鳥籠にぬくめ鳥〜スーパー攻め様と愛玩少女がツガイになるまで

タケミヤタツミ

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一章:鷹の爪に捕らわれる

08:血の呪い*

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対面座位の状態から雛子が鷹人の胸に倒れ込むと、頭の芯が痺れた隙を突いてサンダルウッドが無音のまま染み込んでくる。
調教された身体に再び火を着けた男の印。
そして情欲を掻き立てる匂いとして刻み付けられてしまう。

鷹人がゴム越しに吐き出したばかりなので、そこへ精液の匂いも混ざり込む。
暴れる心臓二つが胸の下で共鳴して騒がしい。
改めて抱き合っているとよく分かる。
スーツのジャケットは肩パッドが入っているので長身と相まって割と体格が良く見えたが、今は上半身にワイシャツのみなので意外と撫で肩と気付いた。


汗ばんだ顔に長い髪が纏わり付いてきて鬱陶しい。
当主の好みに合わせて腰まで伸ばしているので少しくらい短くしたいのだが。
その金色の頭を鷹人に撫でられて、雛子は思わず顔を上げた。

あどけない顔立ちは呆けて艶やか。
熱に潤んで溶けそうな暗褐色の双眸で鷹人を映す。

「ンン……っ、むぅ……あの、鷹人様……?」

急に掻き抱かれ、剥がれていた唇をまたも吸われて雛子が困惑の声を零す。
これだけ熱が巡っていれば、流石にもう鷹人の手は冷たくなかった。

愛玩具相手でも情くらいは湧いたのか。
恋人でもあるまいに、足りないとばかりに甘い雰囲気で貪ってくる。
まだ跨ったままなので、スカートの中で射精してから項垂れていた雄が雛子の尻に挟まった状態。
二回目を終えたところだというのに、熱っぽいキスを繰り返すうちにまた硬さが戻ってきてしまった。

やはり五十路の当主とは違う。
若い鷹人は回復も早く、当たっている形を感じてどうにも居心地が悪い。
密かに腰を捩っても知られてしまい、口元で笑われる。


「まだ頑張れよ……それで、お前はこっちでもイけるのか?」

ゴムを外されると一際濃くなる精液の匂い。
白濁に濡れた雄を尻の谷間に擦り付けられて、しゃっくりのように雛子の喉が詰まる。

先程、蕾に指を抜き差ししながら「後で」と鷹人は言っていた。
一本分は慣らされたのでほぐれて柔らかい。
更にゴムから絞り出した精液を塗り付けられて潤滑液代わり。
ぬるぬるした切っ先が今にも入口を抉じ開けてきそうで、思わず雛子は声が震える。

「鷹人様……わ、私……こっち、久しぶりなんです……」
「それで、どうして欲しいのかはっきり言え」
「せめて……優しくして下さい……」
「許してくれとは言わないんだな」

聞き入れてもらえるなど思っていない。
そちらを弄る時、何度拒絶しても当主から酷いことをされた。
押し潰されてしまいそうな羞恥、屈辱、快楽。
雛子に出来るのは覚悟することだけ。

それだけに、キスしていた時とは一転して鷹人が苦々しげな面持ちをする理由が分からない。
従順であればこそ彼にとって都合が良い筈なのに。


「……そうだな、お前は親父に逆らわないように躾けられたんだもんな?」

はて、一体鷹人は何をそんなに苛立っているのやら。
雛子の懇願は半分本心、半分仮面。
その下に冷静な目線を隠しながら落ち着き払って考えていた。
強烈な情欲を抑えている所為かとも思ったが、それだけでもあるまい。

思うに、当主に逆らえないのは鷹人自身も同じだからではないだろうか。

それが嫌で高校進学と同時に屋敷を出たのだ。
だというのに抵抗を諦め、従順な人形のようになっている女なんてさぞかし腹立たしく見えよう。
実際はそんなことないのだが。
雛子の精神は魔物、適応能力が高く図太い。
行き場が無いから耐えていただけ。


「んぅ……ッ」

いきなり貫くようなことこそしなかったが、鷹人が指を蕾に忍び込ませてきた。
たっぷり塗られた精液で滑るので一本、二本と本数が増えても雛子の身体は拒まない。
果たして、これは優しくしているのかどうか。

全てはスカートの下に隠れた出来事。
めちゃくちゃにされる程、蒸れて熱くなって菫色の制服に染みまで作る。

「ぱくぱく開いて、金魚の口みたいになってるぞ……こんなに欲しがってるならもう良いだろ……」

呑み込んだ三本をばらばらに動かされ、泣きそうになっていた雛子に鷹人が告げる。
指を抜かれたら今度こそと分かっているので、その前に待ったを掛けた。


「鷹人様、あの……ゴムは着けてほしいです……」
「だったらお前が着けてみろよ」

そんなことを言われても、当主は着けてくれたことが無かったので何も分からない。
尻なら確かに妊娠の心配こそ無いにしても、もう男の体液を吐き捨てられるのは嫌だった。

「……それなら俺が教えてやるから、しっかり覚えろ」

どうしたものかと雛子が困っていると、鷹人から避妊具の包みを渡されて意外な返事。
思わず素直に頷いて、ゼリー塗れの中身を取り出した。


「そう、そっちが表だ。先端を摘んで、被せて……ッおい、妙なところまで触るな……」

依然として鷹人に跨ったままとはいえ、今は少し下がって雛子が座り込んでいるのは膝の辺り。
ゼリーで指が滑って縺れつつも、指導に従うまま滞りなく準備が進む。
着用する様は靴下のようで何だか可笑しい。
しかし両手で触れている物の存在感が凄まじくて笑えず、恐る恐るといったところ。

どす黒い紫で酷く禍々しかった当主の物とは色も形も違う。
改めて向き合ってみれば、鷹人の下腹部に聳える刀身は長さがあって真っ直ぐ。
突き刺されれば先端が引っ掛かって息苦しくとも、そこを越えれば後は簡単に奥まで届いてしまう。


「ほら、こっちに来い」

何だか妙な雰囲気になってしまったが、これは夜伽の最中。
恋人同士の睦み合いではないのだ。
雛子の腕を引いた時、もう鷹人は元の冷たい面差しに戻っていた。
焦れているのか少し手荒に俯せで押し倒す。

金髪を散らして顔を伏せた枕にはやはりサンダルウッドの匂いが濃く、意識すると火照ってしまう。
腰だけ持ち上げられる格好で制服のスカートを捲られて、白桃に似た尻が剥き出し。
押し開かれれば蕾も花弁も全てを鷹人の眼前に晒すことになり、今までは手探りだったので改めて強い羞恥に心身を灼かれる。
始まる前からもう熱くて堪らなかった。

そうして、耳元に色情混じりながら抑えた息遣い。
背中に鷹人が伸し掛かってきて思わず雛子の肩が一つ跳ねた。
男の重みとシーツに挟まれてどこにも逃げ場が無い。
蕾に押し当たる生硬い感触。
突き立てられたら、もう容赦せずに根元まで一気に。


「かは……ッ、や……あぁっ……」
「確かに、かなりキツいな……指とは違う……」

悲鳴と吐息は両者とも苦しげに。
それなら馴染むまで待っても良いものを、鷹人はすぐに腰を使い始めた。
やはり優しくはしてもらえないか。

「やだ、待っ……あ、ぐぅ……っ、う……」

指や筆ペンから始まった開発は中学生の頃から。
男を受け入れられるまで時間や手間を掛けてゆっくりと慣らされた。
当主はあの悍ましい宣言通りに雛子の後ろの処女も奪い、溢れそうな量の精液を注ぎ込んだ。

完全に全身が穢された感覚をよく覚えている。
それからだった、雛子の中で魔物が育っていったのは。


制服の腰を掴みながら鷹人は獣の荒々しい格好で突いてくる。
濡れたりしない場所なので、粘着いた水音を立てているのは丹念に塗り込まれた精液とゼリー。
久しぶりでも裂けたりせず痛みは無い。
だからこそ同時に響く、腹を圧迫される異物感と抜かれる時の快楽の大きさで雛子は呻く。

「……っは、ぁ、あうぅ……んん……ッ」

こうして肺の空気を全て吐き出した頃、息継ぎの声は少しずつ甘さが混じる。
一度調教された身体は快楽の方へ染まり出す。

背後で男が嘲笑った気配。
顔を見せないまま、雛子の浅ましさを皮肉る。


「今、誰に尻を犯されてるのか分かるか?」
「……っ……たかと、さま……」

子供のように無垢な響きながら、糖蜜で濡れた声が男の名を呼ぶ。

誰に、なんて、どうしてそんなことを。
恍惚としていた雛子の意識を繋ぎ止めているのはサンダルウッドの匂い。

「ッや、痛あぁ……っ、な、なに……?」

瞬間、開いていた襟が破けそうな勢いで肩まで引き下ろされて鷹人に首筋を噛まれた。
そのまま喰い千切られてしまいそうな鋭い痛み。
これは流石に雛子も理性が叩き起こされる。

激しい歯型から、じわりと滲んだ血。
かと思えば手当てのように舐められて訳が分からない。


雛子の脚が震えて立てなくなってきたところで、後ろ向きのまま鷹人に抱き起こされて膝に乗せられた。
今度はベッドのスプリングで飛び跳ねるようにして揺れる身体。
枕に伏せていて何も見えなかった視界も変わる。
こちらのベッドサイドは向かいに大きな窓。
いつの間にか太陽は西に落ちて、もう空は真っ黒に塗られていた。

暗闇のガラスは反射で鏡になる。
そこには男の膝に跨り、清楚で上品な菫色の制服を乱した少女の姿。
非情なまでに映し出されては雛子も流石に動揺した。

背面座位かつ後ろで繋がると大変はしたない。
男の手で脚を広げられたまま、腰を前へ突き出すことになってしまう。
もう制服は纏わり付いているだけで何も隠さず。
重たげに揺れる乳房も、鷹人の雄を呑み込む蕾も、物欲しげに戦慄く花弁も。
涙も涎も泥々で、だらしなく蕩けた雛子の表情までも。

「目を逸らすな、誰に何をされているのかよく見ろ」

赤くなった耳に歯を立てて、鷹人が低い声を吹き込む。
放ったらかしで震えながら蜜を垂らしていた花弁。
こちらまでも男の両手が伸ばされ、十本指で蹂躙される。


噛まれた首筋からはまだ血の雫が滲んでいた。
当主や鷹人、雛子を穢す男達とも繋がっている血。
最上家に脈々と伝わる多淫の呪いを継いで、卑しい行為にすら色情で沸き立ってしまう。

それでも、この忌まわしい血が巡る身体で生きていくしかないのだ。
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