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episode 4
贅沢なのにもどかしい関係
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「とりあえず俺から話していいか?」
凱莉さんにそう言われて、私は手でドーゾと合図する。
「土曜日なんだが……俺は千尋のお母さんが倒れたって聞いたんだ」
「なんですか、それ」
私のお母さん……。
数日前に電話があった時は、持ち前の明るさでメチャメチャ大爆笑していたくらい元気だった。
そのお母さんが倒れたなんて。
あるはずがない。
「だから今日は来れなくなった……と」
「それ、誰情報ですか?」
当然私であるはずがないし、身内が凱莉さんに連絡するはずもない。
あるとするならば。
「なんていったかな……。よく話しかけてくる、千尋と同期の……」
よく話しかけてんのか……。
「梨央ですね」
「そうそう。千尋がよくそう呼んでたな」
はぁ。
やられた。
「その子と偶然電車で会ったんだ。千尋が慌てててスマホを忘れたからって、わざわざ伝言しに来てくれたんだ」
「はぁ……」
私がそんなことする訳ないじゃないか。
どうして私が梨央なんかに伝言を頼むと思ってんだ、この人は。
「疑問、持ちませんでした?」
「だってあの子は千尋と仲がいいだろ?」
「…………」
そうか。
よく考えたら凱莉さんに、彼を誘惑した張本人の名前を教えてなかった。
給湯室で梨央とのやり取りを聞かれた時も、先に出たのは私で梨央の姿は見てないんだ。
梨央の策略にまんまとハマってしまった……。
凱莉さんにそう言われて、私は手でドーゾと合図する。
「土曜日なんだが……俺は千尋のお母さんが倒れたって聞いたんだ」
「なんですか、それ」
私のお母さん……。
数日前に電話があった時は、持ち前の明るさでメチャメチャ大爆笑していたくらい元気だった。
そのお母さんが倒れたなんて。
あるはずがない。
「だから今日は来れなくなった……と」
「それ、誰情報ですか?」
当然私であるはずがないし、身内が凱莉さんに連絡するはずもない。
あるとするならば。
「なんていったかな……。よく話しかけてくる、千尋と同期の……」
よく話しかけてんのか……。
「梨央ですね」
「そうそう。千尋がよくそう呼んでたな」
はぁ。
やられた。
「その子と偶然電車で会ったんだ。千尋が慌てててスマホを忘れたからって、わざわざ伝言しに来てくれたんだ」
「はぁ……」
私がそんなことする訳ないじゃないか。
どうして私が梨央なんかに伝言を頼むと思ってんだ、この人は。
「疑問、持ちませんでした?」
「だってあの子は千尋と仲がいいだろ?」
「…………」
そうか。
よく考えたら凱莉さんに、彼を誘惑した張本人の名前を教えてなかった。
給湯室で梨央とのやり取りを聞かれた時も、先に出たのは私で梨央の姿は見てないんだ。
梨央の策略にまんまとハマってしまった……。
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