異世界無宿

ゆきねる

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第二十二章 一斉捜査

第三百六十一話 キマイラの襲来

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人の気配が消えた通りに、マスタングから降りたイズミとベリアの姿だけがある。

「緊急事態か?」

「だろうな。ちょっくら冒険者ギルドに確認してくる」

ベリアが駆け足で冒険者ギルドの建物へ駆け込むのを見たイズミは、ソフィアと連絡が取れると言う魔石を取り出す。

「…連絡は来ないか。マスタング」

「なんでしょうか?」

「周囲の索敵を頼む」

「かしこまりました…町の外より大型の魔物の接近を確認しました。1体です」

「ソイツのせいかな」

イズミは一度マスタングへと戻りモニターで位置関係を把握する。
魔物はまだ町へ入り込んではいないものの、イズミと魔物との間にソフィア達が居る。

タイミングが重なり過ぎている気がしたイズミは、ソフィアからの連絡を待ちながらマスタングでの移動準備を始めた。

「イズミ!」

「どうだった」

「キマイラだ。冒険者ギルドが目視で確認したらしいが、かなりのデカさで対応が困難だって」

「かなりのデカさって、どの程度なんだろうな。慌てぶりからすると規格外なのか…ベリアに依頼はあったのか?」

「いや、まだだ。ギルドも衛兵隊も初期対応が終わってない」

ベリアがマスタングへ乗り込んだのを確認したタイミングで、ソフィアからの連絡が入って来た。

「イズミさん、聞こえますか」

「あぁバッチリだ。進捗はどうだ?」

「対象の確保及び証拠資料の回収は出来たのですが、1点問題が」

「キマイラか?」

「…はい。確保対象が所持していた魔導具が発動しまして、キマイラを呼び出してしまったようで」

ソフィアの声色からして、想定外の事態なのだろう。
かなり焦っているように思える。

「ソフィア達への被害は大丈夫なのか?」

「3名負傷しましたが、命に問題はありませんわ」

「追い詰められた人間は、何しでかすか分からない。対象はしっかりと拘束しておいた方が良いぞ」

「その点については抜かりありません。問題はキマイラです」

ソフィア達への大きな被害が出ていないので一安心だが、キマイラ問題への対応は戦力的に厳しいようだ。

「そっちが問題無さそうなら、キマイラは俺達で対応しようか?」

「よろしいのですか」

「そろそろ町へ侵入される。相棒のベリアはAランクの冒険者だから、そろそろ冒険者ギルドからも正式な対応依頼が来るだろう…言ってる側から誰か来た」

人の居ない通りから、男が1人マスタングへと駆け寄って来た。

「ベリアさん!」

イズミが助手席側のウィンドウを下ろすと、男が息を切らしてながらベリアに話しかける。

「ベリアさん、緊急依頼となります」

「あぁ、キマイラ討伐だろ?」

「はい。大きさは約10mはあるキマイラが1体、防壁を破壊して防衛に当たっている衛兵隊と交戦中です」

「!?10mだと?」

話を聞いていたイズミが話を割って再度確認する。

「この町を拠点にしている冒険者パーティーからの報告なので、間違いありません。勿論我々としても対応をしておりますが、その巨体故に大した足止めも困難でして」

「…分かった、やれるだけやってみる」

「よろしくお願い致します」

ベリアがそう答えると、男は大きく頭を下げる。
イズミはマスタングのアクセルを踏み込むと、モニターに表示されるキマイラの居る場所へと急行する。

初めて来た町の通りを、マスタングが轟音を響かせながら駆け抜ける。
所々で衛兵隊と冒険者が住民の避難対応に追われ、武器を持った衛兵が移動しているのが見える。

「ベリア。これは単純な疑問なのだが…衛兵隊や冒険者に、キマイラを足止めしたり撃退出来る実力者はいるのか?」

「この町には、居ないと思った方が良いな。アタイ以外の高ランク冒険者はAランクパーティーが1つだけで、規格外のサイズのキマイラなら本来Sランクが出るべき依頼難易度だ。アタイが戦っても余り変わらないかもしれない」

「弱気になるなよ、今のベリアには俺とマスタングも居るんだからな。新しいナイフを試す絶好の機会だと考えよう」

「イズミ…そうだな、そう考える事にする」

ベリアの言葉を聞きマスタングのアクセルをより踏み込んだイズミは、ソフィア達が居る建物の横を通過する。
まだ見えぬキマイラとの接敵は、もうすぐである。
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