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私の能力が解明されました
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「こちらにお掛けになっておくつろぎ下さい。霊感師を今呼びに行っておりますので」
「霊感師?」
「はい、エリカ様には神通力と呼ばれる神々の力が宿り始めております。異世界転移は神通力がないと死んでしまいますので、神通力を持たれていることは間違いないです。その神通力を視ることができるのが、霊感師です」
「神通力?」
「はい、奇跡を起こす力です。エリカ様には太古の昔に降臨した神々の血が受け継がれているのです。それが覚醒して、転移に耐えることができたのです」
そういえば日本の神話に天孫降臨の話があった。それと、関係あるかどうか分からないが、私の実家は神社で、父は神主だ。
「カイトは?」
「エリカ様がお守りになったのです。カイト様お一人では死んでしまっていたでしょう」
この人たち、これまで召喚で何人犠牲にして来たのだろう。私たちも死ぬ可能性があったということか。恐らく彼女たちは、滅亡に直面して、追い詰められて何をするかわからない状態だ。軽はずみな行動は控えた方がいいだろう。
「元の世界に帰れるかしら?」
「はい、目的を達せられたら、私どもが責任を持ってお帰しします」
「息子が一人で心配だわ」
と思ったが、あの最近生意気な息子に、親のありがたさを知らせるいい機会だ。多少困った方がいい薬になるだろう。
「早く目的を達しましょう。私たちも好きで召喚をしてきたわけではないのです」
「エルフとは仲が悪いの? ちなみにエルフってのは森の民で、魔法と弓矢が得意で、見目麗しい長寿の種族でいいのかな?」
ラノベは読まないが、ゲームはしたことがある。確かエルフはそんな感じだった。
「その通りです。エルフと人間の仲は悪くなかったのですが、バカな冒険者たちがエルフの聖地に忍び込んで、エルフの聖杯を盗んだのです。そのうえ、聖杯を守っていたエルフの聖女をさらって強姦するという、とんでもないことをしでかしまして」
「それは怒らない方がおかしいわね。ただ、だからといって、人間を滅亡させるのはやり過ぎのような気がするけど」
「聖女はエルフ王の娘なのです。それで、エルフ王が激怒しまして、人類はこの有様です」
(それは許してくれないかも……。しかし、なんでまたエルフ王が絶対に怒ることをわざわざしでかしたのかしら)
そのとき、一人の女性が部屋に入って来た。
「王様、遂に召喚に成功したとお聞きしましたぞ」
「おばば、こちらが召喚に応じて下さったエリカ様だ。エリカ様の神通力を視て欲しいのだ」
「分かりました。王様。エリカ様、ちと失礼しますぞ」
そう言って、おばばは私の手を取って、脈をとるようなしぐさをした。
「さすがは転生者です。『治癒』、『守護』、『浄化』の奇跡をお持ちです。そのほか、知力、体力などの基礎能力が人外レベルになられております。それから、お体の方ですが、お若いときの状態に徐々にお戻りになられておられますぞ」
「え? 若返っている?」
これは嬉しすぎる。
「はい、肉体的に一番いい状態になられるのです。では、お持ちになっている奇跡の説明を致しますぞ」
「あ、大丈夫、分かって来たわ」
私は徐々に自分が持っている力に対しての自覚が出て来た。使い方と効果が分かるのだ。
『治癒』は怪我や病気を瞬時に治すが、死人には効かない。即死したら終わりだ。
『守護』は強固な結界を張ることで、物理攻撃、魔法攻撃から身を守ることができるが、絶対に破られないというものではない。それに、結界から外への攻撃が出来なくなくなる。
『浄化』は毒、混乱、麻痺などの状態を正常な状態に戻す。また、アンデッドの魂を昇華させ、悪魔の魂を魔界に強制送還する力もある。アンデッドと悪魔にとって、私は天敵だ。
(うーむ、すごい力を授かったけど、私の看護師としてのキャリアを真っ向から否定された気分だわ。看護する暇もなく治るか、死ぬかのどちらかってことね)
ふと、「浄化」で王の女性化状態が治せるのではと思ったが、無理だと分かった。女性化は状態ではなく、呪いだ。呪いをかけた本人が解除するか、殺すしかない。私は、こういうことも分かるようになっていた。
「ところで、アンデッドや悪魔がこの世界には存在するってことでいいかしら?」
「アンデッドは夜のエルフの森に現れます。悪魔は人間やエルフに憑依して、悪さを働きますぞ」
冒険者にもエルフ王にも、悪魔がついているとしか思えないのだが、気のせいだろうか。
王は私の能力の話をじっと聞いていたが、考えがまとまったらしく、おもむろに話し始めた。
「エリカ様、我々の目的はエルフ王に会って許しを乞い、呪いを解いてもらうことです。許しを得られない場合は、エルフ王を倒すしかありませんが、エルフ王は地上最強の呪術師です。エリカ様が負けることはないですが、勝つことも出来ないでしょう」
「私はどうやら守りのエキスパートみたいね。確かに攻め手がないわ」
「そのようです。そこで考えました。エリカ様には我々の護衛をしていただきたいです。エルフ王に許しを乞うのは、王である私しか出来ません。私は多少魔法を嗜みます。ただ、魔法だけでは魔法の効かない相手には歯が立ちません。強力な剣士が必要です」
「三人パーティでエルフ王に会いに行くのね。剣士の当てはあるの?」
「当てはありますが、森を抜けるためにレンジャーも必要ですので四人です。あまり多いとエリカ様も守り切れなくなるでしょうから、四人パーティで行きたいと思います」
私と王の話を聞いていたおばばが挙手した。王がおばばに発言を促した。
「王様、私はエリカ様とゲートを繋げておきます。エリカ様、よろしいですか。今後、念話出来るようになりますぞ」
ラインの交換みたいなものね。
「分かったわ。どうすればいい?」
「額同士をくっつけます。はい、繋がりましたぞ」
おばばと呼ばれてはいるが、同い年ぐらいに見える妖艶な美女なので、顔を近づけて来たときはドキッとした。この人は元から女のようだが、子供は欲しいのだろうか。カイトに渡すのは惜しい。
「エリカ様、明日、剣士とレンジャーにお会いして頂きます。お部屋をご用意しておりますので、本日はそちらでお休みください。後ほどカイト様もお部屋までお連れします」
「あ、カイトはいいわ。別々の部屋でお願い。カイトにはお仕事の相手をつけておいてくれれば、寂しくないでしょう。言葉も覚えないといけないしね」
他の女を抱いて来た男と一緒の部屋にいたくはなかった。というか、カイトとはもう一緒にいたくなかった。
「かしこまりました。それではお部屋にご案内致します。お付きの者をご用意しました。その者に何なりとお申し付け下さい。それでは、私は本日は失礼します」
私は紹介されたメイドのキンさんに連れられて、部屋に案内された。高級ホテルのスイートルーム並みの素敵な部屋だった。中間照明で落ち着いた雰囲気だ。
(私って待遇いいのね)
私が羽織っているガウンの下は素っ裸のままなので、着替えが欲しかったのだが、ありがたいことに、部屋に着替えが用意されていた。
「あら、ちゃんとした下着なのね」
日本の下着と見た目はあまり変わりはなかった。だが、触った瞬間、こちらの方が、かなりの上物であることがわかった。
「シルクだわ」
早く着替えたいのだが、キンさんが出て行く様子がない。
「あの、もういいわよ。着替えて寝るから」
キンさんにそういうと、思わぬ答えが返って来た。
「お手伝い致します」
「え? いいわよ」
そんな悲しそうな顔をしないで欲しい。この子も中学生ぐらいに見える。可愛らしい子だ。
「貴人様のお手伝いをするのが私のお役目です。ぜひお役目を果たさせて下さいまし」
「そ、そうね。じゃあお手伝いしてくれるかしら」
私はガウンを脱がされて、何だか変な気持ちになったが、自分の体を見てそんな気持ちは吹っ飛んだ。
(お腹がスッキリ、胸もキュッと上向きになってる)
全盛期の私の自慢の身体だった。
キンさんが下着をつけてくれてる間、私は鏡に映っている自分の全身を見て、ニヤついていた。キンさんが怪訝そうな目つきで私をチラ見しているが気にしない。顔も若い頃に戻っていた。芸能事務所からよく街でスカウトされるぐらいには綺麗だったのだ。
(こんなことってあるのね。嬉しくてキンさんに抱きついちゃいそう)
下着が少し大きいかと思ったら、肌にいい具合にフィットした。
(この下着、ジャストフィットするようにサイズが変わるのね。魔法の下着?)
最後にネグリジェのようなものを着せられ、私はベッドに入った。
「エリカ様、お休みなさいませ。私は外で控えております。何かございましたら、お声がけ下さいませ」
そう言って、キンさんはドアの外に出た。
私は若返ったことが嬉しくて、そして、これからどんな人生が始まるかと興奮してしまい、なかなか眠れなかった。
「霊感師?」
「はい、エリカ様には神通力と呼ばれる神々の力が宿り始めております。異世界転移は神通力がないと死んでしまいますので、神通力を持たれていることは間違いないです。その神通力を視ることができるのが、霊感師です」
「神通力?」
「はい、奇跡を起こす力です。エリカ様には太古の昔に降臨した神々の血が受け継がれているのです。それが覚醒して、転移に耐えることができたのです」
そういえば日本の神話に天孫降臨の話があった。それと、関係あるかどうか分からないが、私の実家は神社で、父は神主だ。
「カイトは?」
「エリカ様がお守りになったのです。カイト様お一人では死んでしまっていたでしょう」
この人たち、これまで召喚で何人犠牲にして来たのだろう。私たちも死ぬ可能性があったということか。恐らく彼女たちは、滅亡に直面して、追い詰められて何をするかわからない状態だ。軽はずみな行動は控えた方がいいだろう。
「元の世界に帰れるかしら?」
「はい、目的を達せられたら、私どもが責任を持ってお帰しします」
「息子が一人で心配だわ」
と思ったが、あの最近生意気な息子に、親のありがたさを知らせるいい機会だ。多少困った方がいい薬になるだろう。
「早く目的を達しましょう。私たちも好きで召喚をしてきたわけではないのです」
「エルフとは仲が悪いの? ちなみにエルフってのは森の民で、魔法と弓矢が得意で、見目麗しい長寿の種族でいいのかな?」
ラノベは読まないが、ゲームはしたことがある。確かエルフはそんな感じだった。
「その通りです。エルフと人間の仲は悪くなかったのですが、バカな冒険者たちがエルフの聖地に忍び込んで、エルフの聖杯を盗んだのです。そのうえ、聖杯を守っていたエルフの聖女をさらって強姦するという、とんでもないことをしでかしまして」
「それは怒らない方がおかしいわね。ただ、だからといって、人間を滅亡させるのはやり過ぎのような気がするけど」
「聖女はエルフ王の娘なのです。それで、エルフ王が激怒しまして、人類はこの有様です」
(それは許してくれないかも……。しかし、なんでまたエルフ王が絶対に怒ることをわざわざしでかしたのかしら)
そのとき、一人の女性が部屋に入って来た。
「王様、遂に召喚に成功したとお聞きしましたぞ」
「おばば、こちらが召喚に応じて下さったエリカ様だ。エリカ様の神通力を視て欲しいのだ」
「分かりました。王様。エリカ様、ちと失礼しますぞ」
そう言って、おばばは私の手を取って、脈をとるようなしぐさをした。
「さすがは転生者です。『治癒』、『守護』、『浄化』の奇跡をお持ちです。そのほか、知力、体力などの基礎能力が人外レベルになられております。それから、お体の方ですが、お若いときの状態に徐々にお戻りになられておられますぞ」
「え? 若返っている?」
これは嬉しすぎる。
「はい、肉体的に一番いい状態になられるのです。では、お持ちになっている奇跡の説明を致しますぞ」
「あ、大丈夫、分かって来たわ」
私は徐々に自分が持っている力に対しての自覚が出て来た。使い方と効果が分かるのだ。
『治癒』は怪我や病気を瞬時に治すが、死人には効かない。即死したら終わりだ。
『守護』は強固な結界を張ることで、物理攻撃、魔法攻撃から身を守ることができるが、絶対に破られないというものではない。それに、結界から外への攻撃が出来なくなくなる。
『浄化』は毒、混乱、麻痺などの状態を正常な状態に戻す。また、アンデッドの魂を昇華させ、悪魔の魂を魔界に強制送還する力もある。アンデッドと悪魔にとって、私は天敵だ。
(うーむ、すごい力を授かったけど、私の看護師としてのキャリアを真っ向から否定された気分だわ。看護する暇もなく治るか、死ぬかのどちらかってことね)
ふと、「浄化」で王の女性化状態が治せるのではと思ったが、無理だと分かった。女性化は状態ではなく、呪いだ。呪いをかけた本人が解除するか、殺すしかない。私は、こういうことも分かるようになっていた。
「ところで、アンデッドや悪魔がこの世界には存在するってことでいいかしら?」
「アンデッドは夜のエルフの森に現れます。悪魔は人間やエルフに憑依して、悪さを働きますぞ」
冒険者にもエルフ王にも、悪魔がついているとしか思えないのだが、気のせいだろうか。
王は私の能力の話をじっと聞いていたが、考えがまとまったらしく、おもむろに話し始めた。
「エリカ様、我々の目的はエルフ王に会って許しを乞い、呪いを解いてもらうことです。許しを得られない場合は、エルフ王を倒すしかありませんが、エルフ王は地上最強の呪術師です。エリカ様が負けることはないですが、勝つことも出来ないでしょう」
「私はどうやら守りのエキスパートみたいね。確かに攻め手がないわ」
「そのようです。そこで考えました。エリカ様には我々の護衛をしていただきたいです。エルフ王に許しを乞うのは、王である私しか出来ません。私は多少魔法を嗜みます。ただ、魔法だけでは魔法の効かない相手には歯が立ちません。強力な剣士が必要です」
「三人パーティでエルフ王に会いに行くのね。剣士の当てはあるの?」
「当てはありますが、森を抜けるためにレンジャーも必要ですので四人です。あまり多いとエリカ様も守り切れなくなるでしょうから、四人パーティで行きたいと思います」
私と王の話を聞いていたおばばが挙手した。王がおばばに発言を促した。
「王様、私はエリカ様とゲートを繋げておきます。エリカ様、よろしいですか。今後、念話出来るようになりますぞ」
ラインの交換みたいなものね。
「分かったわ。どうすればいい?」
「額同士をくっつけます。はい、繋がりましたぞ」
おばばと呼ばれてはいるが、同い年ぐらいに見える妖艶な美女なので、顔を近づけて来たときはドキッとした。この人は元から女のようだが、子供は欲しいのだろうか。カイトに渡すのは惜しい。
「エリカ様、明日、剣士とレンジャーにお会いして頂きます。お部屋をご用意しておりますので、本日はそちらでお休みください。後ほどカイト様もお部屋までお連れします」
「あ、カイトはいいわ。別々の部屋でお願い。カイトにはお仕事の相手をつけておいてくれれば、寂しくないでしょう。言葉も覚えないといけないしね」
他の女を抱いて来た男と一緒の部屋にいたくはなかった。というか、カイトとはもう一緒にいたくなかった。
「かしこまりました。それではお部屋にご案内致します。お付きの者をご用意しました。その者に何なりとお申し付け下さい。それでは、私は本日は失礼します」
私は紹介されたメイドのキンさんに連れられて、部屋に案内された。高級ホテルのスイートルーム並みの素敵な部屋だった。中間照明で落ち着いた雰囲気だ。
(私って待遇いいのね)
私が羽織っているガウンの下は素っ裸のままなので、着替えが欲しかったのだが、ありがたいことに、部屋に着替えが用意されていた。
「あら、ちゃんとした下着なのね」
日本の下着と見た目はあまり変わりはなかった。だが、触った瞬間、こちらの方が、かなりの上物であることがわかった。
「シルクだわ」
早く着替えたいのだが、キンさんが出て行く様子がない。
「あの、もういいわよ。着替えて寝るから」
キンさんにそういうと、思わぬ答えが返って来た。
「お手伝い致します」
「え? いいわよ」
そんな悲しそうな顔をしないで欲しい。この子も中学生ぐらいに見える。可愛らしい子だ。
「貴人様のお手伝いをするのが私のお役目です。ぜひお役目を果たさせて下さいまし」
「そ、そうね。じゃあお手伝いしてくれるかしら」
私はガウンを脱がされて、何だか変な気持ちになったが、自分の体を見てそんな気持ちは吹っ飛んだ。
(お腹がスッキリ、胸もキュッと上向きになってる)
全盛期の私の自慢の身体だった。
キンさんが下着をつけてくれてる間、私は鏡に映っている自分の全身を見て、ニヤついていた。キンさんが怪訝そうな目つきで私をチラ見しているが気にしない。顔も若い頃に戻っていた。芸能事務所からよく街でスカウトされるぐらいには綺麗だったのだ。
(こんなことってあるのね。嬉しくてキンさんに抱きついちゃいそう)
下着が少し大きいかと思ったら、肌にいい具合にフィットした。
(この下着、ジャストフィットするようにサイズが変わるのね。魔法の下着?)
最後にネグリジェのようなものを着せられ、私はベッドに入った。
「エリカ様、お休みなさいませ。私は外で控えております。何かございましたら、お声がけ下さいませ」
そう言って、キンさんはドアの外に出た。
私は若返ったことが嬉しくて、そして、これからどんな人生が始まるかと興奮してしまい、なかなか眠れなかった。
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