371 / 625
第二十二章 一斉捜査
第三百六十一話 キマイラの襲来
しおりを挟む
人の気配が消えた通りに、マスタングから降りたイズミとベリアの姿だけがある。
「緊急事態か?」
「だろうな。ちょっくら冒険者ギルドに確認してくる」
ベリアが駆け足で冒険者ギルドの建物へ駆け込むのを見たイズミは、ソフィアと連絡が取れると言う魔石を取り出す。
「…連絡は来ないか。マスタング」
「なんでしょうか?」
「周囲の索敵を頼む」
「かしこまりました…町の外より大型の魔物の接近を確認しました。1体です」
「ソイツのせいかな」
イズミは一度マスタングへと戻りモニターで位置関係を把握する。
魔物はまだ町へ入り込んではいないものの、イズミと魔物との間にソフィア達が居る。
タイミングが重なり過ぎている気がしたイズミは、ソフィアからの連絡を待ちながらマスタングでの移動準備を始めた。
「イズミ!」
「どうだった」
「キマイラだ。冒険者ギルドが目視で確認したらしいが、かなりのデカさで対応が困難だって」
「かなりのデカさって、どの程度なんだろうな。慌てぶりからすると規格外なのか…ベリアに依頼はあったのか?」
「いや、まだだ。ギルドも衛兵隊も初期対応が終わってない」
ベリアがマスタングへ乗り込んだのを確認したタイミングで、ソフィアからの連絡が入って来た。
「イズミさん、聞こえますか」
「あぁバッチリだ。進捗はどうだ?」
「対象の確保及び証拠資料の回収は出来たのですが、1点問題が」
「キマイラか?」
「…はい。確保対象が所持していた魔導具が発動しまして、キマイラを呼び出してしまったようで」
ソフィアの声色からして、想定外の事態なのだろう。
かなり焦っているように思える。
「ソフィア達への被害は大丈夫なのか?」
「3名負傷しましたが、命に問題はありませんわ」
「追い詰められた人間は、何しでかすか分からない。対象はしっかりと拘束しておいた方が良いぞ」
「その点については抜かりありません。問題はキマイラです」
ソフィア達への大きな被害が出ていないので一安心だが、キマイラ問題への対応は戦力的に厳しいようだ。
「そっちが問題無さそうなら、キマイラは俺達で対応しようか?」
「よろしいのですか」
「そろそろ町へ侵入される。相棒のベリアはAランクの冒険者だから、そろそろ冒険者ギルドからも正式な対応依頼が来るだろう…言ってる側から誰か来た」
人の居ない通りから、男が1人マスタングへと駆け寄って来た。
「ベリアさん!」
イズミが助手席側のウィンドウを下ろすと、男が息を切らしてながらベリアに話しかける。
「ベリアさん、緊急依頼となります」
「あぁ、キマイラ討伐だろ?」
「はい。大きさは約10mはあるキマイラが1体、防壁を破壊して防衛に当たっている衛兵隊と交戦中です」
「!?10mだと?」
話を聞いていたイズミが話を割って再度確認する。
「この町を拠点にしている冒険者パーティーからの報告なので、間違いありません。勿論我々としても対応をしておりますが、その巨体故に大した足止めも困難でして」
「…分かった、やれるだけやってみる」
「よろしくお願い致します」
ベリアがそう答えると、男は大きく頭を下げる。
イズミはマスタングのアクセルを踏み込むと、モニターに表示されるキマイラの居る場所へと急行する。
初めて来た町の通りを、マスタングが轟音を響かせながら駆け抜ける。
所々で衛兵隊と冒険者が住民の避難対応に追われ、武器を持った衛兵が移動しているのが見える。
「ベリア。これは単純な疑問なのだが…衛兵隊や冒険者に、キマイラを足止めしたり撃退出来る実力者はいるのか?」
「この町には、居ないと思った方が良いな。アタイ以外の高ランク冒険者はAランクパーティーが1つだけで、規格外のサイズのキマイラなら本来Sランクが出るべき依頼難易度だ。アタイが戦っても余り変わらないかもしれない」
「弱気になるなよ、今のベリアには俺とマスタングも居るんだからな。新しいナイフを試す絶好の機会だと考えよう」
「イズミ…そうだな、そう考える事にする」
ベリアの言葉を聞きマスタングのアクセルをより踏み込んだイズミは、ソフィア達が居る建物の横を通過する。
まだ見えぬキマイラとの接敵は、もうすぐである。
「緊急事態か?」
「だろうな。ちょっくら冒険者ギルドに確認してくる」
ベリアが駆け足で冒険者ギルドの建物へ駆け込むのを見たイズミは、ソフィアと連絡が取れると言う魔石を取り出す。
「…連絡は来ないか。マスタング」
「なんでしょうか?」
「周囲の索敵を頼む」
「かしこまりました…町の外より大型の魔物の接近を確認しました。1体です」
「ソイツのせいかな」
イズミは一度マスタングへと戻りモニターで位置関係を把握する。
魔物はまだ町へ入り込んではいないものの、イズミと魔物との間にソフィア達が居る。
タイミングが重なり過ぎている気がしたイズミは、ソフィアからの連絡を待ちながらマスタングでの移動準備を始めた。
「イズミ!」
「どうだった」
「キマイラだ。冒険者ギルドが目視で確認したらしいが、かなりのデカさで対応が困難だって」
「かなりのデカさって、どの程度なんだろうな。慌てぶりからすると規格外なのか…ベリアに依頼はあったのか?」
「いや、まだだ。ギルドも衛兵隊も初期対応が終わってない」
ベリアがマスタングへ乗り込んだのを確認したタイミングで、ソフィアからの連絡が入って来た。
「イズミさん、聞こえますか」
「あぁバッチリだ。進捗はどうだ?」
「対象の確保及び証拠資料の回収は出来たのですが、1点問題が」
「キマイラか?」
「…はい。確保対象が所持していた魔導具が発動しまして、キマイラを呼び出してしまったようで」
ソフィアの声色からして、想定外の事態なのだろう。
かなり焦っているように思える。
「ソフィア達への被害は大丈夫なのか?」
「3名負傷しましたが、命に問題はありませんわ」
「追い詰められた人間は、何しでかすか分からない。対象はしっかりと拘束しておいた方が良いぞ」
「その点については抜かりありません。問題はキマイラです」
ソフィア達への大きな被害が出ていないので一安心だが、キマイラ問題への対応は戦力的に厳しいようだ。
「そっちが問題無さそうなら、キマイラは俺達で対応しようか?」
「よろしいのですか」
「そろそろ町へ侵入される。相棒のベリアはAランクの冒険者だから、そろそろ冒険者ギルドからも正式な対応依頼が来るだろう…言ってる側から誰か来た」
人の居ない通りから、男が1人マスタングへと駆け寄って来た。
「ベリアさん!」
イズミが助手席側のウィンドウを下ろすと、男が息を切らしてながらベリアに話しかける。
「ベリアさん、緊急依頼となります」
「あぁ、キマイラ討伐だろ?」
「はい。大きさは約10mはあるキマイラが1体、防壁を破壊して防衛に当たっている衛兵隊と交戦中です」
「!?10mだと?」
話を聞いていたイズミが話を割って再度確認する。
「この町を拠点にしている冒険者パーティーからの報告なので、間違いありません。勿論我々としても対応をしておりますが、その巨体故に大した足止めも困難でして」
「…分かった、やれるだけやってみる」
「よろしくお願い致します」
ベリアがそう答えると、男は大きく頭を下げる。
イズミはマスタングのアクセルを踏み込むと、モニターに表示されるキマイラの居る場所へと急行する。
初めて来た町の通りを、マスタングが轟音を響かせながら駆け抜ける。
所々で衛兵隊と冒険者が住民の避難対応に追われ、武器を持った衛兵が移動しているのが見える。
「ベリア。これは単純な疑問なのだが…衛兵隊や冒険者に、キマイラを足止めしたり撃退出来る実力者はいるのか?」
「この町には、居ないと思った方が良いな。アタイ以外の高ランク冒険者はAランクパーティーが1つだけで、規格外のサイズのキマイラなら本来Sランクが出るべき依頼難易度だ。アタイが戦っても余り変わらないかもしれない」
「弱気になるなよ、今のベリアには俺とマスタングも居るんだからな。新しいナイフを試す絶好の機会だと考えよう」
「イズミ…そうだな、そう考える事にする」
ベリアの言葉を聞きマスタングのアクセルをより踏み込んだイズミは、ソフィア達が居る建物の横を通過する。
まだ見えぬキマイラとの接敵は、もうすぐである。
31
あなたにおすすめの小説
彼に勇者は似合わない!
プリン伯爵
ファンタジー
連日の残業で終電帰りのサラリーマン、神無月無名21歳。
ある夜、突然足元の光に包まれ異世界へと召喚されてしまう。
そこは豪華絢爛な王宮。
第一王女ラクティスは、彼を含む男女5人を「勇者」として召喚したと告げる。
元の世界では時間がほぼ止まっているという説明を受け、半ば強制的に魔国との戦いに協力することになった無名たち。
発現した無名の紋章は歴代でも最高クラスを示し万能の勇者と称され、周囲を驚愕させる。
元の世界への帰還を条件に口頭で協力を約束する勇者たちだが、無名だけは王家に対し警戒心を抱き、王に元の世界への帰還とこの世界で得た力を持ち帰ることを書面で約束させる。
協調性がないと周囲から思われながらも、己の最適解を優先する無名は、果たして他の勇者たちと協力し、魔国を打ち倒して元の世界へ帰ることができるのか。
それぞれの思惑が交錯する中、勇者たちの戦いが幕を開ける。
これは社会不適合者が歩む成長の物語。
不死身のボッカ
暁丸
ファンタジー
逓信(ていしん)ギルドに所属する甲殻人ボッカ。歩荷(ぼっか=運搬人)だからボッカと素性を隠す特急便の運搬人。
小柄な身体に見合わぬ怪力、疾風のスピードと疲れ知らずのスタミナで、野を越え山越え荷物を運ぶ。
逓信ギルドの運搬人になったのは、危険な迷宮には入りたく無いから。面倒と危険を避けてすんなり仕事を終わらせたいのに、時にギルド支部長に命じられ行きたくも無い魔獣狩りの運搬人として駆り出される。
割とチートな身体能力を持ちながら、戦闘能力はからっきしで過剰な期待はされたく無い。こんな殺伐とした異世界生活なんかとっとと終わらせて眠るように死にたいと願う、そんな<不死身の歩荷>のお話。
※種族名とか用語は前作と共通にしてますが、別の世界の物語です。世界観も若干違います。
※「歩荷」とは一般的にいう「ポーター」のことですが、長距離運送も兼任しています。
※作者が設定厨なので、時々本筋に関係ない解説回が入ります。
※第16回ファンタジー小説大賞にエントリーしてみました。
僕だけ入れちゃうステータス欄 ~追放された凄腕バッファーは、たまたま出会った新人冒険者たちと真の最強パーティーを作り上げる~
めでめで汰
ファンタジー
バッファーの少年カイトのバフスキルは「ステータス欄の中に入って直接数字を動かす」というもの。
しかし、その能力を信じなかった仲間からカイトは追放され迷宮に置き去りにされる。
そこで出会ったLUK(幸運)値の高い少女ハルと共にカイトは無事迷宮から生還。
その後、カイトはハルの両親を探すため地下迷宮の奥へと挑むことを決意する。
(スライム、もふもふ出てきます。女の子に囲まれるけどメインヒロインは一人です。「ざまぁ」もしっかりあります)
やさしい異世界転移
みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公
神洞 優斗。
彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった!
元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……?
この時の優斗は気付いていなかったのだ。
己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。
この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
龍と旅する。
水無月
ファンタジー
治安が良くない島々や国を龍と旅する物語。
主人公たちが探すのは「龍の卵」。だがそれを狙うのは彼らだけではなく、「龍狩り」や貴族とも争うことになる。
出会いと別れを繰り返して、ロッドとレリスは大海原を渡る。
・海龍 ロッド……最強。頼りになる。こいつ一人でいいんじゃないかと思われるが、とある理由からレリスと行動している。威厳のある話し方をするが、中身は幼い男の子。
・人間 レリス……男性。人間基準で言えば強いが、あくまで人間の枠組みの中でのこと。お人好し。
※注意
〇喧嘩しまくりの異種族同士ですが、彼らはお互いを家族だと認識しています。家族愛です。
〇レリスが生まれ持った性質のせいで「龍の卵」なみに狙われる時があります。徐々に巻き込まれヒロインみたいになります。
〇上記のふたつが無理な方はお気を付けください。表紙と挿絵は手描きです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる