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合唱コンクール ー最高の舞台でー
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今年もこの季節がやって来た。秋は、全国のほとんどの中学校で、合唱コンクールを行われる。豊田中学校は地域でも最も早く合唱コンクールをスタートさせた学校で、50年つまり半世紀の歴史がある。まさに伝統として確立されてきており、どんなに学校生活をやんちゃに送っている生徒たちも、合唱当日は、整然とコンクールに臨んできたから不思議だ。
しかし、今年は違っていた。年度当初の4、5月のころに比べて、学校内の雰囲気は落ち着いてきていたが、3年の一部の生徒は、問題行動を繰り返している。授業中に居眠り、教室からの抜け出しが横行、受験を控えてるなど微塵も感じられない。担任教諭たちも心配で、
本当に受験生?
と、困り果てている。
こんな調子でいいの?合唱コンクールがんばろうよ
恒例の、女子リーダー涙の訴えが心に響く男子はいない。必死の呼びかけにも関わらず、練習態度は不真面目極まりない。つっつき合う者。しゃべり続ける者。整列せず教室外に逃げ出す者。並ぼうともせず、教室の隅で嘲笑う男子たちが。残念だけど、これが2組の現在の姿だ。
咲かせよう合唱の花 一致団結3年2組
そんなスローガンからは、空しさだけが漂ってしまう。
こんなんじゃ 2年生にも負けるよ
豊田中は、各学年2クラスしかない。そのため、最優秀賞は、学校全体の6クラスから一つだけが選ばれる。それゆえに、これまでも必ず3年生が勝ってきたわけではなく、2年生が最優秀賞をとることが度々あった。そうなると、
どうしても、最上級生として下学年に負けるわけにはいかない
と、考えるのが普通だが、一切、2組の男子には通じない。
「おい、こんなに女子が困ってるのに恥ずかしくないのか」
と、見かねた担任の松本が口を挟んできたが、のれんに腕押しとはこのこと。ほとんど聞く耳なし。
練習終えての放課後に、パートリーダーたちによる反省会が開かれていた。本来、反省しなければいけない男たちは、そこにはいない。
「男子って頭にくる。颯からも言ってよ」
こうなると、リーダーで唯一の男子の颯に、自然と矛先が向かってくる。まずは、瑞季からのきつい一言からだ。
「そう言われても。どうもできないよ」
もうすでに半泣き状態。
「何言ってんの、あんたもリーダーでしょ?」
そんなことくらい分かってる。
「リーダーっていわれても、別にやりたいわけじゃないし」
ついつい本音が出てしまった。その一言に瑞季のイライラも募る。
「今さら何なの?」
瑞季の怒りが頂点に達した。
「まあまあ、ここでケンカしても解決しないし」
見かねたリーダー長の葵が、二人の間に入ってくる。
「大事なのは、いかに男子に歌わせるかってこと。そのための反省会にしようよ」
確かにここでもめてていても仕方ないし、解決しないことは分かってる。では怒りの矛先をどこに向ければいいのか、分からないリーダーたちだった。
「じゃ練習真面目にしなかったら、罰金とるのってどう?」
自棄とも思える提案がなされる。
「そんなの払うわけないし、効き目が長続きしないし」
そりゃそうだ。
「歌わない子を、前で歌わすってのはどうかなあ?」
こんな意見まで出してきてしまう。
「よけいに歌わなくなっちゃうよ」
答えがない問いかけに、それでもみんな真剣に考えている。
そこに松本が入ってきた。
「どうだ、何か答え出たか?」
暢気な答えに、瑞季もカチンときた。
「そんな、先生も考えてください。担任でしょう」
まずいと思ったのか、松本の目つきも変わる。それでも本筋だけは伝えたいと思った。
「一緒に考えるよ。でもみんなの合唱なんだから、最後はみんなで決める。だから先生はあくまでもサポート役ってとこかな」
リーダーたちも痛いところを突かれてしまう。それでも、
「そんな卑怯よ。だったら1組に負けちゃう。それどころか2年生にも負けるかも。それだけは絶対にいや」
と、やるせない気持ちがいっぱい。
「分かった。出来るかぎりのことをやってみよう。でもこれだけは覚えておいて。合唱は強制じゃない。歌は決して力尽くでは、歌わせられないんだ」
この言葉をにわかに理解できなかったが、次第にその意味は浸透していく。
歌は強制じゃない
本番まで一週間と迫ったが、2組の練習風景は、相変わらずこれまでのまんま。整列しない。始まってもしゃべってる。口を開けない。下を向いている。
さすがにこのままではいけないと思い、松本は真剣に訴え始めた。
「なあ、何で合唱コンクールってあると思う?」
「そんなのあるからに決まってんじゃないか」
歌わない男子の一人が答えた。
「じゃあ、歌わなきゃいけない理由を教えてくれよ」
松本もすかさず切り返してみた。
「何だ、毎年歌ってるから仕方ないってことか。ああ情けない」
答えられる生徒は出てこない。
「まさにそこだよな。実は先生も合唱コンクールを経験してんだ。それも50数年ほど前」
普段のオチャラケ口調と違う松本に、生徒たちもいつもと違う雰囲気を感じてきた。
「へえ、そんな前から合唱コンクールってあったんだ」
食いつきはOK。それからというもの、松本は思いの丈を語り出す。
「先生の中学校は、都内でも一番早く合唱コンクールを始めたんだ。そのときを覚えているけど、今の男子と同じ。何で歌わなけりゃいけないんだって。それも、当時は歌と言えば女が歌うもの。あっ問題発言か。でもみんなそう思ってたのは事実。だから恥ずかしいことに、先生も真面目に練習しなかった方。当日のステージでは、隅っこで顔を下げてたよ。それも歌わないでね」
松本の経験談は、生徒たちを引きつけていく。
「おいおい教師でこれか?ハハハ」
教室内の場が、急に和んきた。
「考えるとそう。どの口がっていわれるけど。それが今では教師だからな」
少し恥ずかしかったが、照れずに告白した。
「じゃ俺たちのこと、責められないじゃない」
まさにその通りだが、松本は止めない。
「君たちを責めるつもりはない。だから呼びかけてるんだ。みんなの意思で歌おうってね。これまで何十ものクラスを担任してきた。ハーモニーがきれいで最優秀賞をとったこと。なかなか声が出ず残念な結果に終わったクラス。男子が歌わずに女子とケンカで終了。合唱当日、急にピアノを弾けなくなった伴奏者。一位になっったら焼き肉食わしてやるといったら、本当に一位になりやがって、あいつらハハハ。先生自身、授業で何を教えたかは覚えてないが、どのときのクラスが何の合唱曲だったかは、不思議と覚えてるんだよ。これが」
いつもはザワつくはずの男子たちも、真剣に耳を傾けている。
「じゃあ逆に聞く。何で合唱コンクールってあると思う?何で数十年も続いていると思う?もし毎年あるからしかたないんだったら、こんなに続いてこないだろ。それこそ止めちゃえばいいんだよ。何か意義があるからやるんじゃない?きっと。それをみんなんで考えることから始めてみないか」
そこまでいうと、松本から葵にバトンタッチ。ここからは2組でも初めての全員による討論が始まった。聞いてみると、そこには男子にも言い分があった。
かってに曲を決められた
女子が仕切りすぎる
歌が苦手で嫌なのに、声が出てないとばかり
音がズレてるとうるさい
そもそも男子を能無しと思ってる
これが事実だと、男子たちが不満なのも納得してしまう。
1時間以上も続いた話し合いは、後に何かを残すことになるだろう。そう思えてしかたがないほど、生徒たちの顔には満足感が漂っていた。
次の日から、みんなの目の色が明らかに変わっていった。特に、男同士が声かけをする姿が見られるようになってきた。これまでの遅れを取り戻すかのように。それは昨日までの練習の取組が嘘のように映る。
おい、男子の力を見せようぜ
そう呼びかけたのは一樹。チンタラ男子の中心人物。これまでも意図的に練習妨害をしてきた張本人。そんな一樹が、今では男子にハッパを掛けている。
無理せず今の自分たちを出す そう歌は強制じゃない 自分たちが歌いたい歌を
もう松本はいらない。廊下でじっと様子を見守るだけ。
偶然か、これをさかいに、授業中に寝る生徒の数は激減し、そうじに取組む姿勢も格段と上がってきた。
何かが動き始めた。
合唱コンクール当日。今の彼らに思い残すことは何もない。
最後は3年2組、課題曲は・・・・・・
さあ本番。整列した生徒の顔からは、笑顔がこぼれてる。それは、まるで長年の下積み経験の末、ようやく舞台で主役を任されたヒロインのようである。
それではお願いします
司会者のアナウンスで、合唱の幕が上がった。緊張しながらも、2組の生徒たちは、ハレの舞台に並んでいく。
では結果を発表します
そして、いよいよ結果が発表される。
最優秀賞3年1組 優秀賞2年1組 以上です 代表者は壇上に上がってください
それは2組にとっては、最悪のシナリオ。さすがにショックで、女子たちが泣き崩れてしまう。
教室に帰った生徒たちに、当たり前だが笑顔はない。
そこに松本が入ってきた。何やら手に紙を持っている。
「葵、前に出てこい」
松本がパートリーダーの葵を呼び寄せ、何と手作りの表彰状を渡そうとしていたのだ。
表彰状 3年2組 がんばったで賞 あなたがたは本コンクールにおいて・・・
それは松本からのサプライズだったが、すかさず一樹がちゃちを入れた。
がんばったで賞なんて、まるで幼稚園じゃん ハハハ
と同時に、教室内に大きな笑い声が巻き起こった。でも、それは決して嘲笑なんかでなく、心の奥底からあふれ出てきた心温まる笑いだった。そう、あのときの笑いとは、明らかに違ってる。
ここに3年2組が一つになった。
今日も、全国のどこかで合唱コンクールが行われている。その一つ一つが、生徒の心に一生残り続けていくことは間違いない。
教室の数だけ、ドラマがある。
しかし、今年は違っていた。年度当初の4、5月のころに比べて、学校内の雰囲気は落ち着いてきていたが、3年の一部の生徒は、問題行動を繰り返している。授業中に居眠り、教室からの抜け出しが横行、受験を控えてるなど微塵も感じられない。担任教諭たちも心配で、
本当に受験生?
と、困り果てている。
こんな調子でいいの?合唱コンクールがんばろうよ
恒例の、女子リーダー涙の訴えが心に響く男子はいない。必死の呼びかけにも関わらず、練習態度は不真面目極まりない。つっつき合う者。しゃべり続ける者。整列せず教室外に逃げ出す者。並ぼうともせず、教室の隅で嘲笑う男子たちが。残念だけど、これが2組の現在の姿だ。
咲かせよう合唱の花 一致団結3年2組
そんなスローガンからは、空しさだけが漂ってしまう。
こんなんじゃ 2年生にも負けるよ
豊田中は、各学年2クラスしかない。そのため、最優秀賞は、学校全体の6クラスから一つだけが選ばれる。それゆえに、これまでも必ず3年生が勝ってきたわけではなく、2年生が最優秀賞をとることが度々あった。そうなると、
どうしても、最上級生として下学年に負けるわけにはいかない
と、考えるのが普通だが、一切、2組の男子には通じない。
「おい、こんなに女子が困ってるのに恥ずかしくないのか」
と、見かねた担任の松本が口を挟んできたが、のれんに腕押しとはこのこと。ほとんど聞く耳なし。
練習終えての放課後に、パートリーダーたちによる反省会が開かれていた。本来、反省しなければいけない男たちは、そこにはいない。
「男子って頭にくる。颯からも言ってよ」
こうなると、リーダーで唯一の男子の颯に、自然と矛先が向かってくる。まずは、瑞季からのきつい一言からだ。
「そう言われても。どうもできないよ」
もうすでに半泣き状態。
「何言ってんの、あんたもリーダーでしょ?」
そんなことくらい分かってる。
「リーダーっていわれても、別にやりたいわけじゃないし」
ついつい本音が出てしまった。その一言に瑞季のイライラも募る。
「今さら何なの?」
瑞季の怒りが頂点に達した。
「まあまあ、ここでケンカしても解決しないし」
見かねたリーダー長の葵が、二人の間に入ってくる。
「大事なのは、いかに男子に歌わせるかってこと。そのための反省会にしようよ」
確かにここでもめてていても仕方ないし、解決しないことは分かってる。では怒りの矛先をどこに向ければいいのか、分からないリーダーたちだった。
「じゃ練習真面目にしなかったら、罰金とるのってどう?」
自棄とも思える提案がなされる。
「そんなの払うわけないし、効き目が長続きしないし」
そりゃそうだ。
「歌わない子を、前で歌わすってのはどうかなあ?」
こんな意見まで出してきてしまう。
「よけいに歌わなくなっちゃうよ」
答えがない問いかけに、それでもみんな真剣に考えている。
そこに松本が入ってきた。
「どうだ、何か答え出たか?」
暢気な答えに、瑞季もカチンときた。
「そんな、先生も考えてください。担任でしょう」
まずいと思ったのか、松本の目つきも変わる。それでも本筋だけは伝えたいと思った。
「一緒に考えるよ。でもみんなの合唱なんだから、最後はみんなで決める。だから先生はあくまでもサポート役ってとこかな」
リーダーたちも痛いところを突かれてしまう。それでも、
「そんな卑怯よ。だったら1組に負けちゃう。それどころか2年生にも負けるかも。それだけは絶対にいや」
と、やるせない気持ちがいっぱい。
「分かった。出来るかぎりのことをやってみよう。でもこれだけは覚えておいて。合唱は強制じゃない。歌は決して力尽くでは、歌わせられないんだ」
この言葉をにわかに理解できなかったが、次第にその意味は浸透していく。
歌は強制じゃない
本番まで一週間と迫ったが、2組の練習風景は、相変わらずこれまでのまんま。整列しない。始まってもしゃべってる。口を開けない。下を向いている。
さすがにこのままではいけないと思い、松本は真剣に訴え始めた。
「なあ、何で合唱コンクールってあると思う?」
「そんなのあるからに決まってんじゃないか」
歌わない男子の一人が答えた。
「じゃあ、歌わなきゃいけない理由を教えてくれよ」
松本もすかさず切り返してみた。
「何だ、毎年歌ってるから仕方ないってことか。ああ情けない」
答えられる生徒は出てこない。
「まさにそこだよな。実は先生も合唱コンクールを経験してんだ。それも50数年ほど前」
普段のオチャラケ口調と違う松本に、生徒たちもいつもと違う雰囲気を感じてきた。
「へえ、そんな前から合唱コンクールってあったんだ」
食いつきはOK。それからというもの、松本は思いの丈を語り出す。
「先生の中学校は、都内でも一番早く合唱コンクールを始めたんだ。そのときを覚えているけど、今の男子と同じ。何で歌わなけりゃいけないんだって。それも、当時は歌と言えば女が歌うもの。あっ問題発言か。でもみんなそう思ってたのは事実。だから恥ずかしいことに、先生も真面目に練習しなかった方。当日のステージでは、隅っこで顔を下げてたよ。それも歌わないでね」
松本の経験談は、生徒たちを引きつけていく。
「おいおい教師でこれか?ハハハ」
教室内の場が、急に和んきた。
「考えるとそう。どの口がっていわれるけど。それが今では教師だからな」
少し恥ずかしかったが、照れずに告白した。
「じゃ俺たちのこと、責められないじゃない」
まさにその通りだが、松本は止めない。
「君たちを責めるつもりはない。だから呼びかけてるんだ。みんなの意思で歌おうってね。これまで何十ものクラスを担任してきた。ハーモニーがきれいで最優秀賞をとったこと。なかなか声が出ず残念な結果に終わったクラス。男子が歌わずに女子とケンカで終了。合唱当日、急にピアノを弾けなくなった伴奏者。一位になっったら焼き肉食わしてやるといったら、本当に一位になりやがって、あいつらハハハ。先生自身、授業で何を教えたかは覚えてないが、どのときのクラスが何の合唱曲だったかは、不思議と覚えてるんだよ。これが」
いつもはザワつくはずの男子たちも、真剣に耳を傾けている。
「じゃあ逆に聞く。何で合唱コンクールってあると思う?何で数十年も続いていると思う?もし毎年あるからしかたないんだったら、こんなに続いてこないだろ。それこそ止めちゃえばいいんだよ。何か意義があるからやるんじゃない?きっと。それをみんなんで考えることから始めてみないか」
そこまでいうと、松本から葵にバトンタッチ。ここからは2組でも初めての全員による討論が始まった。聞いてみると、そこには男子にも言い分があった。
かってに曲を決められた
女子が仕切りすぎる
歌が苦手で嫌なのに、声が出てないとばかり
音がズレてるとうるさい
そもそも男子を能無しと思ってる
これが事実だと、男子たちが不満なのも納得してしまう。
1時間以上も続いた話し合いは、後に何かを残すことになるだろう。そう思えてしかたがないほど、生徒たちの顔には満足感が漂っていた。
次の日から、みんなの目の色が明らかに変わっていった。特に、男同士が声かけをする姿が見られるようになってきた。これまでの遅れを取り戻すかのように。それは昨日までの練習の取組が嘘のように映る。
おい、男子の力を見せようぜ
そう呼びかけたのは一樹。チンタラ男子の中心人物。これまでも意図的に練習妨害をしてきた張本人。そんな一樹が、今では男子にハッパを掛けている。
無理せず今の自分たちを出す そう歌は強制じゃない 自分たちが歌いたい歌を
もう松本はいらない。廊下でじっと様子を見守るだけ。
偶然か、これをさかいに、授業中に寝る生徒の数は激減し、そうじに取組む姿勢も格段と上がってきた。
何かが動き始めた。
合唱コンクール当日。今の彼らに思い残すことは何もない。
最後は3年2組、課題曲は・・・・・・
さあ本番。整列した生徒の顔からは、笑顔がこぼれてる。それは、まるで長年の下積み経験の末、ようやく舞台で主役を任されたヒロインのようである。
それではお願いします
司会者のアナウンスで、合唱の幕が上がった。緊張しながらも、2組の生徒たちは、ハレの舞台に並んでいく。
では結果を発表します
そして、いよいよ結果が発表される。
最優秀賞3年1組 優秀賞2年1組 以上です 代表者は壇上に上がってください
それは2組にとっては、最悪のシナリオ。さすがにショックで、女子たちが泣き崩れてしまう。
教室に帰った生徒たちに、当たり前だが笑顔はない。
そこに松本が入ってきた。何やら手に紙を持っている。
「葵、前に出てこい」
松本がパートリーダーの葵を呼び寄せ、何と手作りの表彰状を渡そうとしていたのだ。
表彰状 3年2組 がんばったで賞 あなたがたは本コンクールにおいて・・・
それは松本からのサプライズだったが、すかさず一樹がちゃちを入れた。
がんばったで賞なんて、まるで幼稚園じゃん ハハハ
と同時に、教室内に大きな笑い声が巻き起こった。でも、それは決して嘲笑なんかでなく、心の奥底からあふれ出てきた心温まる笑いだった。そう、あのときの笑いとは、明らかに違ってる。
ここに3年2組が一つになった。
今日も、全国のどこかで合唱コンクールが行われている。その一つ一つが、生徒の心に一生残り続けていくことは間違いない。
教室の数だけ、ドラマがある。
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