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第三章 無宿人の宿命
第二十五話 ナイフと女騎士
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カレンが冒険者ギルドの仮登録に関する説明を受けている。
終わったら魔法通信で連絡するように伝えて、俺はギルドを後にした。
煙草でも吸いたい気分だ。
…持って無いけどな。
一旦車に戻り、アーリアに連絡した。
報告しておいた方が良いと思ったのだ。
「えぇ!?通らなかったの?」
驚くアーリアに事情を説明した。
魔術師達の殆どが超長命で時間にルーズ…無頓着と言って良いレベルだった。
20年程度の時差は誤差レベルのようだ。
長寿命ってのも考えものだな。
アーリアが転移して来て、直前謝られた。
こういった所は律儀だと思う。
俺はアーリアが来たついでに、ラムネを実体化して渡した。
俺とカレンの分を車内に置いた所で、アーリアは1本飲み始めていた。
「コレよコレ!この甘さと泡がクセになるのよ」
俺はアーリアと別れて、武器屋に向かった。
ギルド登録は出来なかったが、ナイフは見ておきたかったのだ。
武器屋に着くと店主のオジサンが掃除をしていた。
「よぉ兄ちゃん、登録はどうだった?」
駄目だったと告げて店の奥へ向かう俺の後ろを店主が追う。
「無宿者はお断りだとさ」
これ以上は愚痴になりそうなので止めにして、気になったナイフを取り出してもらった。
刃渡りは15cmも無いくらいだろうか?
厚みはそんなでも無いが、護身用にはありだと思う。
俺のいた世界のナイフで言う、サブヒルトが付いていた。
店主に触れても良いかどうか、確認をしようとした時だった。
「すまない、頼んでいたレイピアを受け取りに来た」
入口から女性の声が聞こえた。
顔を少し傾けて見ると、胴体部分だけは甲冑を来た女が立っていた。
店主は武器を取りに店の奥に姿を消した。
そのタイミングで、その女と目があってしまった。
「見慣れぬ服装だな…旅の冒険者か?」
そんな所だ、と軽く答える。
「目立ち過ぎると小悪党に目を付けられるぞ、冒険者なら防具屋に行くと良い。案内しようか?」
冒険者ギルドから登録を拒否されたがな。と俺は笑って返してから、ナイフの購入で待たせるのも悪いと提案を断った。
レイピアを受け取った女は、店の広間で確認を始めた。
店主が戻って来たので、ナイフの商談を始める。
「コイツは魔術師が錬成した、錆びない鉄で作ったナイフだ」
手渡されたナイフを握り、軽く振ってみる。
バランスは良さそうだ。
「斬れ味や強度は俺達ドワーフ族が精錬する物より落ちるが、その分安い。ちゃんと使えるぞ、それは保証しよう」
値段は銀貨で20枚と言われた。
相場が分からないが、気に入ったので購入を決めた。
ナイフのシースは選べるらしく、俺は腰に着けられる物を選んだ。
店主に銀貨を渡して受け取りを済ませると、外で騒ぎが起きていた。
覗いてみると巨大な角と牙を持った大男が暴れ回っていた。
ギルドの人間達が止めに入るも、力で押し負けてしまっている。
避難する民間人の波を避けつつ、興味本位で眺めていた。
「お前は物好きなのか?あの魔獣化したオーガは暫く止まらんぞ」
右側から声をかけられたので、向いてみると先程の女がいた。
「ギルドの連中がどうやって仕留めるのか、興味があるだけさ」
俺はナイフをズボンのポケットにねじ込み、腕を組みつつ答えた。
さり気なく右手でリボルバーのグリップを握っておいた。
近くにギルドの戦士が飛んで来た。
オーガに投げ飛ばされたのだ。
「これでは町の被害が広がるな…私も手伝おう!」
女はレイピアを取り出してギルドに加勢した。
「イズミさん?カレンです。説明を聞き終わりました」
盛り上がる良い所ではあったが、カレンからの魔法通信があったので迎えに行くとしよう。
オーガの方を見るとギルド連中の攻撃魔法もあまり効いていないのか、未だに元気良く暴れ回っている。
あの女は1人でオーガと対峙していた。
他のギルド連中も戦ってはいるが、民間人の避難とで手一杯に見える。
俺はお節介かもしれないが、助け舟をだす事にした。
オーガの攻撃を避けて後退した女に声をかける。
「おい!オーガは殺しても良いのか?」
女は振り返らずに答えた。
「町での殺生は駄目だ」
殺さずにオーガを止めるには…
足を撃つしか方法が思い浮かばなかった。
「そう言えば、名前を聞いて無かったな」
俺の言葉を加勢と受け取ったのか、女はレイピアを構え直した。
「フレイルだ。お前は?」
俺はリボルバーを取り出して、フレイルの隣に立った。
「イズミだ…オーガの動きを止めてくれ。1秒で構わない」
フレイルはオーガに近付き、飛んで斬りかかった。
その瞬間に防御姿勢を取ったオーガの足の動きが止まる。
俺は素早く狙いやすい場所まで移動し、しっかりと両手で狙いを定めて引き金を2度引いた。
反動は思っていたより少なかったが、80年代の刑事ドラマで使われたかのような銃声が響いた。
オーガの膝辺りに弾が命中して、バランスを崩して倒れ込んだ。
その瞬間にギルド連中が捕縛魔法を掛けた。
オーガが捕縛されたのを確認した俺は、一呼吸置いてから何事も無かったかのようにリボルバーを仕舞った。
これ以上目立つと後々面倒くさい事になりそうだしな。
フレイルやギルド連中がオーガの対応をしている間に、そそくさとカレンの迎えに行くため群衆の中に紛れて移動をした。
冒険者ギルド支店でカレンに合流すると、カレンから嬉しい報告があった。
「故郷で小規模ながら復興作業が始まっていて、両親の無事も分かったんです」
これは吉報だ。
再会の目処が立ったのだから。
「良かったな、カレン」
俺はカレンの肩を叩き、忘れていた食料の購入を再開しようと支店を出た。
「イズミとやら、探したぞ」
支店を出たらフレイルが待ち構えていた。
手には俺が購入したナイフを持っている。
腰に手を当てて探すと、ナイフが消えていた。
「さっき落としただろう?届けようと追い掛けてきたのさ」
フレイルは俺が冒険者ギルドの登録を拒否されたのを憶えていたのか、オーガとの戦闘の件を伏せてくれていた。
「ありがとう、気付かなかったよ」
俺はフレイルにお礼を言った後、カレンに紹介をする。
ここで立ち話ってのはギルド関係者に迷惑がかかると言って、馬車置場へと向かう事にした。
どうせギルドの近くにいたら、オーガ騒ぎで何か言われそうだしな。
終わったら魔法通信で連絡するように伝えて、俺はギルドを後にした。
煙草でも吸いたい気分だ。
…持って無いけどな。
一旦車に戻り、アーリアに連絡した。
報告しておいた方が良いと思ったのだ。
「えぇ!?通らなかったの?」
驚くアーリアに事情を説明した。
魔術師達の殆どが超長命で時間にルーズ…無頓着と言って良いレベルだった。
20年程度の時差は誤差レベルのようだ。
長寿命ってのも考えものだな。
アーリアが転移して来て、直前謝られた。
こういった所は律儀だと思う。
俺はアーリアが来たついでに、ラムネを実体化して渡した。
俺とカレンの分を車内に置いた所で、アーリアは1本飲み始めていた。
「コレよコレ!この甘さと泡がクセになるのよ」
俺はアーリアと別れて、武器屋に向かった。
ギルド登録は出来なかったが、ナイフは見ておきたかったのだ。
武器屋に着くと店主のオジサンが掃除をしていた。
「よぉ兄ちゃん、登録はどうだった?」
駄目だったと告げて店の奥へ向かう俺の後ろを店主が追う。
「無宿者はお断りだとさ」
これ以上は愚痴になりそうなので止めにして、気になったナイフを取り出してもらった。
刃渡りは15cmも無いくらいだろうか?
厚みはそんなでも無いが、護身用にはありだと思う。
俺のいた世界のナイフで言う、サブヒルトが付いていた。
店主に触れても良いかどうか、確認をしようとした時だった。
「すまない、頼んでいたレイピアを受け取りに来た」
入口から女性の声が聞こえた。
顔を少し傾けて見ると、胴体部分だけは甲冑を来た女が立っていた。
店主は武器を取りに店の奥に姿を消した。
そのタイミングで、その女と目があってしまった。
「見慣れぬ服装だな…旅の冒険者か?」
そんな所だ、と軽く答える。
「目立ち過ぎると小悪党に目を付けられるぞ、冒険者なら防具屋に行くと良い。案内しようか?」
冒険者ギルドから登録を拒否されたがな。と俺は笑って返してから、ナイフの購入で待たせるのも悪いと提案を断った。
レイピアを受け取った女は、店の広間で確認を始めた。
店主が戻って来たので、ナイフの商談を始める。
「コイツは魔術師が錬成した、錆びない鉄で作ったナイフだ」
手渡されたナイフを握り、軽く振ってみる。
バランスは良さそうだ。
「斬れ味や強度は俺達ドワーフ族が精錬する物より落ちるが、その分安い。ちゃんと使えるぞ、それは保証しよう」
値段は銀貨で20枚と言われた。
相場が分からないが、気に入ったので購入を決めた。
ナイフのシースは選べるらしく、俺は腰に着けられる物を選んだ。
店主に銀貨を渡して受け取りを済ませると、外で騒ぎが起きていた。
覗いてみると巨大な角と牙を持った大男が暴れ回っていた。
ギルドの人間達が止めに入るも、力で押し負けてしまっている。
避難する民間人の波を避けつつ、興味本位で眺めていた。
「お前は物好きなのか?あの魔獣化したオーガは暫く止まらんぞ」
右側から声をかけられたので、向いてみると先程の女がいた。
「ギルドの連中がどうやって仕留めるのか、興味があるだけさ」
俺はナイフをズボンのポケットにねじ込み、腕を組みつつ答えた。
さり気なく右手でリボルバーのグリップを握っておいた。
近くにギルドの戦士が飛んで来た。
オーガに投げ飛ばされたのだ。
「これでは町の被害が広がるな…私も手伝おう!」
女はレイピアを取り出してギルドに加勢した。
「イズミさん?カレンです。説明を聞き終わりました」
盛り上がる良い所ではあったが、カレンからの魔法通信があったので迎えに行くとしよう。
オーガの方を見るとギルド連中の攻撃魔法もあまり効いていないのか、未だに元気良く暴れ回っている。
あの女は1人でオーガと対峙していた。
他のギルド連中も戦ってはいるが、民間人の避難とで手一杯に見える。
俺はお節介かもしれないが、助け舟をだす事にした。
オーガの攻撃を避けて後退した女に声をかける。
「おい!オーガは殺しても良いのか?」
女は振り返らずに答えた。
「町での殺生は駄目だ」
殺さずにオーガを止めるには…
足を撃つしか方法が思い浮かばなかった。
「そう言えば、名前を聞いて無かったな」
俺の言葉を加勢と受け取ったのか、女はレイピアを構え直した。
「フレイルだ。お前は?」
俺はリボルバーを取り出して、フレイルの隣に立った。
「イズミだ…オーガの動きを止めてくれ。1秒で構わない」
フレイルはオーガに近付き、飛んで斬りかかった。
その瞬間に防御姿勢を取ったオーガの足の動きが止まる。
俺は素早く狙いやすい場所まで移動し、しっかりと両手で狙いを定めて引き金を2度引いた。
反動は思っていたより少なかったが、80年代の刑事ドラマで使われたかのような銃声が響いた。
オーガの膝辺りに弾が命中して、バランスを崩して倒れ込んだ。
その瞬間にギルド連中が捕縛魔法を掛けた。
オーガが捕縛されたのを確認した俺は、一呼吸置いてから何事も無かったかのようにリボルバーを仕舞った。
これ以上目立つと後々面倒くさい事になりそうだしな。
フレイルやギルド連中がオーガの対応をしている間に、そそくさとカレンの迎えに行くため群衆の中に紛れて移動をした。
冒険者ギルド支店でカレンに合流すると、カレンから嬉しい報告があった。
「故郷で小規模ながら復興作業が始まっていて、両親の無事も分かったんです」
これは吉報だ。
再会の目処が立ったのだから。
「良かったな、カレン」
俺はカレンの肩を叩き、忘れていた食料の購入を再開しようと支店を出た。
「イズミとやら、探したぞ」
支店を出たらフレイルが待ち構えていた。
手には俺が購入したナイフを持っている。
腰に手を当てて探すと、ナイフが消えていた。
「さっき落としただろう?届けようと追い掛けてきたのさ」
フレイルは俺が冒険者ギルドの登録を拒否されたのを憶えていたのか、オーガとの戦闘の件を伏せてくれていた。
「ありがとう、気付かなかったよ」
俺はフレイルにお礼を言った後、カレンに紹介をする。
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