『スキル 猿まね』は、侮れない 

桃次郎

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馬車はチャーチル侯爵家の玄関に着くと、先に早馬で知らせていた為、執事と使用人達が待機して出迎えていた。

ラングル国の食糧庫と言わしめるだけあって、財政の潤っているチャーチル侯爵家は、王都の邸と比べものにならないほどの大豪邸だ。

グラードがカリンを抱き上げて馬車から降りる。

『お帰りなさいませ。大旦那様。カリンお嬢様。』

一斉に声を上げる。

グラードは、皆に頷くと、執事の隣に控えていた妖艶な美女へ大股で歩き出した。

グラードの愛する妻、エリーゼだ。

「お帰りなさいませ。旦那様。」

声もセクシーだ。

「ただいま。エリーゼ。会いたかったよ。」

カリンを抱きかかえたまま、エリーゼの頬へキスを落とす。

カリンはやっぱり無表情だ。

愛する妻に触れたグラードは、今すぐ、エリーゼを押し倒したい気持ちに駆られたが、じっ。と見つめるカリンの視線に気づき、根性でグラードJrが起き上がるのを耐えた。

「カリンちゃん。いらっしゃい。大きくなったわね。」

エリーゼが腕を伸ばして、グラードからカリンを抱き上げる。

カリンが生まれたばかりの頃に、王都へ会いに行ったのだ。

それ以降、デビッド達が領地へ帰ってくることもなかったので、カリンに会うのは5年ぶりだ。

「カリンちゃん。長旅で疲れたでしょう。ゆっくり休んでちょうだい。」

エリーゼに抱かれたまま、カリンは用意された部屋へと連れて行ってもらった。

急に決まったカリンの領地での生活にもかかわらず、カリンの部屋は可愛い内装に仕上がっていた。

家具も幼児用の可愛らしいものが揃えられている。

クローゼットを開くと、華やかな色のドレスがぎっしりと並んでいる。

カリンをソファへ座らせると、メイドがお菓子とミルクティーをテーブルに用意した。

甘い匂いが部屋の中に漂う。

カリンのお腹がクゥー。っと可愛らしく鳴いた。

ふふふ。っとエリーゼが声を立て、カリンにお菓子を食べるようにすすめる。

「可愛い孫と今日から過ごせるのね。嬉しいわ。」

エリーゼの産んだ子供は、カリンの父デビッドとデビッドの弟のカインの二人だけだ。

今回、カリンの領地での生活が決まって、大喜びである。

「カリンちゃん。今夜はお祖母様と寝ましょうね。」

グラードが聞いたら、ショックを受けていたであろう。


その頃、グラードは、今夜の為に念入りにお風呂で体を磨いていた。

「今夜はエリーゼを寝かせないぞ~。」




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