188 / 618
第十四章 運び屋稼業も楽じゃない
第百八十二話 何故か原初魔族が来た
しおりを挟む
イズミが馬車置場へ戻ると、カーネリアが誰かと話をしている。
隣にいるベリアの表情が完全に固まっているのが分かる。
「2人とも待たせた」
「あらイズミさん、お久しぶりですわ」
2人の目の前に居たのは魔獣の森にてお世話になった、原初魔族のルノさんだった。
「ご無沙汰しております。本日はどの様なご要件で?」
「私の友人から、大切な卵を人間に盗まれたと相談がありまして…昨日泥棒を連れてきたハーピー達から話を聞きましたら、イズミと名乗る男が助けてくれたと」
どうも泥棒商人を連れたハーピー達は超特急で帰った結果、疲労困憊で暫く動けないらしい。
そこで、報告を受けたルノが様子を見に来たとの事だ。
「そう言う事でしたか」
「私が卵と彼女を連れ帰っても良いのだけれど、それだとこの国との関係が悪化するでしょう?」
全てを魔族側が解決してしまったら、この王国としての対応の遅さが取り騙される。
まだ事の詳細を国王は把握しきれていないのに、魔族から突き上げを喰らう事になる。
それは流石に国王が気の毒ではある。
「流石に危険な時は私が転移させますが、問題が無ければイズミさんが直接運んだ方が良いでしょう」
「勿論、そのつもりです」
ルノがイズミの左手を見る。
「良い宝石を付けた魔道具ですね」
「ありがとうございます、これのお陰でコッチでも会話が出来てます」
「宝石にお酒をお供えすると、良い事があるかもしれませんよ?」
ルノはそう言いつつカーネリアの頭を撫でる。
カーネリアを少し話をした後、帰ろうとしたのでイズミが引き止めた。
「ルノさん、少々お待ちを」
魔獣の森でもお世話になったので、今回も手土産を渡そうと思ったのだ。
マスタングに頼み酒と菓子類を実体化させる。
今回はマスタングのセレクトしたものだ。
トランクを開けると、竹で作られたカゴが入っている。
中身は2種類の酒とクッキーにチョコレート、更にはガラス瓶に入った金平糖まである。
この世界基準ならば、かなり豪華な手土産になるのではないだろうか?
「ルノさんには感謝してもしきれませんからね。これは私からの感謝の印です」
「あら、ありがとうございます。この前戴いたお酒と、新しいのもあるのですね」
カゴごと受け取ったルノは、感謝の言葉を述べ何も無い空間にスッと消えて行った。
「…取り敢えず、魔族側には卵が無事である事は伝わっているようだな」
イズミが両手を腰に当てて呟くと、放心状態だったベリアが復活した。
「イイイイ、イズミ!…さっきの方って」
「原初魔族のルノさん。以前縁があってね、知り合いって程度だけども」
「原初魔族って…信じられねぇ、会った瞬間に死を覚悟したぞ」
ベリアの尻尾はまだブワッと膨らんだままだった。
「そうだ、昼には出発しよう。俺個人が冒険者ギルドとは相性が悪くてな、なるべく早く離れたい」
そう言って2人に出発の準備を促した。
イズミが身に付けているバングルの石が僅かに輝いた事に、誰も気が付かなかった。
「只今戻りましたわ」
魔王が住まう居城の広間に、ルノが出現した。
「…どうだった?」
「昨日から尋問をしている人間族の商人の話と一致してましたわ。後は卵を盗むに至った経緯と目的、関係者の名前を供述してくれれば良いのですが」
ルノは竹カゴから酒瓶を取り出すと、魔王の元へ近付く。
魔王の手元にあるグラスに氷を作り出し、馬と騎手を冠したキャップを外し美しい琥珀色の酒を注いだ。
「ほう…ブラントンか」
「頂き物ですわ…貴男、このお酒を知ってるの?」
「大分昔の話だ、気にするな…」
グラスを手に取り一口飲む。
「うむ。この香りと味わい…懐かしいな」
酒瓶を受け取った魔王は、自らグラスに注ぎもう一杯飲む。
「イズミと言う男に、私も会いたいものだ」
「今度一緒に会いに行きますか?彼は私達が作った魔石を所持してますから、転移魔法で直ぐにでも」
「あの石か…では今度一緒に挨拶にでも伺うとしよう」
魔王の隣にルノが座り、肩に頭を預ける。
「私も戴いて良いですか?」
「勿論だ」
魔王とルノの密かな楽しみとなっている事に、イズミが気付く事は当分無い。
隣にいるベリアの表情が完全に固まっているのが分かる。
「2人とも待たせた」
「あらイズミさん、お久しぶりですわ」
2人の目の前に居たのは魔獣の森にてお世話になった、原初魔族のルノさんだった。
「ご無沙汰しております。本日はどの様なご要件で?」
「私の友人から、大切な卵を人間に盗まれたと相談がありまして…昨日泥棒を連れてきたハーピー達から話を聞きましたら、イズミと名乗る男が助けてくれたと」
どうも泥棒商人を連れたハーピー達は超特急で帰った結果、疲労困憊で暫く動けないらしい。
そこで、報告を受けたルノが様子を見に来たとの事だ。
「そう言う事でしたか」
「私が卵と彼女を連れ帰っても良いのだけれど、それだとこの国との関係が悪化するでしょう?」
全てを魔族側が解決してしまったら、この王国としての対応の遅さが取り騙される。
まだ事の詳細を国王は把握しきれていないのに、魔族から突き上げを喰らう事になる。
それは流石に国王が気の毒ではある。
「流石に危険な時は私が転移させますが、問題が無ければイズミさんが直接運んだ方が良いでしょう」
「勿論、そのつもりです」
ルノがイズミの左手を見る。
「良い宝石を付けた魔道具ですね」
「ありがとうございます、これのお陰でコッチでも会話が出来てます」
「宝石にお酒をお供えすると、良い事があるかもしれませんよ?」
ルノはそう言いつつカーネリアの頭を撫でる。
カーネリアを少し話をした後、帰ろうとしたのでイズミが引き止めた。
「ルノさん、少々お待ちを」
魔獣の森でもお世話になったので、今回も手土産を渡そうと思ったのだ。
マスタングに頼み酒と菓子類を実体化させる。
今回はマスタングのセレクトしたものだ。
トランクを開けると、竹で作られたカゴが入っている。
中身は2種類の酒とクッキーにチョコレート、更にはガラス瓶に入った金平糖まである。
この世界基準ならば、かなり豪華な手土産になるのではないだろうか?
「ルノさんには感謝してもしきれませんからね。これは私からの感謝の印です」
「あら、ありがとうございます。この前戴いたお酒と、新しいのもあるのですね」
カゴごと受け取ったルノは、感謝の言葉を述べ何も無い空間にスッと消えて行った。
「…取り敢えず、魔族側には卵が無事である事は伝わっているようだな」
イズミが両手を腰に当てて呟くと、放心状態だったベリアが復活した。
「イイイイ、イズミ!…さっきの方って」
「原初魔族のルノさん。以前縁があってね、知り合いって程度だけども」
「原初魔族って…信じられねぇ、会った瞬間に死を覚悟したぞ」
ベリアの尻尾はまだブワッと膨らんだままだった。
「そうだ、昼には出発しよう。俺個人が冒険者ギルドとは相性が悪くてな、なるべく早く離れたい」
そう言って2人に出発の準備を促した。
イズミが身に付けているバングルの石が僅かに輝いた事に、誰も気が付かなかった。
「只今戻りましたわ」
魔王が住まう居城の広間に、ルノが出現した。
「…どうだった?」
「昨日から尋問をしている人間族の商人の話と一致してましたわ。後は卵を盗むに至った経緯と目的、関係者の名前を供述してくれれば良いのですが」
ルノは竹カゴから酒瓶を取り出すと、魔王の元へ近付く。
魔王の手元にあるグラスに氷を作り出し、馬と騎手を冠したキャップを外し美しい琥珀色の酒を注いだ。
「ほう…ブラントンか」
「頂き物ですわ…貴男、このお酒を知ってるの?」
「大分昔の話だ、気にするな…」
グラスを手に取り一口飲む。
「うむ。この香りと味わい…懐かしいな」
酒瓶を受け取った魔王は、自らグラスに注ぎもう一杯飲む。
「イズミと言う男に、私も会いたいものだ」
「今度一緒に会いに行きますか?彼は私達が作った魔石を所持してますから、転移魔法で直ぐにでも」
「あの石か…では今度一緒に挨拶にでも伺うとしよう」
魔王の隣にルノが座り、肩に頭を預ける。
「私も戴いて良いですか?」
「勿論だ」
魔王とルノの密かな楽しみとなっている事に、イズミが気付く事は当分無い。
41
あなたにおすすめの小説
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
御家騒動なんて真っ平ごめんです〜捨てられた双子の片割れは平凡な人生を歩みたい〜
伽羅
ファンタジー
【幼少期】
双子の弟に殺された…と思ったら、何故か赤ん坊に生まれ変わっていた。
ここはもしかして異世界か?
だが、そこでも双子だったため、後継者争いを懸念する親に孤児院の前に捨てられてしまう。
ようやく里親が見つかり、平和に暮らせると思っていたが…。
【学院期】
学院に通い出すとそこには双子の片割れのエドワード王子も通っていた。
周りに双子だとバレないように学院生活を送っていたが、何故かエドワード王子の影武者をする事になり…。
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める
遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】
猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。
そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。
まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる