香りの比翼 Ωの香水

天埜鳩愛

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2 別離の痛み

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朝、ソフィアリは高熱を出し学校を休んだ。セラフィンはソフィアリにずっとついていたがったが、父はそれは許さず一人登校していった。

汗だくの身体を拭いてもらい着替えさせてもらうと心の健康は伴わないまま、身体はだいぶ楽になった。
とろみのあるスープを祖母のような侍女頭に飲ませてもらい、ソフィアリは安心したように再び眠りについた。

再び意識がはっきりしてきたとき、複数の人の話し声が聞こえてきた。
薄っすら目を開けると信じられないことに、日頃この時間に家にいることのない父と母、侍女頭に家令までもが揃って何やら話し込んでいた。

目を覚ましたソフィアリに気がつくと、母は安堵した顔で床から置きあげれぬほど弱り切った息子にがばっと抱きついてきた。

「良かった。目を覚まして」

おおげさだなと言いたかったのだが、何故かうまく声がでなかった。
酷い風邪を引いてしまったように喉が痛い。身体もあちこち痛むのだ。

どうして寝台に寝ているのだろう?学校はどうしたのだろう?
そう考えた瞬間、心当たりを思い出して、記憶に揺さぶられるように身体が震えだした。
母はそんなソフィアリの変化を見逃さずに大きく手を広げ、華奢な身体でソフィアリを抱きしめた。

「……怖い思いをしたのね。私たちの配慮が足らないばかりに」

瞬間心臓を掴みあげられたようにキリキリと痛み、鼓動が強く脈打ち始めた。

昨晩のことを、母たちに気づかれている。
……知られたくなかった。
憐れむような父や使用人たちの視線にいたたまれずに目を背ける。
ソフィアリは自分がとても無力で弱く、生きているにも人の手を借りるほどの存在に成り果てたかのような絶望を感じた。

「坊っちゃま。お着替えをさせていただいたときにマリアはお身体に…… 情交の跡を見つけてしまいました…… 医師により破瓜の形跡がないか調べさせていただきましたが、そちらは大丈夫でございます。ですが首筋には噛みあとも……」

「やめて! やめてくれ。もうわかったから」

ソフィアリは両手で顔を覆うと涙をこぼして項垂れた。
そんなソフィアリを父が母ごと抱きしめてきた。

「まだ番になったわけではないが、このままではいずれはセラフィンの手にかかるだろう。アルファの執着は相手を手に入れるまで、けしてとまらない。辛い選択だがお前たちを守るためには、発情期を迎える前に離れ離れにするしかないと思う。それほどに幼い頃から引き合うアルファと、オメガは引き離しがたいものだ」

それは俗に魂の番とも言う言葉で表されているアルファとオメガの関係のことだ。

双子である自分たちがどうしてそんなにも引き合うのかは疑問だが、ごくごく小さい頃からともに育ったためにお互いのフェロモンを感知しやすくなっているのか…… 

ふと見上げると厳格だが愛情深い父の青い目は初めて見る涙に少しだけ濡れていた。ソフィアリはもう後戻りができないような運命の淵に立たされているのだと即座に悟りずしっと胃の腑に何か重たいものが入ったような心地になった。

「本来ならばセラフィンをお前から遠ざけるのが適切だ。オメガであるお前は嫁ぐ日まで大切に母のもとで育ててやりたい。
しかしその場合セラフィンは何をしてでもここに戻ってこようとするだろう。
だからお前を隠すことのほうがやり方として賢明だ」

「嫁ぐって…… 俺は誰とも番いません。俺は……」

父はさらに力強くソフィアリを抱き締めた。年をとってから生まれた子どもたちである。今まで本当に大切に慈しみ育ててくれた。

「わかっている。お前も自分を当然アルファと思い育ってきて、いつか私達と同じように国を動かす仕事につきたいと思っていたことも…… 成績も優秀で負けず嫌いの頑張り屋であることも、よくわかっている。……しかし、現状貴族のオメガの男子が国の要職についているのは極めてまれだ」

それは敏いソフィアリにも当然わかっていた。だからといって自分が学校の友人たちの誰かや父の部下の誰かなどに嫁ぐと考えただけでも総毛だつほのど嫌悪を感じる。オメガだと判じられたからと言って、今まで15年間育まれた意識がそう簡単に変わるわけではないのだ。

「ソフィアリ。私達から遠く離れて知らない土地で一から生き直すことをしてみるか?」

ソフィアリは長いまつ毛を反らして大きな青い目を見開き、父に猛然と抗議する。今までは自慢の息子とソフィアリたちを周囲に話していた父がオメガとなったら用なしと、自分を見限ろうとしているのかと。急に突き放されたように思ったからだ。

「誰かにオメガとして嫁がされるのですか?」

父は厳しい顔をしたまま首を振った。母はそんなソフィアリをさらに力を込めてぎゅっと抱きしめる。

「オメガとして中央の貴族の家に嫁ぐほうがまだ容易い道かもしれない。しかしそれをお前が望まぬのならば…… 南に母の一族の小さな領地がある。そこにいる領主の跡を継ぎにいってみないか?」

父からの思いがけない言葉に母も小さく頷いて身体を離すと幼い頃髪を梳いてくれたような優しい手つきでソフィアリの頭を撫ぜた。柔らかな感覚が伝わり、涙が滲みそうになる。父と同じく涙のにじむ空色の目をソフィアリに合わせ、母は日頃よりずっとはっきりとした口調でソフィアリに言って聞かせる。

「私の大叔父、リリオン様は生涯独身を貫かれていて、ご高齢だけど跡取りはないの。中央で生まれ育ったけれど今はのんびりと南の田舎の街の領主をされているわ。気候も温暖で海もあって、花畑で香水を作ることが盛んなのよ。素敵な場所だから、きっとソフィアリも気にいるわ」

そう言いながら肩を震わせて泣き出した。
そんな母を父の腕の中からソフィアリも抱きしめる。こんなにも柔らかく甘やかで優しい人と自分が同じバース性などと未だに信じられない。
母はソフィアリの理想の女性だった。

「まだ、ずっと一緒に暮らせると思っていたのに……」

「母様、ごめんなさい」

しかしその謝罪に母はついに泣き崩れた。

「私が貴方達をこんなふうに産んでしまったから。ごめんなさいっ! ごめんなさい……」

泣きじゃくる最愛の番を抱き止め、父はソフィアリにこう声をかけた。

「お前がオメガとして生を受けたことは誰のせいでもない。しかしきっとお前がオメガとして生きて良かったと思える人生を送ってほしい。この屋敷のものも誰でも望む者を…… お前が心を許せるものを共につけよう。金銭的な援助も惜しまない。しかし基本的にお前は学校を辞め、独り立ちすることには変わらない。どうする? 自分で選ぶのだ」

ソフィアリは腹に力を込めて頷いた。挑戦することで自分自身のプライドを保ちたかったのだ。

「やります。俺は一人でもその土地に行って領主の跡を継ぐ。俺も大叔父上のように生涯誰とも番わないかもしれない。だからセラフィンが追いかけてこないようにしてください。屋敷のものはセラフィンに悟られ、里帰りをできなくなると困るので誰も来なくていい……」

そう言いながら布団の下に隠れた足は震えていた。父はソフィアリがオメガとして判定を受けたときからこの道を考え密かに用意をしていたのだ。

その上でソフィアリの気持ちを図ってくれた。
広く深い心遣いにソフィアリは感謝の気持ちでいっぱいになった。

「南の領地での生活は領主であるリリオン様に頼んでいる。ご高齢のリリオン様のお力になってあげなさい。
しかし道中もこれからの生活もお前がオメガであることを考えて、全てにおいてお前を守るものが必要と思い護衛を用意した。
信用のおけるものだ。そのものに、会ってみないか?」

自分を護ってくれるもの。
今までのソフィアリだったらそんなものは必要ないと突っぱねていたはずだ。
しかし自分の無力さを学んだ今となっては、それは必要なものなのだと身に沁みて分かった。

喧嘩して負けたことなど無かった弟の腕の中から抜け出すことも、抗うこともできなかった無力さを恥じた。
しかし、その上で無力な自分に何ができるのか。挑戦をするために必要なものならば何でも受け入れて使ってやると熱い炎のような情熱が灯る。ソフィアリの腹はすでに据わっていた。



ソフィアリが子どもの頃から慣れ親しんだ屋敷をひっそりとあとにしたのは、父たちと話をした直後だった。
体調が急変して病院に入院することになったとセラフィンには嘘を付き、そのまま別邸に動かされた。

身体が本調子ではなかったのでそのままゆっくり過ごしたいところだったが、セラフィンが入院先に押しかけないとも限らない。
2日後まだだるさの残る身体で父に連れられて、今後ソフィアリの護衛をするという男のもとを訪れることになった。

しかし何か違和感を感じる。父は何も言わないが、連れてこられた施設は何かの事件や事故を起こし、沙汰を待つものが送られる国の施設であろうと、学生であるソフィアリにもわかっていた。そんな場所に居る人物……

「父上、ここ……」

父は無言で冷たい白い石の廊下の先を急ぐ。
扉の前には護衛官が立っていた。

「モルス様、面会室はすでに準備しております」

父は頷き、重苦しい扉を開け部屋に入る。ソフィアリは心の準備もできないままその後に続いた。

そこにいたのは意外な人物だった。
見上げるほどの大男というか、むしろ熊のように大きい。背丈だけでない。身体の厚みは半端なく、今まで見た誰よりも力強い。筋肉でびっしり覆われた身体は鎧を纏っているようで、似合わぬ簡素な布の服から胸元がはだけ隆起してみえるほどだ。

黒髪にギラリとうちから光るようなの艶のある緑色の瞳。虹彩の中央には金色の環が見えた。
浅黒い肌に髭面で顔立ちははっきりわからないが野性味溢れ、年の頃は長兄ぐらいかもしれないが、それよりも強い眼差しに年輪のような深みを感じた。

男は父に向かい低く銅鑼がなったように響く声でこう答えた。

「ああ。分かっている。明日にも出発する」

明日…… そんなにも早く家族と別れることになろうとは…… 入院中の自分についていることになっている母は別邸で帰りを待っていてくれるが、セラフィンにはもう、ひと目合うことも叶わない。

「息子の、ソフィアリだ。よろしく頼む」

父に背中を押され、その歴戦の勇者のような堂々たる男の前に立たされた。

「これからお前を守ってくれるものだ。ラグ・ドリだ」

「ラグ……」

大きな手のひらが差し出される。思わず縋るようにその手をとっている自分に驚いた。
……しかし、文字通り縋っていたのかもしれない。

大きな手がたった一人で海原に流された人間が掴んだ丸太のように見えた。

「師団長、ここを出るぞ。君の荷物はもう車に運んである」

師団長? 軍人なのだろうか。
父の家系は軍人も多く排出していて、沢山いる実弟も親友の一人も軍人だ。父も軍に顔が効く可能性はあるが、この二人の関係性がよくわからない。

馬車はラグと呼ばれた筋骨隆々たる男が乗ると片側にかしくほどだった。

「南までの汽車の切符はとってある。明日朝一番に乗って、クルバで降りる。そこからハレへの街までは直通便はないから乗り合い馬車でも、駅前の紹介所で馬車を手配するでもどちらでも良い。キドゥまでつけばリリオン殿と縁のある、サト商会があるからそこからはその店のものに頼るといい。そこまで行けばハレへはもうすぐそこだ。
この子は身体は丈夫だが、初めての旅になる。どうかよろしく」

父がこうまで丁寧に扱う相手とはいかほどの人物なのだろうか……

「モルス伯爵。この度の一族の者への寛大な処分、感謝しております。ご子息のことは私がこの身に換えてもお守りします」

この男は何か父に借りがあるのだろうか。それにしても本当に信頼に足るものなのかは、ソフィアリは自分自身で判断せねばならないと思った。
二人きりのときに何かされてはたまらない……
もしも発情したとして、大丈夫なのだろうか……
オメガの発情期のフェロモンはアルファにもベータにも効き目がある。父がそこまで考えに至らない思えないが。それでもどうしてもオメガの首輪はつけたくなかった。これはすべてを捨てさったソフィアリの最後の意地のようなものだ。

じっと見つめるソフィアリの視線に気がついた父は、ソフィアリを安心させるように微笑んだ。それが逆に痛々しく感じた。

「ラグは私の旧友の部下で、先の戦線では傭兵部隊師団長として活躍した、歴戦の英雄だ。しかし、今回一族と政治家との争いに巻き込まれて一時的に拘束されていたのだよ。彼は潔白だが、我が家が身柄を引き受ける形で釈放され、軍は除隊になった」

「……どの道、除隊しようとしていたところです。退役してからの行き場もないところを貴方の父上に拾ってもらった、ただの男です」

そういった瞳は静けさをたたえていた。戦士というよりどこかで世捨て人のような不思議な雰囲気だった。これを孤高と呼ぶと呼ぶのかもしれないが、年若いソフィアリは彼からただただ寂しさを感じた。

「向こうについたら下男にでも用心棒にでもしていただければ幸いです」

しかしすごいことになった。
年の離れた退役軍人と二人連れで旅に出ようとは……

少しずつ緊張感が増す中、馬車が別邸につくと、何やら玄関先で人が数人もみ合っている姿が見えた。

心臓がドキドキとする、あの艷やかな黒髪は……

「セラ!」

旅立つ前に一目会いたかったその姿をよく見ようと、身体は自然と窓側に吸い寄せられた。

「いかん、ソフィアリ」

馬車に気がついたセラフィンの真っ青な目が見開かれ、双子のなせる技か瞬時にソフィアリの姿を捉えた。
一時も離れたことはなかった、魂を分け合ったような自分の分身。

「ソフィー!」

「セラ! セラフィン!」

互いに手を伸ばすようにして引き合う姿を父は脅威に感じた。

そのまま御者に馬を走らせるように告げる。

「ソフィアリ!!」

馬の巻き上げる土埃の中、黒い制服姿のセラフィンは懸命に馬車を追いかけてきた。

「父様、だめ! セラが怪我してしまう!馬車をとめて!」

セラフィンが人やモノも気にせずぶつかりながら無茶苦茶に走ってくるのが見えた。

ソフィアリを窓から引き剥がすようにして父は首を振る。

「このまま明日の汽車の時刻までホテルに泊まろう」

もう一目だけでもみたい。
父の腕を振り払いソフィアリは窓を開け、セラフィンに向かって惜別の声を上げた。

「セラ! 元気で! 俺以外にも大切な人を見つけて! 幸せになって!」

距離は離れたが、セラフィンの慟哭が双子のソフィアリにも伝わってきた。
やがて走る速度を落とした愛しい弟の姿は雑踏の中に見えなくなった。

知らずに涙があとからあとから溢れていた。
ちぎれるように胸が痛い。文字通り半身を引き剥がされたような気持ちになった。
今の今まで実感を伴って中央をあとにすると感じたことはなかった。
自分の覚悟は甘かったのだ。もしかしたらもう二度とこの地を踏めないかもしれない。お互いに、番を作らないともはや会うことすら叶わない。

なりふり構わず声を上げて泣いた。馬車が止まるまでの長い間、父は大きな手で泣き濡れる息子の柔らかな黒髪を撫ぜ、まだ薄い成長期の肩を痛いほど強く抱く。
ひとしきり泣いて、馬車が目的の場所で止まった。

「今生の別れというわけではない、生きていれば必ずまた会える」

そういって正面から無骨な太い指が顔を包むようにして涙を拭っていった。
涙で歪む視界に映るラグの深い緑の瞳は、相変わらず静かな森の中のようだ。
しかしその瞳を見て心が落ち着いていくのがわかった。

「いつか生きていく先の自分と彼のために、いまは堪えるんだ」

ぐっとお腹に力を込めて、ソフィアリは泣き腫らした赤い目を上げてラグを見つめ返し頷いた。





















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