異世界無宿

ゆきねる

文字の大きさ
232 / 618
第十六章 犯罪組織を追え

第二百二十五話 悪足掻き

しおりを挟む
マスタングで子供達の居る建物に到着すると、敵はフラウリアの防御魔法に手こずっているようだった。

防御に徹する者を倒すのは、思う以上に難しいものである。

イズミはショットガンに弾を込めると、ベリアと一緒にマスタングから降りる。

「マスタング、暴れて良し!」

「かしこまりました」

イズミの指示を聞いたマスタングは早速猛スピードで走り出し、敵の移動手段である馬車へ向かって行った。

ショットガンを構え直したイズミは、防御魔法を突破しようとする敵を見つけると、胸部に目掛けて撃ち込んだ。

ベリアは屋根に飛び乗り、風魔法で敵の動きを封じると、ククリナイフを胸元に突き刺す。
更にククリナイフに魔力を注ぎ込んで炎魔法を発動させると、敵の全身が炎に包まれて絶命した。

炎に包まれた敵はベリアの風魔法で遠くへ飛ばされ、建物に火は燃え移らない。

「ふぃ~、まだ居るのかよ」

ベリアはククリナイフを構え直すと、音も無く移動を再開する。


敵が3人がかりでフラウリアの防御魔法を突破しようと、一点突破をすべく炎魔法を作り出していた。

「何してるんだ?」

イズミがわざと声をかけると敵の視線がイズミに向き集中が途切れ、次の瞬間にはショットガンの散弾が敵の身体をズタズタにしていった。

「…ポンプ式は連射が下手になったか?練習しないと駄目だな」

そう呟きながらショルダーバッグからシェルを取り出し弾を込める。

まだ敵を全滅や撤退させた訳では無いので、集中力を切らさぬように呼吸を整えメガネで索敵をした。

「ベリアはそっちは此処で何人倒した?」

「1人だけど」

マスタングがスキャンした時、敵は6人と言っていた。
それだとまだ2人残っている計算になる。
しかし、探しているが見つからない。

「後2人いるはずなのだが…」

「血の臭いで分かりにくいが、確かにまだ居るはずだな」

暫し索敵をするが、2人して見つけられないのは可笑しい。
逃げたのかと考えるが、此処での失敗は敵としても痛手のはずだ。

そう判断し索敵を再開すると、ベリアから魔法通信が来た。

「イズミ、背後にオーガだ!」

その声に振り返ると、猛スピードで突進を仕掛けてくるオーガの姿が見えた。

突進を避ける事は出来たが、体勢を崩してしまい攻撃が遅れてしまう。
オーガはその規格外な力でフラウリアの防御魔法を破壊しようとするが、ギリギリで防御魔法が勝っている状態だった。

イズミはショットガンをオーガに連射し、弾切れと同時にマグナムを抜いて全弾撃ち込んだ。
ベリアも加勢しオーガの左腕を斬り落とすまでは出来たのだが、まだ動きが止まらない。

イズミはショルダーバッグからスラッグ弾を取り出すと、ショットガンに込める。

「これで仕留めきれるか?」

オーガの生命力に不安を抱きつつ、心臓を狙いスラッグ弾を撃った。
オーガはうめき声を上げて動きが止まるが、まだ生きている。
次は頭を狙い撃ち込んだ。

遂にオーガは地面に倒れ込むが、まだ死んではいないようだ。
凄まじい生命力である。

念の為にマグナムとショットガンに弾込めをしておき、オーガへゆっくりと近付いて止めを刺そうとした時、オーガの腕が動きイズミを突き飛ばした。

「っ!?」

吹っ飛んだイズミが何とか立ち上がると、オーガはベリアが炎魔法で仕留めていた。

「すまん、油断した」

車とぶつかった時の衝撃とはこの様な物なのかと思ったが、アドレナリンの効果なのか何とか動けている。

ショットガンはオーガの一撃でグニャリと曲がり、使い物にならない状態だった。

ドウン!

そんな音と共にオーガの肉体が爆発し、遂にフラウリアの防御魔法に穴が開いてしまう。

爆発したオーガの中から、男が現れて建物に侵入する。
傷む身体でマグナムを構え、男に向け1発撃ち込んだ。
男もイズミに向けて何かを投げる動作をする。

「あぁっ!」

マグナムは命中はしたが致命傷にはなっていないようで、イズミの視界から居なくなってしまった。
ベリアが急いで追いかける。

マグナムを構え直そうとした時、マグナムの銃身が短くなっている事に気が付いた。
男の攻撃がマグナムの発砲後にマグナムへ当たり、銃身を両断していたのだ。

「…マジかよ」

イズミは悲鳴を上げる身体にムチを打ち、建物へと歩き出した。
しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

御家騒動なんて真っ平ごめんです〜捨てられた双子の片割れは平凡な人生を歩みたい〜

伽羅
ファンタジー
【幼少期】 双子の弟に殺された…と思ったら、何故か赤ん坊に生まれ変わっていた。 ここはもしかして異世界か?  だが、そこでも双子だったため、後継者争いを懸念する親に孤児院の前に捨てられてしまう。 ようやく里親が見つかり、平和に暮らせると思っていたが…。 【学院期】 学院に通い出すとそこには双子の片割れのエドワード王子も通っていた。 周りに双子だとバレないように学院生活を送っていたが、何故かエドワード王子の影武者をする事になり…。  

異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。

もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。 異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。 ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。 残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、 同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、 追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、 清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

処理中です...