アレク・プランタン

かえるまる

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第2章 幼年編

438 冬休みの依頼〜圧勝

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 「トマスどうだアレクは?」

 「兄貴どこ行ってたんだよ!」

 「ちょっとな」

 「どうせ姫と遊んでたんだろ!」

 「フッ。まあそんなとこだ。でどうなんだアレクは?」

 「アレクは見てのとおり圧勝だよ」

 「フッまあ当然か」

 「なあ兄貴あいつは最初からあんなに強かったのか?」

 「強いには強かったな。ただなトマス、あいつは毎日毎日俺たちの修行以上に努力をしていたぞ。だから日々進化をしていたな。それは今も変わらないだろう」

 「兄貴俺も努力したらあいつに追いつけるかな?」

 「ああ。あいつ以上に努力すればな」

 「わかったよ兄貴」

 「がんばれよトマス」

 満面の笑みを浮かべるトマスの頭をぐしゃぐしゃと撫でるキムだった。





 「さあ狐仮面がいよいよ5階まできたよー!
 圧倒的な力をみせてきた狐仮面。
 最後に闘うのは5階の主いやデグーの破壊神レベラオスの登場だあああぁぁぁぁぁぁ!」


 うおおおおおぉぉぉぉぉぉ~~!
 レベラオス  レベラオス  レベラオス  レベラオス‥

 ドンドンドドンッ  ドンドンドドンッ‥

 戦太鼓が鳴り響く。なぜ?

 ピー  ピー  ヒャララーーーーッ‥

 横笛も高らかに鳴り響いてるよ!なぜ?

 なんだよこの異様な盛り上がり方は?


 ずんっずんっずんっ‥

 大柄なマッチョっぽい人影が近づいてきた。へぇー海洋諸国の破壊神ねー。なにが破壊神だよ。どうせ背が高いだけだろクックック。




 「「!」」

 「ヒイィィ~~~ッッッ!」

 「あ~私ぜーーーったい無理。アレクに任せたわよ」

 「ちょっ、シルフィ。卑怯だぞ!俺も逃げたい‥‥」


 それはレベッカ寮長をさらに凶悪にした漢女だった。身の丈2メル。ゴリゴリのマッチョ。

 短パンの下から覗く筋肉質の脚は完璧なムダ毛処理を施して。筋骨隆々の上半身ももちろんツルツルに剃り上げてある。おへそから続く1箇所を除いて……。

 なぜかヘソ上の透け透けのタンクトップ。2つの乳頭が嫌でも目に入る。てかどうしてもそこに目がいくのは俺自身の情けなさだ……。

 「いやあぁぁんっ。どこガン見してるのよおぉぉっっ」

 丸太のような二の腕でその胸板を隠す恥じらいはまさしく乙女レベッカ寮長と同類。真正の仲間だった。


 「あらやだ。かわいい狐ちゃんねぇー。食べちゃおうかしら。
 アタシのことはレベちゃんって呼んでね!うふんっ」

 ばちこーんとウインクをするその目には紫と金ラメのアイラインがくっきりと見えた。

 「アレク‥‥」

 「うん瞬殺。一切遠慮しない」

 「それじゃあ最後の試練。5階の主レベラオスとバトル開始ぃぃぃぃぃぃっ!」















































 「スパーク!」

 バチバチバチバチバチバチバチバチバチ‥
 
 「あうあうあうあうあうあう‥‥」

 ズドーーーーーンッッ!

 レベちゃんは白目を剥いて倒れた。

 「「「‥‥」」」

 「な、な、なんと狐仮面があの破壊神レベラオスを破ったーーーーー!」


 うおおおおおぉぉぉぉぉぉ~~!
 俺レベちゃんが倒れたの初めて見たよ!
 俺も俺も!
 すげええええぇぇぇぇぇ~~!


 「あ~あ倒しちゃった。レベちゃんにチューしてもらわなくよかったの?」

 「いーんだよ!」

 





 「それでは表彰式に移りまーす。狐仮面にはアリアナ姫から記念の冠とと名物の蟹1年分を‥‥」

 やった!やった!
 蟹だよ!蟹!

 「おめでとう狐仮面」

 あっ!姫どこ行ってたんだよ!どうせキム先輩と2人っきりでいいことしてたんだろ!

 「あらバレた?ふふふっ。はい、優勝の冠よ」


 わーわーワーワー
 ワーワーわーわー
 おめでとう狐仮面
 わーわーワーワー
 ワーワーわーわー


 笑顔の姫が俺の頭に冠をかけてくれたんだ。あっこれマングローブの木みたいなゴームの木だっけ?

 「ええ、ゴームの木よ。この木はねグランドの周囲にしか生えてない木なの。川の中から何本も枝分かれして生えてるから大雨がきても流されないのよ。 
 燃やすと臭いから燃料にも使われないの。
 デグー一族に似てるでしょ」

 「そうなんだ‥‥」


 それはデグー一族の悲哀を象徴する木だった。周囲からは奇異な目で見られそれでも一族で助けあって生きてきたそんなデグー一族を象徴する樹木。

 俺は冠を手に取ってしげしげと見つめたんだ。

 ん?

 「姫この接続部って?」

 「ええゴームの木からはこんなふうにネバネバした樹液が出てくるのよ。だからその樹液を塗っておけば自然にくっつくの。
 まあなんの使い道もないゴームの木はまさにデグー一族みたいなんだけどね」

 そう言いながら寂しそうに笑うアリアナ姫だった。


 「さぁ狐仮面の優勝祝賀会をやるわよ!」

 そう言ったアリアナ姫はさっきまで俺たちがいた煌びやかな建屋に入っていった。


 俺は冠のゴームの木をしげしげと眺めながら呟いたんだ。

 「やっぱりそうだ‥‥」

 

 「行くぞアレク」

 「キム先輩」

 「ん?」

 「キム先輩‥‥知ってて?」

 「ああ。いろいろとな。
 だから今回はお前が居たらって思ったんだよ。
 本当に運が良かったよ。お前がこんなに早くダンジョンから帰ってきてくれて」

 「あははは‥」

 ようやく話が繋がったよ。

 「キム先輩。デグー一族はもう裏の仕事をする必要もありません。これやっぱり俺が欲しかったゴムの木ですから」

 「わかった。ありがとうなアレク」

 「はい!」


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