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王立学園
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六年後、王立学園
「おどきっ」
青い目の金髪のゴージャスな美人が、取り巻き数人を引き連れて、学園を我が物顔で歩いている。
鬼のグロリア伯爵の長女、フローラ・グロリアである。
病弱な姿はもうそこにはない。
「ちょっとフローラ、そんなに乱暴に歩かないでよ」
ゴボウのような体形から美しく変身した私、エイミー・マルソーは、フローラと同じ学園で同学年だった。
フローラは私をジロリと睨んだ。
「ふん、泥棒貴族がっ」
「何でよっ」
フローラとは子供の頃、トーマスの取り合いになったが、病弱なフローラを可哀想に思った私が、二人に会わないよう身を引いた。
トーマスからはその後も何度か遊びの誘いがあったが、私が理由をつけて断っているうちに、トーマスは王都に帰って行った。
その後、しばらくしてフローラに会いに行くと、私はなぜか「泥棒貴族」と呼ばれ、それ以降、フローラと会うことはなく、いつしか湖畔の城の一階の窓も開かれなくなった。
風の噂で、フローラの病状が回復し、王都に帰ったと聞いたが、仲直りできなくて私は寂しかった。
が、今は寂しくとも何とも思わない。
この女、私の邪魔ばかりするのだ。
王立学園の入学式でフローラと再会したが、上流貴族か金持ち貴族はみなこの学園に入学するので、私はフローラと会うだろうと思っていた。
最初、フローラは私に気がつかなかった。
私は成長期に自分でも驚くほど変わってしまっていたし、フローラは私のことを貧乏子爵だと思っていたので、この学園にまさか私が入学してくるとは思っていなかったのだ。
私は色が白くなり、体は柔らかく丸みを帯び、胸も立派になり、街で殿方が振り返るほどの美人になった。
こうなってくると私も美しくありたいと思うようになり、メイクも上手になった。
私が王立学園に来た理由、それはいい男を捕まえること。
勉強嫌いの私は、上流貴族が集うこの学園で、伯爵令息以上のブランド品をゲットするために来た。
ところが、私が狙う男をことごとくフローラが横からかっさらっては捨てて行く。
どっちが泥棒貴族よ!
しかし、今度こそ、私は目的を果たしたと言っていいだろう。
なんと伯爵どころか、第三王子との婚約にこぎつけられそうなのである。
実は会ってもいないのだが、外国で人質になっていたらしく、ようやく解放されて帰国する苦労人とのことだ。
なぜ私なのか実はさっぱり分からないのだが、私の父に陛下と第三王子の連名で婚約の申し込みがあったらしい。
私の美貌の噂でも聞きつけたのだろうか。
謎だ。
来月からその第三王子が二つ上の学年に編入してくるそうだ。
だが、私の喜びも束の間だった。
フローラが第一王子との婚約を発表したのである。
そのフローラが私の目の前にいた。
「……何よ?」
「エイミー、泥棒貴族だなんて言って悪かったわ」
「どういう意味?」
「私、あなたのことを誤解していたの」
何なんだ、もったいぶって、勝ち誇ったような顔をして。
「私、第一王子と婚約したの」
「聞いたわよ。素直におめでとうと言わせてもらうわ」
「おっほっほ、ありがとう。トーマスがやっと私のところに帰ってきたわ」
「トーマス?」
「あら、あなた知らなかったの? トーマス・アレクセイ、あの湖畔の魚釣りの男の子よ。彼が第一王子なの」
何だって!?
じゃあ、あのおじさんが陛下?
トーマスをフローラに紹介なんてするんじゃなかった……
「おどきっ」
青い目の金髪のゴージャスな美人が、取り巻き数人を引き連れて、学園を我が物顔で歩いている。
鬼のグロリア伯爵の長女、フローラ・グロリアである。
病弱な姿はもうそこにはない。
「ちょっとフローラ、そんなに乱暴に歩かないでよ」
ゴボウのような体形から美しく変身した私、エイミー・マルソーは、フローラと同じ学園で同学年だった。
フローラは私をジロリと睨んだ。
「ふん、泥棒貴族がっ」
「何でよっ」
フローラとは子供の頃、トーマスの取り合いになったが、病弱なフローラを可哀想に思った私が、二人に会わないよう身を引いた。
トーマスからはその後も何度か遊びの誘いがあったが、私が理由をつけて断っているうちに、トーマスは王都に帰って行った。
その後、しばらくしてフローラに会いに行くと、私はなぜか「泥棒貴族」と呼ばれ、それ以降、フローラと会うことはなく、いつしか湖畔の城の一階の窓も開かれなくなった。
風の噂で、フローラの病状が回復し、王都に帰ったと聞いたが、仲直りできなくて私は寂しかった。
が、今は寂しくとも何とも思わない。
この女、私の邪魔ばかりするのだ。
王立学園の入学式でフローラと再会したが、上流貴族か金持ち貴族はみなこの学園に入学するので、私はフローラと会うだろうと思っていた。
最初、フローラは私に気がつかなかった。
私は成長期に自分でも驚くほど変わってしまっていたし、フローラは私のことを貧乏子爵だと思っていたので、この学園にまさか私が入学してくるとは思っていなかったのだ。
私は色が白くなり、体は柔らかく丸みを帯び、胸も立派になり、街で殿方が振り返るほどの美人になった。
こうなってくると私も美しくありたいと思うようになり、メイクも上手になった。
私が王立学園に来た理由、それはいい男を捕まえること。
勉強嫌いの私は、上流貴族が集うこの学園で、伯爵令息以上のブランド品をゲットするために来た。
ところが、私が狙う男をことごとくフローラが横からかっさらっては捨てて行く。
どっちが泥棒貴族よ!
しかし、今度こそ、私は目的を果たしたと言っていいだろう。
なんと伯爵どころか、第三王子との婚約にこぎつけられそうなのである。
実は会ってもいないのだが、外国で人質になっていたらしく、ようやく解放されて帰国する苦労人とのことだ。
なぜ私なのか実はさっぱり分からないのだが、私の父に陛下と第三王子の連名で婚約の申し込みがあったらしい。
私の美貌の噂でも聞きつけたのだろうか。
謎だ。
来月からその第三王子が二つ上の学年に編入してくるそうだ。
だが、私の喜びも束の間だった。
フローラが第一王子との婚約を発表したのである。
そのフローラが私の目の前にいた。
「……何よ?」
「エイミー、泥棒貴族だなんて言って悪かったわ」
「どういう意味?」
「私、あなたのことを誤解していたの」
何なんだ、もったいぶって、勝ち誇ったような顔をして。
「私、第一王子と婚約したの」
「聞いたわよ。素直におめでとうと言わせてもらうわ」
「おっほっほ、ありがとう。トーマスがやっと私のところに帰ってきたわ」
「トーマス?」
「あら、あなた知らなかったの? トーマス・アレクセイ、あの湖畔の魚釣りの男の子よ。彼が第一王子なの」
何だって!?
じゃあ、あのおじさんが陛下?
トーマスをフローラに紹介なんてするんじゃなかった……
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