三ヶ月間の両思い

ろむこ

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第十三話

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「ねぇ、エルノワ嬢。従兄弟殿はね、意地っ張りなところがあって素直じゃないけど、君の事となるととたんに子どもに戻ってしまうんだ。ヴァイン本人は非常に気にしているけど、この五年間誰にもヴァインの病は伝染っていない。医師も伝染らないと明言している。だから、今日来たばかりの君にお願いするのは申し訳ないんだけど、ヴァインと共に過ごしてあげてくれないか?君がむかっていると知ってから、本当に見違えるように元気になったんだ」



ヴァインの命の期限は、本当に限られている。



「わたくしで、お役に立てるのであれば喜んで」



自分を役に立たない出来損ないだと言った少女は、今こんなにも必要とされている。







「私の一番のお気に入りの絵はね、一番最初に送ってくれた君の自画像だよ」



毎日、話しをした。

時には、丸一日意識が戻らず、横たわるヴァインに一方的に話しかけたりした。



「でも、この君は四年前の君だから、今のほうが大人っぽいね。綺麗だ。私の為に今の君を描いてはくれないかい?」



絵の具は独特の匂いがあるから、ヴァインの体調に良くなかろうとキャンバスをヴァインの部屋に持ち込み、鉛筆の濃淡で自画像を描いた。鏡で自分を見ながらエルノワがエルノワを描く姿を、ヴァインは笑顔で眺めていた。



「ヴァイン様」



「ねぇ、その、様ってやめないかい?

私もエルノワをエルと呼びたい」



なんだかとても夫婦らしいじゃないか。

そんな事を言われたら、頑張るしかないではないか。



「ヴァ、ヴァイン……様」



「惜しい」



「ヴァイン……」



「なに?エル」



真っ赤な顔をのエルノワを、ニヤニヤと笑いながらからかうヴァイン。

少し悔しくて、エルノワはやり返したくなった。



「ヴァイン」



「なーに?エル」



「大好きです」



「えっ!?」



「鉛筆を、取ってまいりますわね」



「エル待って、鉛筆ならそこにそんなに沢山あるじゃない。エル、エル」



恥ずかしくて、逃げ出してしまった。



手紙のやり取りでずっと、いい人だな、と好感をいだいていた。

会って、話して、好きになった。

好きだと、愛していると、言葉でも態度でも伝え続けてくれる。

もっと好きにならずにいられるだろうか。

わたくし達は夫婦なのだ。

好きあっていていいのだ。許されるのだ。



この想いをどう伝えればいいのか悩んでいたが、見本となる先生は一番近くにいた。旦那様本人だ。

わたくしだって、負けじと伝えていこう。

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