アレク・プランタン

かえるまる

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第2章 幼年編

424 新しい仲間

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 【  未成年者side  】

 楽しい立食パーティーが続いたよ。

 「狐仮面、いやアレク国に遊びに来いよ」

 獅子獣人のライルが言ってくれたんだ。

 「えつ?!いいの?獣人国ってなかなか入れないんだろ」

 「ああ。冒険者といえど誰かの紹介がなければ入れないな。
 まあだいたいが道が険しくて遠いし、出てくる魔獣も強いからから滅多に人は来ないんだけどなワハハハハ」

 「あと1年くらい後になるけど絶対行くよ」

 「そうか!じゃあ来てくれたら歓迎するからな。
 お前が来るまで、俺はその間に強くなるけどな」

 「俺だって」


 わははははは
 ワハハハハハ
 
 ライルとがっしり握手してハグしたんだ。


 「アレク‥‥お前本当に狐みたいに小さいな」

 「うっっ。言わないでくれよ。気にしてんだから。
 みんなだんだん背が伸びてるのに俺はぜんぜん伸びないんだよ」

 「いーじゃないか伸びないほうが」

 「トマスお前くらいだよ。デカくなったら仕事がしづらいのは」

 「そうかもな。だから俺たちは成長期はとくに狭い棺桶みたいなところに入ったりして寝てるんだぜ」

 「マジか!?たいへんなんだなお前ん家の稼業って」

 「まあこんなもんだって割り切ってるがな」

 トマスのアイランド一族は海洋諸国有数の一族だってキム先輩も言ってたからな。
 要人護衛(ボディガード)や暗殺稼業で名高い海洋諸国の裏の顔。
 男は周囲からはモブに見られなきゃダメらしいし。

 「俺の一族は成長期の男子はカウカウのミルク禁止だぞ」

 「ああそういや逆に俺たち獣人はカウカウのミルクを飲むと背が伸びるって言うぞ」

 「法国でもそれは聞いたことあるぞ」

 「ああ帝国でもそれは言うな」

 「そっか。カウカウのミルクか‥‥」


 この日以来俺は毎日毎日カウカウのミルクを欠かさず飲むようにしたんだ。









 「狐仮面は帝国に留学するの?」

 リズ先輩の妹のリゼが言ったんだ。

 「ああ」

 「そっか……。じゃあ来年か再来年には私がギャフンと言わしてあげるの!」

 「ああリゼ。楽しみにしてるからな」

 ガシガシと頭を撫でてやった。弟や妹にするみたいに。

 「やめてよー。
 狐仮面はやっぱり私のことが好きなの?」

 「なんでそうなるんだよ!」

 「ぜったいそうなのブツブツブツ‥‥」

 「てかリゼ、お前は飛べるようにしとけよ。もったいないぞ。高い位置から重力魔法使えりゃ無敵じゃん!」

 「わかった。頑張るの」



 【  招待国主(領主)side  】

 「披露宴の引出物っていえば中を見ずに家人に渡すとしたものだがな。これは見ねばな」

 「ああ、あれほどの料理を出してきたのだからな」


 2次会の宴席も落ち着き、そろそろお開きが近くなった頃。
 円卓では引出物を広げる国主や領主の姿があちこちに見え始めた。


 「こ、この包み、鞄ごと紙なのか!」

 「こ、この包み(アレク袋)、料理が入っておるぞ!」


 「「まさか紙(スライム袋)でこんなものまで作れるものなのか!?」」


 「招待状でさえ城の誰もが驚いたというのに?!」

 「規格化されたアレク袋か‥‥」

 「兵站の概念が変わるな‥‥」


 「「「まさか北の辺境ヴィヨルドがここまでとは‥‥」」」


 円卓にて引出物を1つずつ開けながら吟味をしだす国主や領主たち。


 「あらあらあちらは品がないわねー。お客様の邸宅で引出物の中身を吟味するとは」

 「女王様わからんでもありませんぞ」

 「あれだけのものを食わせたヴィヨルドだからな」

 「あーアレクサンダー皇帝よ。それは違うぞ」

 「何がじゃレイモンド皇帝?」

 「狐仮面君じゃろて」

 「フッ」


 ガハハハハハ
 わははははは
 フフフフフフ
 あははははは

 
 「だいたいレイモンド皇帝よ。中に何が入っておるとか、誰が何を作ったとかを知り得る草を飼うておるのは中原広しといえどこの円卓におる4ヵ国くらいじゃろうて」

 「アレクサンダー帝ご訂正いただけますかな。我ら法国は国とは言いますが国に非ずですぞ」

 「あーそりゃ失礼したの。女神教様ご一行様よ」

 「ん?何やら毒のある言い方ですのぉ」


 わははははは
 ガハハハハハ

 

 ◯  VIP用引出物

〈食品〉
・湯煎ですぐ食べられるシリーズ(常温60日保存可)
 ツクネ(ハンバーグ)
 キーサッキーのイカ飯
 コンソメスープ
 ポタージュスープ
 カレースープ
・お湯を入れるだけで食べられるシリーズ(常温90日保存可)
 金粉入VIP用粉芋
・水を入れて焼くだけシリーズ
 金粉入VIP用パンケーキ
・未開封で120日保存可のデザイン缶箱入焼菓子類
 クッキー、ビスコッティ、マドレーヌ等
 袋入シナモン焼き

・瓶入りマヨネーズ



 それは享楽的に生きる国主や領主の間では。

 「こんな美味いものが湯煎だけで食えるのか!」

 「毒味の心配もないから温かいまま食えるぞ!」

 「帰ったら早速ミカサ商会を呼ばねばの」



 それは周辺において紛争を抱える国主や領主の間では。

 「これは兵站そのものの概念が変わるわの」

 「塩スープと干肉だけでは士気も上がらんからの」




 「見てみいペイズリー。肌身で戦を感じておる国主らの様子を」

 「仰るとおりです大殿。そこまで考えるとはさすがは王国の剣 ヴィヨルドかと」

 「ああ」

 「何さっきから言ってるのよねーおっさんたちは。
 素直にお料理がカンタンに食べられるわって言えばいいのよ」

 「女王様しーーっ!」




〈記念品〉
・ロジャーフィギュア1/12


 「これが100体か」

 「すごいですな‥‥」

 「なんたる魔力量。なんたる精緻な魔力操作よ」

 「あの時計塔も発現したんだろ」

 「こんな大器は大君ならずとも自ら指導したくなりますわな」

 「そうだろうユダ」

 「ええ大君」




〈文房具〉
・メモ帳・鉛筆・鉛筆削り
・和紙の便せんまたは洋紙の引換券


 「このメモ帳、鉛筆、鉛筆削りの3点セット。ヴィヨルドはすべての領内の子どもたちに無償配布するらしいな」

 「前領主のヘンドリックかジェイルの指示だろうがな」

 「次代の領民がこれで一気に学力を上げるわな。武力だけに頼らない、あの英邁な親子の怖いところよ」
 
 「まあ何にも考えてない小国やアホな領主なんかはロジャーの金ピカ人形や絹の反物で喜んでるがな」




 「おおーロジャー殿の人形だぞ!まさか金でできておるのか!」

 「これはわが家の宝物庫に入れねばの」

 「この絹の反物の素晴らしきこと!妻君が喜ぶじゃろうな」




 【  未成年者side  】

 「(狐仮面、いやアレク。頼みがあるんだ)」

 「(トマスなんだよ)」

 「(来月。冬休みになった1週間くらい時間は取れないか)」

 「(ん?いいけどどうして?)」

 「(実は‥‥)」


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