アレク・プランタン

かえるまる

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第2章 幼年編

036 魔獣解体

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火、金、土と生活魔法は順調に修得中である。もちろん初級のみであるが。
浮かれてはいない。
俺には世話になった人たちに恩返しをすることと殺された父上と俺自身の復讐があるからだ。
もちろん大人になるまでに魔法の修得だけではダメだと思う。体力の向上も、剣の技量を身につけることも必要だ。生活力をつけることも、何か危機が訪れても対処出来るサバイバル術を身につけることにも取り組まなければならない。
やることはたくさんある。
転生前の学校で、先生がこんなことを言っていたな。

「あせらず・いそいで」

この世界での俺もそんな気持ちで精進していこう。
何のチートも特典もない俺は、日々努力をするしかないんだから。





「ニャンタおじさーん、アンナのお父さーん、いますかー?」

「あらあらアレク君今日もお父さんについて行くの?」

「はい、今日も連れてってくださーい。お願いしまーす」

「おおーアレク君、今日も狩りについてくるか」

「うん。ニャンタおじさん今日もよろしくねー」

「アレクー、お父さんと遊んでばかりじゃダメだよ。私と家で肉食べよう!」

「何いってんだアンナ。おまえもニャンタおじさんについてこればいいじゃないか。身体も動かせるし、肉もいっぱい獲れるぞ!」

「だって猟はめんどうじゃん!お父さんが捕ってきてくれた肉を食べるだけのほうが楽でいいじゃん!」

「「「‥だめだこりゃ!」」」

最近アンナがふくよかになってきている気がする。俺の気のせいだろうか‥。





ニャンタおじさんは猟師だ。うちの村唯一の農家兼職猟師だ。
俺は人と獣人のハーフであるアンナのお父さん(ニャンタおじさん)は、猫獣人かと思っていたが正確には山猫獣人なんだそうだ。
山猫獣人のほうがふつうの猫獣人よりも山や密林での適応力が高いらしい。

ニャンタおじさんが捕らえた小型の魔獣を前に。解体を教わる俺。

「ニャンタおじさん、ここはどうするの?」

「アレク君、ここははらわたを傷つけないようにな。ここではらわたを傷つけると肉が苦くなるぞ」

「わかった。こう?」

「よし、いいぞ。アレク君、魔獣の捌き方もかなり上手くなったな」

「うん。だいぶ馴れたよ。ニャンタおじさんのおかげだよ」

近ごろはニャンタおじさんの猟によく連れて行ってもらっている。
俺の安全を考えてもらっているために、危険度の少ない小型魔獣や草食動物が中心の狩りである。
ニャンタおじさんから、動物や魔獣の名前はもとより、足跡や糞から動物や魔獣の個体名の判別、魔獣毎の主な生息地、弱点、血の抜き方、解体の仕方等多くを学んでいる。
特に捕獲後の血抜きや解体の仕方を何度も何度も教わったのは大きかった。
先々ギルドで俺が獲ってくる魔獣は状態がよいからと高値がつく理由にもなった。

「ただいまー。今日もニャンタおじさんから肉もらったよー」

「「お帰りー」」

「お兄ちゃんおかえりー」

「今日はどうだった?」

「うん、解体もだいぶ馴れたよ」

ニャンタおじさんに狩りに連れて行ってもらった帰りは、よくお裾分けで動物や魔獣の肉をもらった。
なので最近のわが家は一品肉がつくという贅沢な夕食の日が増えた。
食べ盛りの俺や妹はもちろんだが、一家の大黒柱のヨゼフ父さんのスタミナアップにもなる肉は嬉しい。もうすぐ兄弟を産む妊婦のマリア母さんの栄養補給のためにもやっぱり肉はうれしい。
(決して野菜が嫌いなわけじゃないんだけど、毎日野菜中心の食事は飽きるのだ)

寝る前には、鉄の塊をニギニギすることも、魔力をドラゴンの魔石に注ぎ込み還元することも欠かさない毎日だ。
何もない俺は努力し続けなきゃな。
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