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第十八章 手掛かりを探して
第二百五十九話 祝杯と調査と
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小部屋で2人分のジントニックを作り終えたイズミは、グラスをベリアに手渡した。
「ではひとまず…ベリア、Aランクに昇格おめでとう!」
「おう!ありがとう」
一口飲んだ2人は、椅子に座ると同時にため息をついた。
「美味ぇ。ドワーフ酒も良かったけど、この飲み方が最高だな。シュワシュワと優しい苦味がたまらない」
トニックウォーターが気に入ったようで、飲み終えたベリアがトニックウォーター単体で飲んでみたい言うので注いでやる。
自分の購入した酒でも自分で試してみたいと言うので、作り方をレクチャーしつつ2人で飲んでいると、ベリアが話を切り出した。
「この前の酒盛りでさ、アタイ達が寝てた時に何を作ってたんだ?」
「あれも酒だな、カクテル…酒のブレンドみたいな感じだ。気になるのか?」
「かなり」
ベリアが真剣な表情で言うので、イズミはカクテルセットから必要な道具と材料を取り出した。
「コッチでもこの飲み方が普及すれば良いけど、難しいだろうな」
イズミがシェイカーの準備を済ませてシェイクをすると、ベリアの目が輝いている。
「これがその時に出していたカクテル、ギムレットだ」
「ギムレット。良い名前だな」
上機嫌でギムレットを飲むベリアだったが、アルコール度数は高くシロップも入れていないので甘みも無いと言って良いだろう。
「スッキリとした味で美味しいけど、もう少し甘いのが好きだな」
案の定、ベリアはもう少し甘い方が好みだった。
「だと思ったよ。次回作る時は甘めにするよ」
「頼むぜ!」
2人でまったりと酒を飲み終えて解散すると、イズミは部屋に戻って明日に備えて眠りについた。
翌朝。
2人は二日酔いも無くスッキリとした朝を迎えており、宿屋の朝食を食べると猫達から教えてもらった建物を探す。
昨日と変わらず追手は居るようだが、あえて気にせずに用事を済ませてゆく。
「…この建物だな。猫達の言ってた通りだ、なんか腐った臭いがする」
「すまん、俺には分からないな」
ベリアと猫達の嗅覚には遠く及ばないイズミの鼻では、その異臭を建物の敷地外から察知する事は出来なかった。
建物の周辺で立ち止まる事無く話を続け、一度宿屋に戻りマスタングに乗り込む。
「マスタング、昨日ベリアが猫達から聞いたのだが…奇形のゴブリンについて調べたい」
「かしこまりました」
マスタングのモニターにマークされた場所は、この町からは少し距離のある所だった。
「ポイントした場所付近に、通常とは異なる魔力溜まりがあります」
「魔力溜まり?」
イズミが聞き返すと、ベリアが説明をしてくれた。
「魔力溜まりってのは、普通なら自然の中で滞り流れて行く魔力が、何らかの原因で1箇所に停滞して高濃度になってる所だな」
「そうなると、其処に出現する魔物は?」
「勿論、凶暴で強い魔物になる可能性が高い」
ベリアが助手席で腕を組み、難しそうな顔をしている。
「ま、考えるよりも先に行動しますか」
「だな。町を出る時はギルドに報告するんだっけ…面倒くさいなコレ」
早速Aランク冒険者の義務である連絡に面倒くささを感じているベリアだったが、ルールではあるので調査前にギルドへ顔を出した。
冒険者ギルドから戻って来たベリアがマスタングに乗り込むと、大きなため息をついた。
「ちょっと近場を調べてくると言ったら、何を調べるのか教えてほしいとか情報源は何処だとか五月蝿いのなんの」
「高ランクの冒険者は大変だな」
「ま、話はして来たし。行こうぜ」
イズミはマスタングのアクセルを踏み込み、目的地まで走り出した。
町の出入り口付近にてベリアが追手の気配を感じ取っていたが、マスタングの移動速度には敵う事は無かった。
「ではひとまず…ベリア、Aランクに昇格おめでとう!」
「おう!ありがとう」
一口飲んだ2人は、椅子に座ると同時にため息をついた。
「美味ぇ。ドワーフ酒も良かったけど、この飲み方が最高だな。シュワシュワと優しい苦味がたまらない」
トニックウォーターが気に入ったようで、飲み終えたベリアがトニックウォーター単体で飲んでみたい言うので注いでやる。
自分の購入した酒でも自分で試してみたいと言うので、作り方をレクチャーしつつ2人で飲んでいると、ベリアが話を切り出した。
「この前の酒盛りでさ、アタイ達が寝てた時に何を作ってたんだ?」
「あれも酒だな、カクテル…酒のブレンドみたいな感じだ。気になるのか?」
「かなり」
ベリアが真剣な表情で言うので、イズミはカクテルセットから必要な道具と材料を取り出した。
「コッチでもこの飲み方が普及すれば良いけど、難しいだろうな」
イズミがシェイカーの準備を済ませてシェイクをすると、ベリアの目が輝いている。
「これがその時に出していたカクテル、ギムレットだ」
「ギムレット。良い名前だな」
上機嫌でギムレットを飲むベリアだったが、アルコール度数は高くシロップも入れていないので甘みも無いと言って良いだろう。
「スッキリとした味で美味しいけど、もう少し甘いのが好きだな」
案の定、ベリアはもう少し甘い方が好みだった。
「だと思ったよ。次回作る時は甘めにするよ」
「頼むぜ!」
2人でまったりと酒を飲み終えて解散すると、イズミは部屋に戻って明日に備えて眠りについた。
翌朝。
2人は二日酔いも無くスッキリとした朝を迎えており、宿屋の朝食を食べると猫達から教えてもらった建物を探す。
昨日と変わらず追手は居るようだが、あえて気にせずに用事を済ませてゆく。
「…この建物だな。猫達の言ってた通りだ、なんか腐った臭いがする」
「すまん、俺には分からないな」
ベリアと猫達の嗅覚には遠く及ばないイズミの鼻では、その異臭を建物の敷地外から察知する事は出来なかった。
建物の周辺で立ち止まる事無く話を続け、一度宿屋に戻りマスタングに乗り込む。
「マスタング、昨日ベリアが猫達から聞いたのだが…奇形のゴブリンについて調べたい」
「かしこまりました」
マスタングのモニターにマークされた場所は、この町からは少し距離のある所だった。
「ポイントした場所付近に、通常とは異なる魔力溜まりがあります」
「魔力溜まり?」
イズミが聞き返すと、ベリアが説明をしてくれた。
「魔力溜まりってのは、普通なら自然の中で滞り流れて行く魔力が、何らかの原因で1箇所に停滞して高濃度になってる所だな」
「そうなると、其処に出現する魔物は?」
「勿論、凶暴で強い魔物になる可能性が高い」
ベリアが助手席で腕を組み、難しそうな顔をしている。
「ま、考えるよりも先に行動しますか」
「だな。町を出る時はギルドに報告するんだっけ…面倒くさいなコレ」
早速Aランク冒険者の義務である連絡に面倒くささを感じているベリアだったが、ルールではあるので調査前にギルドへ顔を出した。
冒険者ギルドから戻って来たベリアがマスタングに乗り込むと、大きなため息をついた。
「ちょっと近場を調べてくると言ったら、何を調べるのか教えてほしいとか情報源は何処だとか五月蝿いのなんの」
「高ランクの冒険者は大変だな」
「ま、話はして来たし。行こうぜ」
イズミはマスタングのアクセルを踏み込み、目的地まで走り出した。
町の出入り口付近にてベリアが追手の気配を感じ取っていたが、マスタングの移動速度には敵う事は無かった。
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