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二章:冷たい鳥籠(雛子過去編)
29:散歩*
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書斎で鷹人に抱かれた翌日、言いつけ通り荷造りを済ませておいた。
流石に持ち物全ては無理なので置いていくとして、どうしても雛子が手放せない物なんてやはり旅行バッグ一つ分かそこら。
加えて制服など学用品を詰めたバッグがもう一つ。
命令に従順というより拒否出来る立場でなく、それにこの屋敷から出られるなら願ったり叶ったり。
鷹人にとって雛子は伴侶として都合が良いということもあり、恋人から婚約者になりたいという。
この数日で本当に妙なことになってしまった。
頭が追い付かないが、こちらの都合をすっ飛ばして勝手なところはよく似ている父子である。
結婚は家の為、利益の為という価値観の一族なので相手を条件で選ぶ政略結婚が当たり前。
学生の頃にはもう見合いをしたり婚約者が居るものなのだ。
その上で、鷹人は「自分で気に入った女が良い」と雛子に求婚してきた。
「もし親父が怒鳴り込んで来ても俺が勝手に連れ出したんだからお前は別に悪くないし、もう二度と触れさせないから安心しろ。そもそも親父が自分の息子より年下の女に手出ししたのが間違いだしな……」
溜息のように苦笑のように鷹人が呟く。
ご尤もなので、それに対して雛子は何も言えず。
大学を卒業するまでという限付きの関係だった当主と違い、鷹人はそれまで間に同棲しつつじっくり口説き落とすつもりらしい。
雛子からすれば飽きられる方が先だと思うので、これはきっと賭けだろう。
果たしてこれは恋になるのか、冷めてしまうのか。
連休前の鷹人はこの一ヶ月を屋敷で過ごすようなことを言っていたが、予定を変えて今日の午後には彼の家に出発することになる。
最上家の滞在自体も急なことだったし、そうやって振り回される雛子や使用人など周囲の方が大変だ。
生まれながらにして命令するのが当たり前の立場で育ってきただけに、どうにも傲慢なところがあった。
ということは今日でメイド服も着納めか。
鷹人は家政婦が欲しくて同棲する訳でないとのことで、共同生活なので雛子も多少は家事をするにしてもマンション一室でこんな大袈裟な格好は必要あるまい。
ただ屋敷に居る間は世話役を命じられたことだしと雛子は黒いワンピースにエプロンを重ねた。
当初ごっこ遊びで乗り切るつもりで袖を通したのだ、これはもう半分は意地。
「子供の頃から見慣れていたから、今までそういう目で見たことなかったが……お前が着ると可愛いな、似合ってる」
「ん……ありがとうございます……」
求婚されてからというもの、鷹人は好意などを積極的に言い表すようになった。
しかしベッドでの甘い言葉を雛子は信じない。
あれは肉や穴として価値があるという意味に過ぎず。
だから、これもそういうことなのだ。
曖昧な返事だけして大人しくキスされておいた。
いつか鷹人が当主の座を継いだら帰ってくる屋敷。
もう荷物も車に積んだし、ここを出たら婚約者として扱うのでご主人様とメイドごっこも終わり。
最後にこの格好でいやらしいことをしたいと、また書斎の机の上に腰掛けさせられた。
昨夜もベッドで耽ったのにまだ精力が残っている。
本当にどうしようもない人だ。
「抱く度に身体が馴染んできた気がする……雛子はどうなんだ?」
「わ……分かんないです……っ」
鷹人に耳を噛みながら問われ、つい濁してしまう。
低く甘い声を吹き込まれて身が縮こまる。
「……それなら、分かるまで可愛がってやるよ」
ああ、火を点けてしまったかもしれない。
どんな行為の時も冷静さを一欠片握っている雛子でも、不意を突かれることはあった。
そうして隙を見せると男は情欲を滾らせる。
これから何をされるのやら。
初めて鷹人と逢ってからまだ数日、しかし身体を重ねた回数はもう思い出せない。
始まってしまうと何度も挑んでくる。
情交は全身を使うので流石に少し疲れるが、彼と同じく多淫の血を持つ上に体力があり丈夫な雛子は潰れずにいた。
それに正直、当主と違って嫌悪感はあまり無い。
泣いても喚いても止めてくれない五十路の男はまるで化物だったので、まず比較対象がおかしな訳だが。
鷹人はベッド以外でも雛子とコミュニケーションを取ろうと試みており、色欲と情を簡単に切り離せる程は冷徹でない。
実際恋人のような空気になることも時々。
錯覚だと思おうとしても、初恋すら知らない雛子は胸が締め付けられる。
「んー……ふぁッ、あ、あぅ……っ」
キスを深めながら、白い脚を這う鷹人の手は薄布で包まれた部分まで辿り着く。
ショーツ越しに弄られて雛子も声が変わった。
舌を絡めて高まっていたところに、冷たい指先によって更に熱が上がる。
「濡れてるみたいだから、もう大丈夫だな……今日は散歩しようか」
喉で小さく笑いながら鷹人が呟く。
言葉の意味はよく分からないが、意地悪な響きなら雛子は確かに感じ取った。
そうして机の引き出しを開ける音で現実に戻される。
ちょうど調教用の品々が仕舞い込んである場所。
「逃げるな」
鷹人の片手でアンクレットを摘まれると、もうどこにも行けない。
所有の証だけでなく拘束具としても優秀。
もう片手は箱を開けて、電動歯ブラシを選び取った。
昨日、散々雛子を弄んだアイテム。
それ以前に自慰の道具として馴染みがあったので何となく直視し難い物でもある。
「ッひ……や、あぁっ、うぁ……」
電動歯ブラシはブラシ部分が取り外し可能。
こうなると柄の部分は振動するアダルトグッズと似たような物だった。
ショーツをずらしてその先端が侵入してくる。
指よりも太さはあれど、もう濡れ始めていた花弁は刺激を欲しており突付かれると拒まない。
滑らかなプラスチックの表面は引っ掛かりが何も無く、鷹人の物よりずっと小さいのでゆっくりなら呑み込まれていく。
「……全部入ったぞ」
「あ……やだ……っ」
外れなくなりそうで思わず雛子は怯えたが、避妊具を着けた上で挿入したのでゴムの結び目だけが花弁に挟まっている。
それでも異物感が腹に留まっていて呼吸の度に意識してしまう。
「あ、あ、あぁぁッ……ひぁ、や、あぁ……っ」
少し苦しげだった雛子が急に飛び上がる。
ようやく鷹人の指が抜かれたのは、太い柄の底にあるスイッチを入れた為。
腹から来る振動が身体全体に響いて熱を生む。
指先を濡らす蜜を舐めながら、鷹人は机の上で悶える雛子を悠々と眺めている。
その表情は加虐心により残酷な艶を増していた。
無慈悲なことをされているのに惹かれてしまう。
視線の強さで動けなくなる。
そうして不意に抱き着いてきたと思えば、雛子を机から下ろす。
とても立ってなどいられないというのに酷なこと。
まるで切れそうな吊り橋の上に居るような不安感で目眩がする。
鷹人の意図が読めなくて訳が分からない。
どうしようと言うのか。
「散歩するって言ったろ……そのまま俺の部屋まで歩けたら外してやるよ」
「今日だけですよ……こんなこと、二度としませんから……っ」
威嚇する猫のような呼吸の中、それだけ言い渡す。
とはいえ、こうなると内股で鷹人の腕にしがみつくしか出来なかった。
潤んだ目を細めて睨んでも強がりに過ぎず。
そこからはなんて長い道のりだったか。
書斎から鷹人の部屋は廊下を挟んで遠く離れており、子沢山だった昔ならいざ知らず住人の少なさに対してこの古い館は広すぎる。
甚振ってくる男と腕を組む形で歩くなんて屈辱。
そう思いつつもこんな淫魔に憑かれたような顔を晒す訳にいかず、使用人の誰とも擦れ違わずに済んだのは雛子にとって幸い。
ゴールでとうとう震える膝が限界。
鷹人の部屋のドアに凭れて崩れ落ち、ボリュームのある白黒のスカートが床に丸く広がる。
振動に耐えながら鷹人に抱き上げられ、雛子が到着したのはベッド。
俯せに倒れ込むとサンダルウッドの匂いが染み込む。
ここ数日で慣らされて、すっかり情欲を掻き立てる物になってしまった。
尻を突き出すような格好にされてスカートが捲られる。
内腿までずぶ濡れになってはショーツも役立たず。
こうして絶え間なく快楽を与えられているのに達することが出来ないのだ。
早く、どうにかしてほしい。
「雛子……悪いが、こっち触るぞ」
ショーツを下ろされてやっと外してもらえると思っていたのに、鷹人が触れてきたのは予想外の部分。
蜜まみれになった濃桃の花弁よりももっと上、物欲しげに戦慄く蕾。
「やっ、そんなとこ……っ、あ、せめて外して……ッ」
「お前の空いてるところ全部塞ぎたい」
流れ落ちる蜜を絡めてから、鷹人の長い指が蕾を慣らす。
三本呑み込んだところで頃合い。
振動する異物を咥え込んだまま、獣の格好で尻までも犯される。
あまり声を上げない雛子も今日ばかりはぐちゃぐちゃに乱れてしまった。
枕を噛んで、カバーに涙と涎が染みを作る。
調教された身体が上書きされていく感覚。
違う男の形を覚え込まされる。
「ほら、外したぞ……雛子、大丈夫か?」
「う……あぅぅ……」
身体の奥を支配する物を引き抜かれても、度重なる絶頂で雛子も呆けたまま呻くのみ。
余韻があまりにも大きくてベッドに溶けてしまいそうだった。
流石に鷹人もやり過ぎたとか悪かったと思ったらしい。
その後シャワーから着替えまで手伝ってずっと真綿で包むように甘やかしてきた訳だが、雛子の無表情はどうにも訝しげな色。
こんなことではとても騙されない。
「単に出す物出してすっきりしたから余裕が出来ただけじゃないですかね……」
「淑女がそういうことを言うんじゃない」
苦笑しつつ鷹人が昼食のスープを冷まして一匙。
雛子の口元へ甲斐甲斐しく運ぶのは何となく親鳥の餌付けを思わせる。
それとも黙らせる意図もあるのやら。
好かれたいなら普通に優しくすれば良いものを。
苦手ではあるが、嫌いではないのだ。
このスープを飲み切ったら屋敷の外へ。
当主が不在のうち、雛子は鷹人と駆け落ちに洒落込む。
鳥籠から逃げた道の先などまだ何も見えない。
流石に持ち物全ては無理なので置いていくとして、どうしても雛子が手放せない物なんてやはり旅行バッグ一つ分かそこら。
加えて制服など学用品を詰めたバッグがもう一つ。
命令に従順というより拒否出来る立場でなく、それにこの屋敷から出られるなら願ったり叶ったり。
鷹人にとって雛子は伴侶として都合が良いということもあり、恋人から婚約者になりたいという。
この数日で本当に妙なことになってしまった。
頭が追い付かないが、こちらの都合をすっ飛ばして勝手なところはよく似ている父子である。
結婚は家の為、利益の為という価値観の一族なので相手を条件で選ぶ政略結婚が当たり前。
学生の頃にはもう見合いをしたり婚約者が居るものなのだ。
その上で、鷹人は「自分で気に入った女が良い」と雛子に求婚してきた。
「もし親父が怒鳴り込んで来ても俺が勝手に連れ出したんだからお前は別に悪くないし、もう二度と触れさせないから安心しろ。そもそも親父が自分の息子より年下の女に手出ししたのが間違いだしな……」
溜息のように苦笑のように鷹人が呟く。
ご尤もなので、それに対して雛子は何も言えず。
大学を卒業するまでという限付きの関係だった当主と違い、鷹人はそれまで間に同棲しつつじっくり口説き落とすつもりらしい。
雛子からすれば飽きられる方が先だと思うので、これはきっと賭けだろう。
果たしてこれは恋になるのか、冷めてしまうのか。
連休前の鷹人はこの一ヶ月を屋敷で過ごすようなことを言っていたが、予定を変えて今日の午後には彼の家に出発することになる。
最上家の滞在自体も急なことだったし、そうやって振り回される雛子や使用人など周囲の方が大変だ。
生まれながらにして命令するのが当たり前の立場で育ってきただけに、どうにも傲慢なところがあった。
ということは今日でメイド服も着納めか。
鷹人は家政婦が欲しくて同棲する訳でないとのことで、共同生活なので雛子も多少は家事をするにしてもマンション一室でこんな大袈裟な格好は必要あるまい。
ただ屋敷に居る間は世話役を命じられたことだしと雛子は黒いワンピースにエプロンを重ねた。
当初ごっこ遊びで乗り切るつもりで袖を通したのだ、これはもう半分は意地。
「子供の頃から見慣れていたから、今までそういう目で見たことなかったが……お前が着ると可愛いな、似合ってる」
「ん……ありがとうございます……」
求婚されてからというもの、鷹人は好意などを積極的に言い表すようになった。
しかしベッドでの甘い言葉を雛子は信じない。
あれは肉や穴として価値があるという意味に過ぎず。
だから、これもそういうことなのだ。
曖昧な返事だけして大人しくキスされておいた。
いつか鷹人が当主の座を継いだら帰ってくる屋敷。
もう荷物も車に積んだし、ここを出たら婚約者として扱うのでご主人様とメイドごっこも終わり。
最後にこの格好でいやらしいことをしたいと、また書斎の机の上に腰掛けさせられた。
昨夜もベッドで耽ったのにまだ精力が残っている。
本当にどうしようもない人だ。
「抱く度に身体が馴染んできた気がする……雛子はどうなんだ?」
「わ……分かんないです……っ」
鷹人に耳を噛みながら問われ、つい濁してしまう。
低く甘い声を吹き込まれて身が縮こまる。
「……それなら、分かるまで可愛がってやるよ」
ああ、火を点けてしまったかもしれない。
どんな行為の時も冷静さを一欠片握っている雛子でも、不意を突かれることはあった。
そうして隙を見せると男は情欲を滾らせる。
これから何をされるのやら。
初めて鷹人と逢ってからまだ数日、しかし身体を重ねた回数はもう思い出せない。
始まってしまうと何度も挑んでくる。
情交は全身を使うので流石に少し疲れるが、彼と同じく多淫の血を持つ上に体力があり丈夫な雛子は潰れずにいた。
それに正直、当主と違って嫌悪感はあまり無い。
泣いても喚いても止めてくれない五十路の男はまるで化物だったので、まず比較対象がおかしな訳だが。
鷹人はベッド以外でも雛子とコミュニケーションを取ろうと試みており、色欲と情を簡単に切り離せる程は冷徹でない。
実際恋人のような空気になることも時々。
錯覚だと思おうとしても、初恋すら知らない雛子は胸が締め付けられる。
「んー……ふぁッ、あ、あぅ……っ」
キスを深めながら、白い脚を這う鷹人の手は薄布で包まれた部分まで辿り着く。
ショーツ越しに弄られて雛子も声が変わった。
舌を絡めて高まっていたところに、冷たい指先によって更に熱が上がる。
「濡れてるみたいだから、もう大丈夫だな……今日は散歩しようか」
喉で小さく笑いながら鷹人が呟く。
言葉の意味はよく分からないが、意地悪な響きなら雛子は確かに感じ取った。
そうして机の引き出しを開ける音で現実に戻される。
ちょうど調教用の品々が仕舞い込んである場所。
「逃げるな」
鷹人の片手でアンクレットを摘まれると、もうどこにも行けない。
所有の証だけでなく拘束具としても優秀。
もう片手は箱を開けて、電動歯ブラシを選び取った。
昨日、散々雛子を弄んだアイテム。
それ以前に自慰の道具として馴染みがあったので何となく直視し難い物でもある。
「ッひ……や、あぁっ、うぁ……」
電動歯ブラシはブラシ部分が取り外し可能。
こうなると柄の部分は振動するアダルトグッズと似たような物だった。
ショーツをずらしてその先端が侵入してくる。
指よりも太さはあれど、もう濡れ始めていた花弁は刺激を欲しており突付かれると拒まない。
滑らかなプラスチックの表面は引っ掛かりが何も無く、鷹人の物よりずっと小さいのでゆっくりなら呑み込まれていく。
「……全部入ったぞ」
「あ……やだ……っ」
外れなくなりそうで思わず雛子は怯えたが、避妊具を着けた上で挿入したのでゴムの結び目だけが花弁に挟まっている。
それでも異物感が腹に留まっていて呼吸の度に意識してしまう。
「あ、あ、あぁぁッ……ひぁ、や、あぁ……っ」
少し苦しげだった雛子が急に飛び上がる。
ようやく鷹人の指が抜かれたのは、太い柄の底にあるスイッチを入れた為。
腹から来る振動が身体全体に響いて熱を生む。
指先を濡らす蜜を舐めながら、鷹人は机の上で悶える雛子を悠々と眺めている。
その表情は加虐心により残酷な艶を増していた。
無慈悲なことをされているのに惹かれてしまう。
視線の強さで動けなくなる。
そうして不意に抱き着いてきたと思えば、雛子を机から下ろす。
とても立ってなどいられないというのに酷なこと。
まるで切れそうな吊り橋の上に居るような不安感で目眩がする。
鷹人の意図が読めなくて訳が分からない。
どうしようと言うのか。
「散歩するって言ったろ……そのまま俺の部屋まで歩けたら外してやるよ」
「今日だけですよ……こんなこと、二度としませんから……っ」
威嚇する猫のような呼吸の中、それだけ言い渡す。
とはいえ、こうなると内股で鷹人の腕にしがみつくしか出来なかった。
潤んだ目を細めて睨んでも強がりに過ぎず。
そこからはなんて長い道のりだったか。
書斎から鷹人の部屋は廊下を挟んで遠く離れており、子沢山だった昔ならいざ知らず住人の少なさに対してこの古い館は広すぎる。
甚振ってくる男と腕を組む形で歩くなんて屈辱。
そう思いつつもこんな淫魔に憑かれたような顔を晒す訳にいかず、使用人の誰とも擦れ違わずに済んだのは雛子にとって幸い。
ゴールでとうとう震える膝が限界。
鷹人の部屋のドアに凭れて崩れ落ち、ボリュームのある白黒のスカートが床に丸く広がる。
振動に耐えながら鷹人に抱き上げられ、雛子が到着したのはベッド。
俯せに倒れ込むとサンダルウッドの匂いが染み込む。
ここ数日で慣らされて、すっかり情欲を掻き立てる物になってしまった。
尻を突き出すような格好にされてスカートが捲られる。
内腿までずぶ濡れになってはショーツも役立たず。
こうして絶え間なく快楽を与えられているのに達することが出来ないのだ。
早く、どうにかしてほしい。
「雛子……悪いが、こっち触るぞ」
ショーツを下ろされてやっと外してもらえると思っていたのに、鷹人が触れてきたのは予想外の部分。
蜜まみれになった濃桃の花弁よりももっと上、物欲しげに戦慄く蕾。
「やっ、そんなとこ……っ、あ、せめて外して……ッ」
「お前の空いてるところ全部塞ぎたい」
流れ落ちる蜜を絡めてから、鷹人の長い指が蕾を慣らす。
三本呑み込んだところで頃合い。
振動する異物を咥え込んだまま、獣の格好で尻までも犯される。
あまり声を上げない雛子も今日ばかりはぐちゃぐちゃに乱れてしまった。
枕を噛んで、カバーに涙と涎が染みを作る。
調教された身体が上書きされていく感覚。
違う男の形を覚え込まされる。
「ほら、外したぞ……雛子、大丈夫か?」
「う……あぅぅ……」
身体の奥を支配する物を引き抜かれても、度重なる絶頂で雛子も呆けたまま呻くのみ。
余韻があまりにも大きくてベッドに溶けてしまいそうだった。
流石に鷹人もやり過ぎたとか悪かったと思ったらしい。
その後シャワーから着替えまで手伝ってずっと真綿で包むように甘やかしてきた訳だが、雛子の無表情はどうにも訝しげな色。
こんなことではとても騙されない。
「単に出す物出してすっきりしたから余裕が出来ただけじゃないですかね……」
「淑女がそういうことを言うんじゃない」
苦笑しつつ鷹人が昼食のスープを冷まして一匙。
雛子の口元へ甲斐甲斐しく運ぶのは何となく親鳥の餌付けを思わせる。
それとも黙らせる意図もあるのやら。
好かれたいなら普通に優しくすれば良いものを。
苦手ではあるが、嫌いではないのだ。
このスープを飲み切ったら屋敷の外へ。
当主が不在のうち、雛子は鷹人と駆け落ちに洒落込む。
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