竜帝の猛愛

蒼葉

文字の大きさ
4 / 7

4

しおりを挟む
 侵入者もなく、風もない。

 無音の世界が今の全て。

 報告を聞き終えた蒼月は再び封印柱の元へと戻る。
 当たり前になりつつある行動を誰も止めたりはしない。
 皆、中の青年が蒼月の元に戻る事を望んでいるから。

「白蘭」

 愛おしげに呼ぶ。
 白蘭と呼ばれた青年は、かつて幼かった蒼月の世話係兼近侍きんじだった。

 あの日、人族がゲート生み出し、そこから侵入者して城を襲った。
 竜帝夫妻のめい近侍きんじ達が蒼月を連れ出した。
 白蘭も蒼月の側にいた。
 逃げて逃げて逃げて、いくら逃げても追いかけてくる追手はやがて蒼月達を疲弊させた。
 幼くても竜帝の子。
 逃げ場所がなくなり最期の覚悟を決めた時、白蘭が黄竜に抱き抱えられた蒼月に願い出た。

ゲート封印のめいを』

 白蘭は貴族の出ではなかったが、特殊な一族の血を持っていた。
 しかし、その血の正体を誰も知らなかったはずが、竜帝は白蘭を見出し蒼月の側に置いた。
 まるで未来を予測したかの様に。

 今までめいを求めた事の無い白蘭が、いきなり膝を着いた。
 それを見て紅竜が理解していない蒼月に許可を出させた。
 
 それが蒼月のになると知らずに。

 その後、事態は目紛めまぐるしく動く。
 白蘭は一族の力でゲートを封印した。
 代償は己の体と生命。
 その二つを犠牲にして術を発動したのだ。

 ゲートの上に現れた白蘭をまとう封印柱。
 放っていた白き輝きが鳴りを潜めると、憎きゲートが静かに閉じられていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

アルファの双子王子に溺愛されて、蕩けるオメガの僕

めがねあざらし
BL
王太子アルセインの婚約者であるΩ・セイルは、 その弟であるシリオンとも関係を持っている──自称“ビッチ”だ。 「どちらも選べない」そう思っている彼は、まだ知らない。 最初から、選ばされてなどいなかったことを。 αの本能で、一人のΩを愛し、支配し、共有しながら、 彼を、甘く蕩けさせる双子の王子たち。 「愛してるよ」 「君は、僕たちのもの」 ※書きたいところを書いただけの短編です(^O^)

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

君と秘密の部屋

325号室の住人
BL
☆全3話 完結致しました。 「いつから知っていたの?」 今、廊下の突き当りにある第3書庫準備室で僕を壁ドンしてる1歳年上の先輩は、乙女ゲームの攻略対象者の1人だ。 対して僕はただのモブ。 この世界があのゲームの舞台であると知ってしまった僕は、この第3書庫準備室の片隅でこっそりと2次創作のBLを書いていた。 それが、この目の前の人に、主人公のモデルが彼であるとバレてしまったのだ。 筆頭攻略対象者第2王子✕モブヲタ腐男子

成長を見守っていた王子様が結婚するので大人になったなとしみじみしていたら結婚相手が自分だった

みたこ
BL
年の離れた友人として接していた王子様となぜか結婚することになったおじさんの話です。

【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます

夏ノ宮萄玄
BL
 オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。  ――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。  懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。  義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。

一夜限りで終わらない

ジャム
BL
ある会社員が会社の飲み会で酔っ払った帰りに行きずりでホテルに行ってしまった相手は温厚で優しい白熊獣人 でも、その正体は・・・

寂しいを分け与えた

こじらせた処女
BL
 いつものように家に帰ったら、母さんが居なかった。最初は何か厄介ごとに巻き込まれたのかと思ったが、部屋が荒れた形跡もないからそうではないらしい。米も、味噌も、指輪も着物も全部が綺麗になくなっていて、代わりに手紙が置いてあった。  昔の恋人が帰ってきた、だからその人の故郷に行く、と。いくらガキの俺でも分かる。俺は捨てられたってことだ。

処理中です...