ようこそ、一条家へ season2

如月はづき

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18.不安①side白川結衣

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「それでねーっ!その時に柚子がーー」

 たくさん話したい事があったのだろう、柚子からの電話は話が尽きない。

「そう。……あら、そうだったのね。柚子も大変だったわね」

 修斗くんはどうやら、私がいない間に柚子をこき使っている様子だ。全くーーうちの柚子になんて事をしてくれてるのかしら。

「でもね、光くんが助けてくれてねっ」

 先程から3回に1度名前を出している事に、柚子本人は気づいているのかしら。光くんに好意を寄せ始めているーーその事に気づくには充分だ。

「柚子この前初めてレアチーズケーキ食べたの!美味しかったなぁ……」

「あら、そうだったのね。あまり作らなかったから……良かったわね」

 光くんとのお出かけに話が及び、柚子がまた口を開きかけたその時だった。

『おい!柚子、いい加減に風呂入れ!!』

 修斗くんのやたら大きな声が電話越しに響いてきた。どうしてあんな風に大きな声を出すのかしら。世間によく聞く雷親父ってあんな感じなのかしら。

「げぇ、修斗くん来ちゃったぁ。……お姉ちゃんあのね、つづから手紙が来て、怪しい動きが五十嵐領であったんだって!あと、今日一条家に怪文書?って言うんだっけ?意味わからないんだけどお手紙が届いたの!お互い気をつけようねー!……あーもう!修斗くんうるさいっ。ごめんね、お姉ちゃん。またね」

「えぇ、身体に気をつけてね。おやすみなさい」

 私の最後の言葉と共に電話が途切れた。怪しい人物が家の周りをうろうろしていて、更に怪文書。ーーあの時に似ている。



 元々、柚子と私は一乃瀬家の人間だ。その事件が起きたのは、私が12歳頃のこと。
 今回と同じように、怪しげな人影が様々な貴族屋敷で目撃され、それなりに大きなお屋敷には怪文書が送られてきたようだった。当時子どもだった私はその辺りについて詳しく伝えられなかったけれど。

 私達姉妹は、両親からいずれは一乃瀬家、若しくは一条家関連の家でメイドとして働けるようにと養育されていた。それでも、メイド学校に行くまでの間はお手伝い程度で、屋敷の詳しい内部機密までは触れないようにされていた。
 あの頃の一乃瀬家は使用人の門戸も広くいろんな人が働いていた。坊ちゃんのご両親も健在だったし、今より多くの使用人が必要だったのだ。
 流行病の影響は大きく、後継の坊ちゃんと使用人の子どもである私達は割と近い距離で育った。柚子なんて坊ちゃんと大喧嘩した事もあったし、使用人同士も風通しが良く開放的ーーそれが許されている自由な家風の家だった。
 
現在、一乃瀬家は貴族屋敷の中で最も仕えるのが難しい場所の1つとなり、外から見ると閉鎖的な家になってしまったーーあの事件の後から。

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