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7.いざ!タンジェラの街!
しおりを挟む平常心を取り戻した私は両頬を手でむにむにと表情筋のマッサージ。これでにやけもおさまったはず。
ふぅ、と一息ついてから隠密魔法を解除する為、人の目がない所へ移動する。
「…ここなら大丈夫そうかな?」
念には念を。
キョロキョロと辺りを見回して確認してから隠密魔法を解除する。
隠密魔法の存在を知っていても、突然人が現れたら驚いてしまうかもしれない。配慮は大切です。
「…それじゃあ、ジル!タンジェラの街に入りましょうか」
『はいっ!エリーゼ様!』
ただ、入ると言ってもこのタンジェラの街に入るには検問を受ける必要がある。
門は全部で三ヶ所あり、西側の門が貴族専用.南側の門は商人や冒険者等。
そして東側の門は上記に該当しない人々、といった様に分けられている。
これが一つの門だけだったなら検問だけで相当の時間が掛かる事になるし、待たされる側のストレスやらで余計ないざこざが起きる事が考えられるからだ。
暫く歩くと、南側の門へとたどり着く。
今並んでいるのはざっと数えた所で30人位。
検問と言っても冒険者,商人の登録証を見せ、ある魔道具で検査をして偽造などでないかのチェックをするのだ。
それに加え、入門記録も行われ、この入門記録はこの街から出る時に登録証を再度提出、そうすると記録が消えるシステムらしい。
一人に掛かる時間は多めに見ても三分。
検問も一人の担当者が行うのではなく、二列存在し、二人がかりで行われている。
もちろん、街から出て行く人々の検問はまた別に二列存在し、入門する人々同様、列が出来ているのが伺えた。
手間が掛かるけれど、こういう対策が行われている事で人々の安全が保証されるのである。
また、入門登録があるおかげで冒険者の場合だと、上位ランク案件の魔物の緊急討伐依頼が発行された時にギルド側から直接、対象冒険者に依頼を打診される事も。
タンジェラは、国境に一番近いというだけでなく、タンジェラの街から直線距離で約五㎞ほど行った所には魔の森と呼ばれ、Cランク相当の魔物も多く出現するそれは大きな森がある。
そこから魔物が人々に危害を加えない様に、と防衛の役割をこのタンジェラは担っているのだ。
暫くして列が進み、特に問題が起きる事なく私の検問は終了した。
門をくぐると人、人、人である。王都の方が人口は多い。しかし、人々の熱気、活量が違うのだ。
沢山の屋台やお店が立ち並び、その様子はまるでお祭り騒ぎ。
そこかしこから美味しそうな食べ物の匂いも漂ってきて、思わずお腹が空腹を訴える。
朝にサンドイッチを食べてから数時間。今の時間帯は昼、丁度ランチの時間だ。
よーし!!
「冒険者ギルドに行く前に屋台でランチよ、ジル!」
『はい!…あ!エリーゼ様、あちらの屋台からとても良い匂いがします…!』
ジルの嗅覚はとても良いので絶対に外れることはない。
早速とジルが言う屋台へと足を運び肉串をジルの分含め、二本を購入。
色々な種類がある中で私が選んだのは、豚型の魔物、オークの肉だ。
焼きたてを貰うと、今の私はもう令嬢じゃないのでその場で一口かぶり付く。
「…美味しい!!」
オークの甘味が強めのお肉に塩コショウとシンプルではあるがとても美味しい。
パタパタと尻尾を動かし、ジルが早く早く!とばかりに肩で待っているので串を横にしジルの口元まで持っていく。するとがぶり、と次々と肉だけを串から引き抜き食べていくジル。
はぐはぐと、その美味しそうに食べるジルに自然と頬が緩んでしまう。
あぁあ、可愛いいぃい!!!
私がジルの可愛さに悶えている内にジルはあっという間に食べきってしまった。
しかし、それ以上は望まず満足気に私が食べ終わるのを大人しく待ってくれている。
本当に出来た使い魔である。
まぁ、使い魔は召喚者との魔力によって活力を補われているので基本的に空腹を感じる事はない。
けれど、食べる事が好きな使い魔は食事を取る事もしばしば。
私のジルは量こそ食べないがグルメでもあるのだ。
それに、私一人で食べるよりジルと一緒に食べた方が何倍も美味しい食事の時間となる。
ジルに見守られながらようやく肉串を食べ終わると、次の美味しい食べ物目当てに暫く屋台巡りを堪能したのであった。
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