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2章「vs後輩」_16話
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外に逃げれなくなった訓練参加者が、訳もわからなくなり結界を無闇に叩いている。よく魔力の流れを見れば薄くなっている層があると言うのに。何人かはアルフレードが指導している顔があり、彼は顔を顰めた。
「まぁ…誰をどの班に入れるか、または訓練を延長するかを検討するにはいい機会になりましたね」
眉を顰めたアルフレードは、隣に立つ副班長を見る。中庭に目を向けたまま、マーギットは話を続けた。
「最近、軍の質が落ちているとあらゆるところから声が上がっていましてね。近々、官僚含めて体制や人事が見直される事が決定しています。新人だけでなく、我々正規職員も。この訓練はその評価の1つになる。まさか、それが狙いですか?」
そう言って彼が目を向けた先には、アンジュの2番目の兄セオドアがいた。壁に背を預け、興味がないような顔つきで訓練を眺めている。
彼の肩には契約している精霊・アフも姿を表していた。ケヒケヒと愉快そうに鳴きながら、大きな赤い瞳を中庭に目を向けている。
「もしかして俺に言ってるのか?悪いが知らないね。自己消滅するだけ不燃ごみよりマシな奴らだと分かっただけで、なんの問題も解決していないじゃないか。俺らが動くならアンジュを巻き込まないし、全て綺麗に一掃する。職場で集団リンチを考える奴と、案に乗った馬鹿どもと一緒にされては困る」
訓練の首謀者かと聞かれたセオドアは不快感を現す。今にも噛みつきそうな険しい表情に変わった。
アフも「ケッ」と機嫌悪そうに喉を鳴らす。
マーギットは心底不機嫌そうなセオドアの態度を信じることにした。セオドアがブルナー家当主である兄に許可を得ず独断で動くとは考えづらい。2人で共謀するならば愛する妹を巻き込まないだろう。未だに5年前の追試試験に対してブルナー当主から嫌味を言われると、会議に参加する上官たちが文句を言っていたのを思い出した。
「これは失礼なことを言いました。申し訳ない」
謝るマーギットに、セオドアは微笑んだ。
「なに、気にしないでくれ。誰にだって違いはあるさ。どこぞの班長も、新人を特別訓練に参加させてしまったみたいだしなぁ」
ビクリ!
エゼリオが肩を大きく跳ねさせた。
その反応から、班長エゼリオがなぜ訓練会場にいたのかを察したマーギッド。今日1番爽やかな笑みを浮かべた。額には血管が浮き出ている。
「それはそれは。大層文句が溜まっておられますでしょ?代わりに私からお伝えさせていいですか?」
「任せられるなら頼みたい」
「ありがとうございます。教えていただいて」
「なに、協力し合うのは社会人としては当然のことさ」
ふふふ。ははは。
穏やかに笑い合う2人。ひしひしと伝わる圧を背に感じながら、件の班長は1人冷や汗で制服を濡らしていた。『アンジュに戦闘指南を受けるから訓練に参加させて欲しい』と許可を取りに来たロザリーに、詳細を確認しないで軽く承諾したことを後悔している。アンジュ・ブルナーに稽古してもらえる機会はそうそう無い。時間があれば自分も一戦交えたいとまで考えていた。
殺気だった訓練参加者にやる気のないアンジュ、時折笑いが漏れるウィリアムの姿に、ようやく事態の異様さを把握した。
責任逃れのしようがなく、エザリオはただただ項垂れることしかできなかった。
会話は打ち切られ、沈黙が流れる。
打つ音、倒れる音、蹴る音、殴られる音。軽やかな足音、風を切る音。時折混じる泣きげ絵に叫び声。
「ケケケ」
セオドアの耳元に、意地の悪い笑い声が聞こえてきた。アンジュが相手を薙ぎ倒していく様子に、肩に乗る相棒が心底楽しそうに腹を揺らし、手を叩いている。
「強くなった。なぁ?」
アフに同意を求めれば、「ケヒッ」と嬉しそうに頷く。喉元をなでてやれば、アフは気持ちよさそうに目を細めた。
昔は感情に流されて力を溢れ出させていた末の妹。中庭で駆け回る今の姿は、瞳に涙を浮かべながら必死に特訓を受けていた頃から見違えるほど逞しく成長した。
「まぁ…誰をどの班に入れるか、または訓練を延長するかを検討するにはいい機会になりましたね」
眉を顰めたアルフレードは、隣に立つ副班長を見る。中庭に目を向けたまま、マーギットは話を続けた。
「最近、軍の質が落ちているとあらゆるところから声が上がっていましてね。近々、官僚含めて体制や人事が見直される事が決定しています。新人だけでなく、我々正規職員も。この訓練はその評価の1つになる。まさか、それが狙いですか?」
そう言って彼が目を向けた先には、アンジュの2番目の兄セオドアがいた。壁に背を預け、興味がないような顔つきで訓練を眺めている。
彼の肩には契約している精霊・アフも姿を表していた。ケヒケヒと愉快そうに鳴きながら、大きな赤い瞳を中庭に目を向けている。
「もしかして俺に言ってるのか?悪いが知らないね。自己消滅するだけ不燃ごみよりマシな奴らだと分かっただけで、なんの問題も解決していないじゃないか。俺らが動くならアンジュを巻き込まないし、全て綺麗に一掃する。職場で集団リンチを考える奴と、案に乗った馬鹿どもと一緒にされては困る」
訓練の首謀者かと聞かれたセオドアは不快感を現す。今にも噛みつきそうな険しい表情に変わった。
アフも「ケッ」と機嫌悪そうに喉を鳴らす。
マーギットは心底不機嫌そうなセオドアの態度を信じることにした。セオドアがブルナー家当主である兄に許可を得ず独断で動くとは考えづらい。2人で共謀するならば愛する妹を巻き込まないだろう。未だに5年前の追試試験に対してブルナー当主から嫌味を言われると、会議に参加する上官たちが文句を言っていたのを思い出した。
「これは失礼なことを言いました。申し訳ない」
謝るマーギットに、セオドアは微笑んだ。
「なに、気にしないでくれ。誰にだって違いはあるさ。どこぞの班長も、新人を特別訓練に参加させてしまったみたいだしなぁ」
ビクリ!
エゼリオが肩を大きく跳ねさせた。
その反応から、班長エゼリオがなぜ訓練会場にいたのかを察したマーギッド。今日1番爽やかな笑みを浮かべた。額には血管が浮き出ている。
「それはそれは。大層文句が溜まっておられますでしょ?代わりに私からお伝えさせていいですか?」
「任せられるなら頼みたい」
「ありがとうございます。教えていただいて」
「なに、協力し合うのは社会人としては当然のことさ」
ふふふ。ははは。
穏やかに笑い合う2人。ひしひしと伝わる圧を背に感じながら、件の班長は1人冷や汗で制服を濡らしていた。『アンジュに戦闘指南を受けるから訓練に参加させて欲しい』と許可を取りに来たロザリーに、詳細を確認しないで軽く承諾したことを後悔している。アンジュ・ブルナーに稽古してもらえる機会はそうそう無い。時間があれば自分も一戦交えたいとまで考えていた。
殺気だった訓練参加者にやる気のないアンジュ、時折笑いが漏れるウィリアムの姿に、ようやく事態の異様さを把握した。
責任逃れのしようがなく、エザリオはただただ項垂れることしかできなかった。
会話は打ち切られ、沈黙が流れる。
打つ音、倒れる音、蹴る音、殴られる音。軽やかな足音、風を切る音。時折混じる泣きげ絵に叫び声。
「ケケケ」
セオドアの耳元に、意地の悪い笑い声が聞こえてきた。アンジュが相手を薙ぎ倒していく様子に、肩に乗る相棒が心底楽しそうに腹を揺らし、手を叩いている。
「強くなった。なぁ?」
アフに同意を求めれば、「ケヒッ」と嬉しそうに頷く。喉元をなでてやれば、アフは気持ちよさそうに目を細めた。
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