お題箱 集作

セン

文字の大きさ
3 / 3

お題箱消化③ ★

しおりを挟む
お題『正座のし過ぎで動けなくなり、言葉も発せないまま2人でただただ痺れが無くなるまでもがきながら耐える角名くんと北さん』



 時は放課後、場所は体育館に接する男子排球部部室。角名と北は向かい合い正座をしたまま対談していた。
 今回は角名に向けてのおしかりお説教ではなく、毎日喧嘩を繰り広げているチームメイトの宮双子についてだった。
以前に北は同様の話を、角名と同じ2年のチームメイトである銀島にもしたようだ。(どうせなら怖いから2人で一緒に話を聞きたかった、なんて正論パンチで返されるので言えるはずも無く。)

 「___ちゅうわけで、すまんけどまた双子が言い合いになる前に止めてくれへんか。俺呼んでくれてもかまへんから。 …もうこんな時間やな。部活終わりに居残りさせてしもてすまんな、角名。」

 「いえ…善処ぜんしょします。俺に止められるか分かりませんけど。」

 一言二言、話の結びとも取れる言葉を交わし帰宅しようと2人は各々おのおののエナメルバッグを手に取り腰を上げる。



______が、2人は足に嫌な感覚を覚えた。神経の痛むような響くような、はたまた電撃を喰らったかの様な、なんとも言えないこの感覚。

 「~~~ッ!」
 声にならない痛みに一度上げた腰を下ろしてしまう角名は、目の前の先輩は大丈夫なのだろうと思いつつ、痛む足を軽く揉みほぐしながらゆっくりと上を向く。


 「アカンな…ちと長く話しすぎてしもたわ。ふふ、俺も足、痺れてしもたわ。」

 目の前には角名同様、足の痺れを解しながら言葉をこぼし苦笑する、いつもは見られない姿の北が居たのだった。
なんともレアな光景にシャッターを切りたかった角名だが、これ以上は正座時間を増やすまいと思いぐっとこらえた。

 5分程で足の痺れは解け、ようやっと帰れるまでになった。何せ部活終了後、双子のことについて小一時間、正座で、話をしたのだ。あの完璧人間と言われた北でもこたえたようだ。



 「ほんまにこんな時間まですまんな。腹減ってるやろし、足しになるもん買ってやりたいけど時間も時間や。危ないから真っ直ぐ帰ろか。」

 ほんの一瞬だが、角名は動きが固まってしまった。今日は本当に珍しい北さんばかり見ているからだ。足は痺れるし、奢ろうとしてくれるし…(真っ直ぐ帰ろうと言ったあたりはいつも通りだが)

 「はい」と一言角名が返事をし、2人で並んで帰る足取りはもう軽かった。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

秘密のキス

廣瀬純七
青春
キスで体が入れ替わる高校生の男女の話

セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち

ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。 クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。 それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。 そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決! その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。

処理中です...