰り返し練習した。
『ゆっくりは丁寧、丁寧は速い』
そんな映画の台詞を思い出しつつ、1つひとつの動作を確認していった。
今の俺の筋力では、片手のみで構えて連射するのは厳しいと言わざるをえない。
シングルアクションであれば狙えても、ダブルアクションだと引き金が重くて絞りの途中で狙いがぶれてしまう。
終いには腕がぷるぷると震えてしまい、しっかりと狙って撃てるとはお世辞にも言えない状態だった。
「映画みたいには出来ないか」
劇中のヒーロー達に思いを馳せつつ、俺はトレーニングを終えて汗に濡れた身体を拭いて、リボルバーに弾を込めてホルスターに仕舞った。
やはり…重い。
俺は明日に備えて眠る事にした。
カレンはまだ帰ってきていないが、問題無いだろう。
瞼を閉じたら、直ぐに睡魔が襲って来た。
翌朝、昨日カレンが作ってくれたスープを飲んでから、アルセン達に挨拶をして村を出発した。
距離があってもマスタングなら問題無いが、途中で休憩をはさみつつ車を走らせた。
ナビ通りに進んでいるが、周囲の景色に代わり映えが無く、下手に動いたら迷子になりそうだ。
「なぁカレン。冒険者ギルドへの用事が済んだら、何処に行きたい?」
カレンに尋ねてみる。
俺には冒険者ギルドの支店がある町に行って、ギルドへの登録をする以降の予定が無かったからだ。
…行き当たりばったりで、登録してから考えるつもりでいた。
一人旅なら良いが、今の俺にはカレンがいる。
それで行先未定はマズイだろう。
「そうですね…皇国の首都方面とかであれば、食料の調達も出来ますしイズミさんも楽しめるかもしれません」
皇国か…
マスタングに確認すると、かなり広大な領土らしい。
それも良さそうだと思った時、ふとカレンの話が脳裏を過ぎった。
「確か戦争の影響で故郷を避難したんだっけか?」
カレンに確認する。
「はい。もう1月程前になりますが」
そう言ってカレンはナビに触れて、故郷の場所を探し始めた。
思った程遠くない。
馬車だと半月程度の距離の場所だった。
「よし。ギルドへの用事が済んだら、カレンの故郷に向かうとしよう」
…もしかしたら両親にも会えるかもしれないからな。
「良いのですか?私はイズミさんに買われた身ですので、そこまでに気を使われなくても…」
俺はカレンの言葉を遮った。
「俺がそうしたいんだ…俺は二度と両親に会えない。友人と話す事も出来ない…二度とな」
「だがカレンは違う。両親が死んでさえいなければ、会える可能性があるんだ。これは俺の置かれた状況とは雲泥の差だ」
自分で言っていて泣けてくる話だ。
理解していても、言葉にすると辛いものだな。
「イズミさん…ありがとうございます」
カレンの声は、心なしか潤んでいるように聞こえた。
町に着いてからの行動リストを思い浮かべつつ、マスタングを走らせていると少し離れた所に移動中の馬車が見えた。
冒険者ギルドの増援だろう。
俺は馬車の邪魔にならないように道を譲る。
両者とも速度を落としつつ、軽い挨拶を交わした。
「冒険者ギルドの増援か?村でアルセン達が待ってるぜ」
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