婚約破棄されたので、令嬢辞めてもふもふに生きますわ!

るてぃー

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4.アクリエッタ家 大集合!

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「…こんな感じかしらね。…どう?これならどこから見ても冒険者に見えるでしょう?」

ジルやナユリー始め、メイド達と自室へ戻ったわたくしは早速、もしもの為に用意しておいた冒険者用一式セットを取り出し、身に纏っていた。


服は裾が重たいドレスから膝下辺りまでのフォーマルなワンピースにタイツ。
その上からフード付きのローブを羽織っている。

腰まであるストレートの長い銀髪は緩めにワンテール三つ編み。これなら動いてもそこまで邪魔にはならないからだ。
ちなみにこの三つ編みはわたくしが自分でやりましたのよ。
冒険者たるもの、己の事は自分でやれる様にならないといけませんからね…!


『はい、久しぶりにそのお姿を見ましたが今のエリーゼ様は冒険者そのものです』

「エリーゼ様、本当に冒険者になってしまわれるのですか…?この装いもとてもお似合いですけれど…!ナユリーは寂しいですぅううう…!!」

お座りの体勢でしっぽをふりふりと揺らすジルと気づけば涙でぐしゃぐしゃのナユリー。


「ありがとう、ジル。…あらあら、ナユリーったら。でもそう思ってくれてありがとうね。…皆もありがとう」

その他のメイド達もそれぞれに瞳を潤ませていて、気持ちはナユリーと同じなのだと分かる。

思わずしんみりとした空気になってしまい、皆を慰めるべく口を開こうとしたその瞬間、わたくしの部屋のドアがバァアンン!!と物凄い音を立てて開かれた。


「エリーゼ?!!…大丈夫かいっ??!悲しんでないかいっ!お父様が帰って来たからもう大丈夫だよっ!!!」

「…あら、お父様。随分とお早いお帰りでしたのね。それから、お父様といえどノックもなしにドアを開けるのはいかがなものかと…」


この勢い良くドアを開けて入ってきた人物がわたくしのお父様、レグニス・アクリエッタ。

王宮で働いており、男性でありながら才色兼備とまでうたわれた美貌と才能の持ち主。
ただ、この様に中身はちょっと残念な所がある。

わたくしの残念な性格もお父様譲り。本当に血は争えませんわね。


「って、エリーゼ?!その格好はまさか…!」

「えぇ。そのまさかですのよ、お父様。わたくし、これを期に冒険者として生きていきますわ」

にっこりと笑顔のおまけ付きでそう言うと、ピタリと驚愕のあまり動きを止めて静かになってしまったお父様。

「…お父様?」

そしてそのままバタリと倒れ、気絶してしまったのである。



そんなこんなで気絶したお父様を寝室へと運んで貰い、一息ついた頃。
お母様が焦った様子もなく、優雅に帰られた。

「…大変だったわね、エリーゼちゃん。そうそう、後でお兄ちゃん達も来るそうよ」

「お兄様達も、ですか?」

お兄様達に伝えるのは後でで良いかしら、と思っていたので思わず問い掛け直してしまう。

お母様いわく、いつものほわん、とした口調で、

「お兄ちゃん達にも伝えてあげないと後が大変でしょう?」

と扇子を口元に当てて笑顔で言い切った。

確かにわたくしが末っ子の一人娘という事もあり、お父様程ではないにしろ、とても可愛がって貰っている。
お兄様達が、“妹の一大事なのに自分達には伝えて貰えなかった”なとど知ったら…あぁ、うん、そちらの方が大変ですわね。


「…それで、お父様の事だからもう帰って来ている筈だけど、姿が見えないわね。どこに?」

キョロキョロと部屋を見渡すお母様。

「…お父様なら寝室ですわ。気絶されてしまったので」

「そう。まぁ仕方がないわね。その格好、…エリーゼちゃんは冒険者になるのでしょう?お母様はね、エリーゼちゃんがしたい様にすると良いと思うわ。我慢ばかりは宜しくないもの」

「…お母様。…ありがとうございます」

「エリーゼちゃん、これだけは覚えていて。ここは貴女の家なのだからいつでも帰っていらっしゃい」

「はい、覚えておきます」

さすがお母様、と言った所だろうか。
私がしたい事を無下にはしないでそっと微笑んで後押ししてくれる。

剣を習いたいと言い出した時も、一年前に冒険者として過ごしてみたいと言い出した時も心配はしても、否定せずに応援してくれた。
普通の貴族家でしたら一蹴りされる所なのに。


お母様の優しさにじわりと涙で視界が霞む。

それを見たお母様は、あらあらと微笑みながら、わたくしをそっと抱きしめてくれたのだった。


そしてお兄様達も帰宅し、気を失っていたお父様が目覚めると何はともあれ久しぶりに家族団欒での夕食を取ったのであった。

ちなみに、わたくしが冒険者と生きていく事が心配で心配で堪らないお父様は、気を取り戻してからもぼそぼそと冒険者反対などと口にしていた…のですが、お母様の天の一言でもう何も言わなくなった。

お母様最強ですわね!




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