教室の悪魔

ひまり

文字の大きさ
3 / 6
はじまり

3

しおりを挟む
キーンコーンカーンコーン


「終わった…」


5教科のテストが終わった。


「みんなよく頑張った!結果は明日にでも出すから今日はこのままHR無しで帰っていいぞ!」


奥田先生は、答案用紙をトントンと整えて足早に職員室へ走って行った。


_____疲れた

テストを終えてどっと疲れが来ていた結菜はしばらくぼーっと空を眺めていた。


気がつくとクラスの半数はもう帰宅していた。


「……ねぇ、ちょっとお願いがあるんだけど」

帰ろうと支度をしていた結菜に美玖が話しかけた。


顔を上げると、遥と花梨も結菜を囲むように立っていた。


「無視?」

不機嫌そうに口を開いたのは遥だった。

「…ごめん、なさい、」


高圧的な態度に結菜は縮こまった。



「あのさ、今から奥田先生に言って席変わってもらおうと思うんだ、だからついてきてよ」


「え、、、なんで、ですか、?」


「いや、あんたみたいなインキャが颯君の隣なんて、かわいそうじゃん」


「………今からですか?」


結菜は早く帰って寝たかった。


「当たり前じゃん、行くよ」


半ば強引に職員室に行くと、奥田先生はおらず、
他の先生から化学準備室にいると言われた。


化学準備室は、校舎の端っこにあるらしい。

「窓際かつ、颯くんの隣なんて神席すぎるよね!」


「いいなぁー美玖も窓際が良かったなぁ」


「美玖は奥田先生狙いでしょ~」

きゃっきゃと楽しそうに話す
3人の後ろを結菜は黙ってついていく


しばらく歩くと、
先の方の部屋でちょうど戸締りをしている人影が見えた。


「ねぇ、あれ先生じゃない??」


その声にその人物は気がついたようで、こちらに近づいてきた。


「お!どうした??」

その人物は奥田先生だったらしく、先生の方から私たちに気がついたようで手を振る影が見える。

「奥田先生~ちょっとお願いがあってぇ、」


美玖は猫撫で声出かけより、奥田先生の腕を掴んだ。


「…ちょ…っ、どうした」


「実は私目が悪くて黒板がよく見えないんです。それで、新川さんが変わってくれるって言ってくれて、席交換したいんですよ」


「……、そういうことか……」


「ダメですか?」


「うーん。実は他の先生も含め、ある程度顔と名前が一致するまでは席替えはできないんだ、初めはまだ本格的な授業はしないだろうし、来週にはできるようにするから、少し我慢できるか?」


「……………」


あからさまに嫌そうな顔をした遥はちらっと美玖の顔を見た。


奥田先生に好意を抱いている美玖の前であまり先生に迷惑かけるような行為はできないからだろう。

しかも、
希望は席替えではなく、颯の隣の席だ。


2人の様子を見て、花梨が口を開いた


「そうなんですね。。。残念です、来週楽しみにしてますね!」


「あぁ、ごめんな。。。ってか新川、どうした?顔色悪いぞ」


結菜はいきなり名前を呼ばれてつい、ビクッと肩が反応してしまった。


「大丈夫か?」

反応がないことに心配したのか、気がつくと奥田先生は目の前にいた。


「…大丈夫です。」


「そうか、もう遅いから4人とも気をつけて帰れよー」


「はーい!じゃあ奥田先生また明日~」


「早く帰ろ!」


結菜はぐいっと美玖に腕を掴まれ少しよろけた。


_____絶対わざとだ。

荷物を取りに教室に戻ると結菜等以外誰もいなかった。


「ねぇ、インキャだからって奥田先生にも心配されてよかったね!」
 

_____めんどくさい…


結菜は心の中でため息をついた。


「いいじゃん!ほっとこ!奥田先生も颯くんも、あんなやつに気があるわけないじゃん笑」


「確かに~笑」


花梨の言葉に同情したのか、納得したのか、3人はやっと教室を出て行った。



_____そうだよ、奥田先生だってクラスでいじめとか問題が起きるとめんどくさい。だから気を遣ってるだけ。

_____私に話しかけるのに意味なんてない。

「……帰ろう。」


結菜は鞄を掴んで教室を出た。







しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

診察室の午後<菜の花の丘編>その1

スピカナ
恋愛
神的イケメン医師・北原春樹と、病弱で天才的なアーティストである妻・莉子。 そして二人を愛してしまったイケメン御曹司・浅田夏輝。 「菜の花クリニック」と「サテライトセンター」を舞台に、三人の愛と日常が描かれます。 時に泣けて、時に笑える――溺愛とBL要素を含む、ほのぼの愛の物語。 多くのスタッフの人生がここで楽しく花開いていきます。 この小説は「医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語」の1000話以降の続編です。 ※医学描写はすべて架空です。

処理中です...