異世界無宿

ゆきねる

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第十八章 手掛かりを探して

第二百六十話 奇怪な魔物

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イズミ達が目的地に到着した時、マスタングの時間表示では10時30分を過ぎた所だった。

「マスター。腕時計の修復が完了しております」

「そうだった、ありがとう」

グローブボックスから出て来た腕時計…軽量で見るからに使い捨てのような代物…を左手に着けると、周囲の索敵を頼んだ。

「魔物系の反応が複数あります」

モニターに表示されたポイントを確認した2人はマスタングから降りると、装備を確認して目的地まで歩き始めた。

この辺りは小山になっており木が生い茂っていたのだ。

「…臭うな」

ベリアがククリナイフを取り出すと、臭いのする方へと進んで行くので後を追いかける。

「マスター。その先に魔力溜まりがあります」

「そうか、調べてみる」

マスタングからの報告を聞いたイズミは、ベリアにも情報を共有してからマグナムを取り出す。

少し開けた所でベリアの動きが止まった。

「どうした?」

「あー、これはヤバいやつだ」

ベリアの視線の先には洞穴があり、そこからはイズミの鼻でも分かる程の異臭が漂っていた。

「洞穴か。石でも投げるか?」

「変に刺激するのは悪手になる」

イズミはマグナムを仕舞い最近お世話になりっぱなしのフルオートショットガンを用意すると、探索用のライトを取り出して洞穴へ向ける。

「ベリア、これから明かりを洞穴に向けて点けるから、戦闘の準備をしてくれ」

「何時でも大丈夫だ」

ベリアが戦闘態勢に入ったのを確認したイズミは、ライトのヘッドを回転させて明かりを点け、洞穴を確認した。

「ありゃバケモンだな」

「奇形のゴブリンと言うか、色々とごちゃ混ぜな魔物だな」

視線の先にいた魔物は、確かにゴブリン頭が2つあった。
しかし、頭から下の情報は違った。
細い胴体に異様に長い手足だが、その本数が可笑しい。

コレが生命の奇跡やら神秘やらで産まれるものなのだろうか。
恐怖よりも先に気持ち悪さが勝る異様な存在だった。

「猫達が厄災の前兆と言うのも頷けるな」

ベリアがそう言ってナイフに魔力を込めると、魔物がコチラへと顔を向けた。

「…来るぞ!」

ベリアが風魔法を展開すると同時に、魔物が奇声を上げて何かを投げつけて来た。

風魔法で地面へ落ちた何かを確認すると、人間の手足だった。

「食事中だったか?」

イズミはショットガンの引き金を躊躇いなく引いた。
ズドンズドンと連続で放たれる散弾を食らった魔物だったが、想像以上の生命力で洞穴から出て来た。

足が4本あり手が6本、うち2本はショットガンを食らい千切れたのか地面に落ちている。

洞穴から出て来た魔物の姿は、正に異様だった。
4足動物とゴブリンを無理矢理足したような感じで、2つの頭の下に腕が2本、次に前足があり後ろ足までの胴体に当たる場所に腕が4本ある。
更には何故か尻尾まであるのだが、尻尾の先端が人間の両手を1つに纏めたような形だった。

「コレで死なないのか?笑えない冗談だろ!」

ドラムマガジン1つを丸々撃ち込んだのにも関わらず、見る限りまだ元気な魔物を見て毒づいた。

急いでマグチェンジをして撃ち込み始めるが、何本もある手の1本が握っていた人間の死体を弾除け代わりにして攻撃を少しでも防いでいたのだ。

「おい化物!相手はイズミだけじゃないぞ」

ベリアがこの前練習したファイアーボールの高速連打を食らわせる。

威力は絶大であり、魔物の後ろ足から下が炎に包まれ爆速で炭化してゆく。
それでも生きており、死体を投げつけて来ては攻撃を繰り出してきた。

「信じられないまでの耐久力だ」

イズミは弾切れになったショットガンを仕舞うと、マグナムを構える。

「ユ…ルサ…ヌ」

魔物からそんな声が聞こえ、ベリアの動きが止まる。

「ベリア、油断するな!」

「でもイズミ、コイツ今言葉を…」

魔物がベリアに顔を向けると、気持ち悪い挙動で接近してゆく。
それを防ぐようにマグナムを撃ち込むと、魔物の動きが鈍くなった。

ベリアがナイフを構え直すと、奇声を上げて突進してきた魔物を素早く一閃した。
やはり獣人かつ鍛え上げた実力のある冒険者であるベリアは、一瞬生じた油断も直ぐに正して対応が出来ていた。

頭と全ての手足を見事に両断したベリアだったが、その表情は暗いままだった。

素早くマグナムの弾込めをしたイズミが魔物が動き出さないか様子を見ていたが、もう動く気配は無かったので少し距離を取ってからため息をついた。
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