第一王子を取られたと思ったら、第三王子の方が優良物件でしたが……

もぐすけ

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最終話 四者会談

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 マークがフローラとソフィアを連れて帝国に来た。

 私たちと会いたいということで、私の私邸に招待した。

 通称「エイミー御殿」。

 広大な敷地内に森や湖まである帝国一の邸宅だ。

 いつの間にかこうなった……。

「エイミー!」

 マークが笑顔で私に抱きついて来る。

 もう五年以上会っていないのに、普通に接してくるんだよね。

「マーク、久しぶりね。少し落ち着いた感じになったかしら。ほら、息子よ」

「そうか、君がサンか。お父様だ。初めまして」

 マークはそう言って、嬉しそうに息子を抱き上げた。
 
 フローラはすごく綺麗になっていた。

 雰囲気が変わりすぎて、トーマスも驚いている。

 まるで別人のようだ。

 ソフィアがフローラの後ろに隠れて、トーマスの方をチラチラ見ている。

「ほら、ソフィア、お父様よ」

 トーマスが笑顔で娘を抱き上げた。

 ソフィアは恥ずかしそうだが、嬉しそうだ。

 しばらくお互いの再会を祝い、初めて会う娘と息子とのスキンシップを楽しんだ後、まずは本来の夫婦間で、それぞれ別室で、積もる話をすることになった。

「マーク、やっと来たわね」

「ああ、エイミーが来てくれないから」

「王国に行ったら、何されるか分からないもの」

「まあ、そうかな。でも、元気そうでよかった。というか、すごいところに住んでるね。どんだけ広いのここ?」

「私も分からないの。帝国は実力主義なのよ。マルソー家の力がどんどん強くなって来て、皇帝の上の国妃という地位についちゃったのよ。次期皇帝を指名出来るの。トーマスにしようと思ってるんだけど、皇室から妻をもらわないといけないのよ」

「別にいいじゃない。貰えるものは貰っておけば」

「すごい考えね。でも、まあいいか。どのみち、トーマスはフローラとシェアしないといけないし、一人増えてもどうってことないわね」

「やっぱり兄さんとは関係持ったのか」

「そうよ。でも、ちゃんとあなたの許可はもらったわよ」

「フローラか? 変わっただろう、彼女」

「まさに別人ね。あんな素敵な女性いないわよ。綺麗だし、包み込むような優しさがあるし。人って変われるものね。私、嬉しくなちゃったわ。フローラの友だちでいて誇らしいわ」

「ところで、今後、どうする?」

「私はここで暮らすけど、マークはどうするの? 王様になったんでしょう?」

「そうなんだよ。最初は帝国に併合してもらうつもりだったけど、ユージンが頑張って、建て直せそうなんで、しばらく頑張ってみようと思う。僕も王国で暮らすしかないから、たまにこうやって会いに来るよ。それと、引き継ぎユージンの支援をお願いしたい」

「お安い御用よ。ちなみに今晩はどっちとするつもり?」

「帝国滞在中はずっとエイミーさ。五年分取り戻すぞ」

「あらあら、トーマスとちゃんと調整してね」

***

「フローラ、ずいぶんと、そのう、変わったね」

「はい、殿下。死を覚悟してから、色々と変わることができました。本来の自分に戻れた気がします」

「今はマークと一緒に住んでいるんだね」

「はい、マークは私を愛してくれています」

「でも、マークはエイミーも愛しているけど、大丈夫なのか?」

「はい、全く気にならないですよ。むしろ、エイミーのような素敵な女性と彼をシェア出来ることを嬉しく思います」

「すごいな、フローラは。監禁されたのは夢だったのかと思う」

「殿下。あれはあれで私でした。あのときの私も今の私もフローラです」

「そうか。でも、私は今のフローラの方が好きだな。ソフィアにこんな素敵な母親がいて羨ましいよ」

「殿下に愛してもらうことが夢でしたが、少しかないそうですかね?」

「もうかなっているよ。ソフィアをここまで大事に育ててくれてありがとう。私はフローラと結婚してよかったよ」

「あ、でも、マークと関係は続きます。大丈夫でしょうか」

「エイミーもマークとの関係は続けると言っているし、私もエイミーとの関係は続けるよ。奇妙なことになったが、みんながこうしたいと思っているんだから、これでいいんじゃないか?」

「そうですね」



 こうして四人は末長く幸せに暮らした。
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