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33章 電話と浴衣とサンダルと
第129話 一緒に帰れるなら、いい。
しおりを挟む「花菜……」
「先生……!」
「心配させてごめんよ。警察から家族に電話したなんて言ったからさ」
処置室の簡易ベッドに座っていた人を目がけて駆けよった。
「もぉ…………、心配したんだからぁ………!! バカぁバカぁ!!」
足と腕に包帯が巻かれている。検査もしたけれど幸いにして手足の打撲で済んだそうだ。
駐車しようとした車が歩いていた先生に気づかずに引っ掛けた……という事故だったらしい。
それでも事故は事故だし、病院に運ばれたわけだから、警察からも連絡が入るのは……、仕方なかったのか……。
よかった……、ひとりにならなくてよくなったんだ。
ホッとして安心したせいか、それまで張り詰めていた気持ちの糸が切れて今度こそ泣きじゃくる私。
「花菜をひとりになんか置いていけるわけないだろ」
「ダメです……。ひとりで置いていかないでください……」
もう今日は離れたくない。我がままかもしれないけれど、ずっとそばにいさせて欲しい。
「奥さまにもお伝えしておきますね。もし明日の夜までにご主人に異変があったら、すぐ連絡してくださいね。交通事故は後から症状が出ることもありますから」
「分かりました」
なるべく安静にという指示だけで、入院の必要もなくこのまま帰宅してもいいとのこと。
交通事故という会計手続きをして、三人で病院を後にした。
「とりあえずよかった。花菜ちゃん真っ青だったから」
「大騒ぎになってごめんな」
「ううん、一緒に帰れるんだもん。それで大丈夫……」
リアシートで隣の腕を放さなかった私。
「病院で最初に私が『奥さまですか?』って聞かれたから、私じゃなくてこっちですって言ったの。『えーっ!』て驚いてたわよ? それで大した事ないんだって気づいてたけどね」
結花先生も場を笑わせるように話してくれる。
「そうそう。俺も先に妹さんも来てくれましたって言われた。仕方ねーから『それ、たぶん妻です』って言ったよ」
「もお、それって私がまだ先生の奥さんに見えないって事ですよね?」
あれだけ大泣きした手前、恥ずかしさも手伝って今度は顔が真っ赤になる。
「それだけ若くてかわいい奥さんなら、妹さんなどに見られてもおかしくないですよ」
タクシーの運転手さんにも言われて、全身リンゴのようになってしまった私の手を先生は握ってくれた。
「誰にどう見られても構わない。実際に花菜は俺の嫁さんなんだから」
「うん。……でも、どうしてあんな所にいたんですか? 学校からも離れてますし」
今回先生が事故に遭ったのは新横浜駅の近く。私たちの家からも職場の学校からも離れている。
「実は午後半休にしてこれを買いに行ってた。在庫を調べてもらったら配送センターの方には届いたと言ってくれてね。箱が少し潰れちゃったけど、中身は大丈夫だったから。受け取ってくれ」
そう言いながら、持っていた紙袋を私に渡してくれた。
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