時ヲ震ワス鐘 ~御嶽山大噴火~

星野 未来

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【 2014年9月27日 午前9時 】

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『パリンッ!』

「あっ! やっちゃった……」

 明日の夜まで帰って来ない夫の茶碗を食器棚に仕舞おうとして、手を滑らし思わず落としてしまった。

「ああ~、紫苑が帰って来たら、ご飯をよそってあげられないや……」

 私は自分の体が思うようにならない苛立ちを感じていた。
 ゆっくりとしゃがみ込み、割れた茶碗の破片を一つずつ拾う。

「痛っ!」

 拾った茶碗の欠片で右手の人差し指を切ってしまっていた。
 真っ赤な血が出てきている。

「ああ~、血が出てる……。もう、今日はツイてないな……」

 こんな時、紫苑が居てくれたらなと思う。
 紫苑がいたら、絶対に茶碗も彼が片付けてくれて、私のこの傷口もやさしく手当してくれたはず……。

 そんな大好きな紫苑は今、御嶽の山の中。

「うっ! い、痛い……」

 またさっきのお腹の痛みが私を襲う。
 でも、さっきよりも痛みが激しい。

「い、痛たたた……。ちょっと、何なのこの痛みは……」

 徐々に痛みが増してゆく。
 時計を見ると、午前10時になっていた。

 このお腹の痛みが、まさかあの大災害の前触れだなんて、この時は微塵みじんも思わなかった……。


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