婚約破棄されたので、令嬢辞めてもふもふに生きますわ!

るてぃー

文字の大きさ
6 / 27

6.国境の街 タンジェラ

しおりを挟む

快適な空の旅、この国だと普通では空の旅というのはそうそう体験出来るものではない。

召喚者と使い魔という事もあり、嬉しい事にジルに乗ってどんなスピードで空を飛び回っても私は振り落とされる、なんて事などない。
風の抵抗も、程よい風だなぁ…程度で悪影響とは無縁。


しかし、そのまま飛んでいると、ジルの姿は炎を纏った様な赤い姿にそれなりの大きさ…という事で、地上から見た場合に目立ちに目立ってしまう。

だからジルに乗り空を移動する場合、この為に習得した“隠密魔法”をかける事を忘れてはいけない。

この魔法はその名の通り、掛けた対象の認識を下げる。その魔法使用者の熟練度や魔力量に比例した効果を発揮するのだ。

因みに熟練度にはランクが付けられており、上から“SS,S,A,B,C,D”まで存在する。

このランクを知るには鑑定士か、鑑定石というこの国ではない大国、オーデルト国で発明された代物で計る事が出来る。

回数制限のある比較的入手しやすい鑑定石もあるが、私のは無制限である。
…無制限という事もあり、もちろんお値段はそれなりだけど。


まぁ、とにかく、この魔法に限らず、どの魔法も例に漏れなく使用者によって変動するのだ。



無事、隠密魔法によってここまで難なく、目的の地が視界に捕捉出来る距離まで近付いていた。

ただ乗っているのも時間が勿体無いのでその時間は令嬢口調にならない様に『わたくしではなく、私…わたくしではなく私…』などと、一年分のブランクを埋める為、イメージトレーニングに費やしていた。


今回、私が目指しているのは国境の街、タンジェラ。
実はここは一年前に冒険者をしていた時の活動拠点地である。

王都から国境まで距離がある為、身分を隠して冒険者をするには一番もってこいの場所だと判断したからだ。
そう判断したのはもちろん、お父様とお母様。

侯爵令嬢が冒険者をしているなんて話が広がったらさすがに外聞が良くない故の処置だ。


私が住んでいた王都から一般的な速度強化の魔法がかけられた馬車で、ここまでの道のりに掛かる時間は大体二日と半日。
普通の馬車の場合は約一週間。


けれど、ジルにかかればそれが約一日…!

我ながら私の使い魔、ジルの飛行速度は素晴らしいの一言に尽きる。
…飛行速度に限らず、ジルの全てが素晴らしいけれども!

『エリーゼ様…!タンジェラの街が見えて来ましたよ』

「…わぁ、タンジェラの街!久しぶり!!あれから一度も来れてなかったから懐かしい…!」


そういえば一年前のあの時は、「タンジェラの街!ちょうど行きたいと思っていた所だったのよー!…だからエリーゼちゃんとお忍びでお母様も一緒に行くわね!」と言って私の旅路に丸一ヶ月同行したお母様。

髪と瞳の色の魔法が切れる頃にこっそりと待ち合わせをし、再度魔法を掛け直してくれたのだ。

しかも、私が冒険者活動にある程度慣れるまで、お母様守護隊の隊長を派遣して下さったおかげで暫くすれば冒険者としてのノウハウを身に付ける事に成功。

冒険者ランクもSSからDまである中のBランクに。命が掛かっているからこその超スパルタ講習だったけれど…本当に感謝してます。


…え?お父様…?仕事があるのでお父様はお留守番でしたね。まぁ、どうしても寂しくなった時は我慢出来ずに会いに来てお母様と私を涙を流しながら抱きしめていた事も。


懐かしい思い出に浸りながら街の魔物対策用の大きく頑丈な外壁の側へと降り立って貰う。

ジルの背から降りると私が何も言わずとも、大きなジルの身体がみるみると小さくなって行く。

やがて私の肩に乗れる程の大きさになった所でその変動は止まり、パタパタと翼を鳴らしてとてもチャーミングなジルが肩へと着地。

基本的に大きな使い魔は姿を小さく出来る特性を持つのだ。使い魔だからこその有能な能力である。 

…それにしても、小さなジル…!!
何度見ても可愛すぎて!可愛すぎて!! 

あぁあ、この溢れ出る想いはどうしたら…!
喉を鳴らす音もぐるぅからきゅう~だし!!
可愛すぎてにやけと心の動機がおさまらないっ!


どうしてもにやけてしまう口元を手で押さえると、ぷるぷると体を震わせながら暫くその場で己の感情と闘っていたエリーゼであった。


_______________

[訂正のお知らせと捕捉]

国土に関して。
主人公が住んでいた王都から国境の街タンジェラまでの移動時間を変更しました。

国の大きさの大体の基準としては、オーストラリア位だとイメージして頂けると幸いです。
しおりを挟む
感想 33

あなたにおすすめの小説

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?

タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。 白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。 しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。 王妃リディアの嫉妬。 王太子レオンの盲信。 そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。 「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」 そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。 彼女はただ一言だけ残した。 「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」 誰もそれを脅しとは受け取らなかった。 だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます

七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。 「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」 そう言われて、ミュゼは城を追い出された。 しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。 そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

追放したんでしょ?楽しく暮らしてるのでほっといて

だましだまし
ファンタジー
私たちの未来の王子妃を影なり日向なりと支える為に存在している。 敬愛する侯爵令嬢ディボラ様の為に切磋琢磨し、鼓舞し合い、己を磨いてきた。 決して追放に備えていた訳では無いのよ?

婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ! 

タヌキ汁
ファンタジー
 国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。  これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

宮廷から追放された聖女の回復魔法は最強でした。後から戻って来いと言われても今更遅いです

ダイナイ
ファンタジー
「お前が聖女だな、お前はいらないからクビだ」 宮廷に派遣されていた聖女メアリーは、お金の無駄だお前の代わりはいくらでもいるから、と宮廷を追放されてしまった。 聖国から王国に派遣されていた聖女は、この先どうしようか迷ってしまう。とりあえず、冒険者が集まる都市に行って仕事をしようと考えた。 しかし聖女は自分の回復魔法が異常であることを知らなかった。 冒険者都市に行った聖女は、自分の回復魔法が周囲に知られて大変なことになってしまう。

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

処理中です...