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しおりを挟む「セイラ嬢。 泣いて・・・」
ロベルトに腕を掴まれ振り返ると、驚いたような声が聞こえる。
泣いている?誰が?と、自分の頬に手を添えると、暖かい雫が指先に触れる。
『ああ、私は泣いていたの?』と、ゆっくりと意識が戻る感覚に陥る。
「セイラ嬢、やはり私に送らせてもらえないだろうか?今のあなたをとてもじゃないが一人にはできない」
ロベルトはそう言ってセイラの手を取り、その大きな手で包み込むように握りしめた。
まだ完全に興奮から覚めていない状態ではあったが、ゆっくりと息を吐く。
それでも涙は止まらない。
ハラハラと頬を伝うそれは、気持ちとは裏腹に止まる気配がない。
セイラの大きな声で何事かと、奥の部屋からレインハルドとアローラが駆け寄ってきた。
「セイラ・・・?」
レインハルドがアローラの手を引きながら近づき、心配そうな顔で声をかけてくる。
セイラはその声にビクリと肩を震わせ、口元を手で押さえ顔を背けるようにして涙を隠そうとするが、一足遅くセイラの泣き顔を二人に見られてしまった。
「セイラ、泣いているの?やっぱり私たちのせいなのね?レインハルド様、私たち・・・」
アローラは辛そうな声で、レインハルドにすがりつくように身をよせる。
レインハルドもまた眉間にしわをよせ、辛そうな顔をしながらもアローラの肩を抱く。
まるでこの苦しみを二人で分かち合おうとするように・・・
そんな二人の姿を見せないようにセイラの肩を抱くロベルトの手に力がこもる。
「お前たちは何を考えているんだ?自分たちが何をしているかわかっていないのか?
セイラ嬢の最後の矜持くらい守ってやったらどうなんだ。
恥を知れ、恥を!!」
ロベルトはレインハルドとアローラを睨み怒鳴りつけ、セイラをその視線から守るように背中から抱きしめた。
セイラはその腕のぬくもりに少しずつ落ち着きを取り戻し、次第に体の力が抜けていくのを感じた。体中の力が抜け立っているのもやっとの状態。
そんな状態に気づいたロベルトが、セイラの膝に腕を回し抱き上げた。
「セイラ嬢、今は私があなたを守る役目をお許しいただきたい」
言うが早いか玄関先で待っている馬車まで進むと、セイラを抱きかかえたまま馬車に乗り込む。
ドアが閉まる瞬間
「ロベルト、セイラを頼む」レインハルドが駆け寄り声をかけた。
「レインハルド。もはやお前がセイラ嬢を呼び捨てにすることも、心配をする権利もない。
今後はわきまえた方が良い。後ろにいる彼女のためにも」
ロベルトは氷のような視線をレインハルドにぶつけると、ドアを閉め馬車を出した。
レインハルドは呆然とその場に立ち尽くし、馬車が見えなくなるまで動くことができなかった。
ロベルトは馬車の中でセイラを膝の上に乗せ、大切な物を包み込むように抱きしめていた。
じっと身をすくめ、ロベルトの腕の中でされるがままに小さく丸くなるセイラに
「もう心配ない、少し眠ると良い。目が覚めた時はきっと良いことが待っている」
耳元で優しくささやく声に、セイラは重くなる瞼を素直に受け入れ眠りにつくのだった。
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