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第2章 幼年編
314 46階層に向けて
しおりを挟む朝ごはんもしっかり食べたよ。もちろんお粥なんだけど。もう残りの食糧、麦はもちろん米もヤバい。保存用の干し肉や干し野菜もリアカーどころかリュックでもいいくらい。
「噛む米を腹いっぱい食いたいぜー」
「オイも腹いっぱい食いたいぞギャハハ」
「足りないーぜんぜん足りないー米もお肉もー」
腹減り3人組が叫んでるよ。うん、俺もぜんぜん物足りないよ……。
でも小麦粉も米も限りなくヤバくなってきた。お米、本当は1俵(60㎏)くらいは持ち帰りたかったんだけど、そんなことも言ってられないよな。食糧不足は困った。実に困ったよ。
「あらためてみんなおはよう」
「「「おはよう(ございます)」」」
「さあ今日もがんばるわよ!」
「「「腹へったー」」」
「ふふふ。実は私もね」
▼
「今日の予定、ビリーもう1度お願いできる」
「いいよ」
「46階層から次の47階階層まで。天候、地形など環境面での大きな問題はないみたいだね。ただ‥‥昨日も話をしたように魔物はひっきりなしに襲ってくるよ。強い魔物ばかりがね。魔法が効かない魔物も魔法しか効かない魔物も一緒だからね」
「ビリーこういうのをふるこーすって言うんだよな」
「はは。おもしろい表現だね。うん、それで間違いないと思うよ」
「ふるこーすは、アレクとシャンク先輩がいろいろ作ってくれたご飯メニューのことですよね」
「ん?あ、ああ、そうとも言えるのかな」
「30階層くらいまでは美味しいふるこーすの夜ごはん、いつも楽しみだったんですよねー」
「おおセーラの言うとおりだぞ。あの頃はよかったよなぁ。うまいもんが腹いっぱい食えたよな」
「ですよねーオニール先輩」
「おおよ」
「う、うん。それも間違いじゃないけどね‥‥2人とも一旦食べ物から離れようか」
「「??」」
「やっぱりオニールとセーラの2人はお馬鹿なの」
「「「だな」」」
「やっぱりはないです!やっぱりは!」
「そーだそーだー!」
「ビリー先輩なら嬉しいけどオニール先輩と同じ扱いなんて酷すぎです!」
「セーラお前裏切るのかよ!」
「あっ、ごめんなさいビリー先輩‥じゃなかったオニール先輩!」
「やっぱり2人ともお馬鹿なの」
「「「うんうん‥‥」」」
専らオニール先輩がムード役を買ってくれてたけど、最近はセーラも進んで盛り上げ役を買ってくれている。てか、自然体のセーラはこんな感じなんだろうな。
「魔法がメインのリズとセーラさんは魔力切れに注意してほしい。特にセーラさんは魔力行使の優先順位を間違えたらダメだよ」
「ん」
「優先順位ですか?」
「そう。ここからは魔法しか効かない魔物に対しては躊躇わず魔法を行使すること。これが優先することって言うはわかるよね」
「はいビリー先輩」
「同じようにたくさんの魔物がチームの射程内で溢れそうになったら、障壁で自分を守ること。これも大事な優先順位だよ」
「ビリー先輩、守るのはみんなじゃないんですか?」
「いいや違うよ。みんなを守るのは優先順位のいちばんじゃないよ。守るのはセーラさん自分自身なんだよ。みんなを守るのはあとのことだからね」
「はい‥‥」
「もし魔力切れや怪我でセーラさんが倒れたら誰かがセーラさんを守ることになるよね。そうして戦力が1人欠けるんだ。結局1人減るところが2人になるよね。だからセーラさんが心がけるのはまずは自分自身を守ること。わかるね」
「はい!」
「そしてアレク君とシャンク君もまずは自分を守りながら闘うこと。仲間を信じて闘うんだよ」
「「はい」」
「それからね、おそらく魔獣の肉を解体する余裕なんてないと思う。だから優先順位はとにかく安全にできるだけ急いで回廊の終わりを目指すことだよ。階層の終わり、魔物が少なくなるまでは急ぐんだよ。いいね」
「「はい!」」
たぶんビリー先輩は俺に対して言ったんだろうな。全方位でみんなを守ろうとするなよと。仲間を信じて闘えって。そして、やっぱりのんびり解体してる余裕はないって予想してるんだ。
「じゃあボル隊先行くよ」
「「「行ってきます!」」」
「「「いってらっしゃい!」」」
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