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第五章
悪夢の街
しおりを挟むわたしは、薄暗い道を歩いていた。周りには、家もなくアスファルトで舗装のされていない道だった。風が強く体にあたると寒いほどだった。
そこまで木があるわけでもないので、もう少しすると家とか店とかがでてくるんであろうような道だった。
誰もいない、ものすごく怖い。
少し早足で、歩くと3,4軒の家が見えてきた。 小さめ、全部が茶色くて何十年前から立っているんだろうか?結構ボロボロだ。
茶色い家の看板に、最近は、もう見ることのない由美かおるさんのアース渦巻の看板がついていた。
茶色い建物はいくつかに分かれていた。わたしが小屋だと思ったのは裏側に回ったらやっぱり小屋だった。中にニワトリが、5匹いた。コッコと、鳴きながら小屋の中を動いていた。ここは家ではなかった。
「すいませーん。誰かいませんか?」
となりに牛小屋があった。牛が3匹そろってわたしをジッと見ていた。
ニワトリ小屋のほうをみると先ほどまでせわしなく動いていたニワトリが、金網の向こうから5匹きれいに一列に並んでジッとわたしをみていた。 たぶんこいつらやばいやつだ わたしは小屋から離れた。
中庭のようにひらけているところの奥に、いかにも田舎の大きな家ですという感じの日本家屋があった。横には畑もあって、花も植えられていた。
縁側がこちらに見えた。家の裏側からはいってしまったみたいだ。
縁側に人が座っていた。頭にをほおかむりをかぶったおばあさんだ。くすんだピンクグレーぽい色のモンペと、着物の上、戦時中の女の人、もしくは農作業中の田舎のおばあさんのようなかっこをしていた。そして、ざるに入ったたくさんの絹さやの筋をとっていた。
ようやく人がいた。わたしはそのおばあさんのほうにかけよった。
「すみません。この先に駅とかありますか?」
おばあさんは、何も答えず一心不乱に絹さやの筋をとっていた。
わたしは目の前まできて足を止めてまた言った。
「すみませーん」
ふと手をとめて、おばあさんは顔を上げた。顔がなかった。
顔がない
グニャリと目も鼻も口も一緒になって渦を巻いたようにすべてがいっしょになっていた。そして渦を巻いていた。
「お前は、違うんだね。」しわがれた声でおばあさんは言った。
ヒャー わたしは、あとずさった。足元の小さな砂利が、ジャリッと音を立てた。
これは夢なんだ。そう悪い夢なんだ。このタイプの夢を見るとこの世界からなかなかぬけだせない、はやく目を覚まさないと元に戻らないと
た す け て
なんとか声を出そうとこころみる
なんとか重いまぶたをあけようと、まぶたに力を入れる たぶん白目だ。
目を、ぱちぱちしようと努力する、一瞬だか、真っ白い天井が見えた気がした。
きっと、違う 天井も夢だ
あんなに白いはずがないんだって、そんなに明るいわけがないんだって、小さな電気しかつけてないから
また、何も見えなくなった。
あー でも、きゃーでも自分の声が出れば夢の世界からぬけられるか?
手や足なんでもいいから動かないか?
無理だ。
また、夢の中に引きずり込まれる
もう寝たくない、夢など見たくない
気がつくと家の中にいた。子供の頃に住んでいた平屋がつながった団地だ。
悪夢の舞台はここが多い。
とにかくわたしは狙われているとわかっていた。捕まったら殺される
ドアの鍵、窓、すべてを閉めないといけない。玄関は、網戸と二重になっている。やっぱりだ。網戸になっている。玄関に鍵などかけている家も少なかったのだ。
玄関のドアを閉める。鍵をかける。お風呂場にも外から開けられるドアがあった。
そこも鍵をかけないと、横に、ブロックひとつでふさいである穴がある、家では猫を飼っていたので、自由に出入りできるように半分だけずらして猫が行き来していた。
ブロックをずらして、穴をふさごうとした時にその穴から覗いている男と目が合った。
ギャー
その男は、ブロックを向こう側から押して倒した。そして、その穴から風呂場内を覗きニヤリと笑った。その隣のドアノブを、ガチャ、ガチャした。
ガチャ、ガチャガチャガチャ
ガチャガチャガチャ
こちらから、ドアノブが左右に激しく動いているのが見えた。
さっきわたしが鍵をかけたので、開かなかった
そして、ドン、ドンと、向こう側からドアを叩いた。
ドン、ドン、ドン
ドン、ドン、ドン、ドン
木の扉で、ボロいので向こう側からドンドンすると、扉が、こっち側にふくらんで隙間から外の光がもれた。
壊されるのも時間の問題だ
やばい、他に空いている窓、そしてドアはあったっけ?
台所の半窓、ほらやっぱり開いているじゃないか
横に移動した男が、わたしが窓を閉めようとした瞬間に縦に格子の入った窓の隙間から手を伸ばして、わたしの手をつかもうとした。
手が一瞬ふれた
ギャー
わたしは、後ろに飛んだ、もう窓を閉めるのをあきらめよう
なんでこんなに怖い夢を見なくてはいけないんだろう
わたしは目を閉じて目覚めようとまた努力をした。
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