ダンジョンで同棲生活始めました ひと回り年下の彼女と優雅に大豪邸でイチャイチャしてたら、勇者だの魔王だのと五月蝿い奴らが邪魔するんです

もぐすけ

文字の大きさ
15 / 39
第二章 地上の動き

新聖女の選定

しおりを挟む
教会は新たな聖女選定を急いでいた。

イグアスでゴーストドラゴンが発見されたという報告が新たに入ってきたが、その前に魔王復活の兆しがあるとの情報を暗部が入手していたからだ。

通常は100年以上は復活しない魔王だが、今回は半年で復活の兆しが出ており、あと半年以内に復活するという分析結果が出ていた。

すでにこの情報は国王と勇者には伝達済で、勇者ニックはすでに新パーティの編成を開始している。以前の勇者パーティの戦士レンドル、聖女マリア、魔法使いライルはすでに死亡しており、勇者からも聖女の選定を依頼されていた。

聖女の選定は、近年は魔法学園の優秀者リストから選出する方法が用いられている。

前任者のマリアも魔法学園在学中に聖女に選定された。

魔力量、魔法技術、一般教養、人格など選定基準は多岐に渡るが、容姿端麗であること、処女であることは、公にはされていないが、重要な項目であった。

最終的に3人の候補がリストに上がり、今日が最終選考だが、今回は特別に勇者にも選定に入ってもらうことになっていた。

「ニック様、お忙しいところ、ありがとうございます」

選定責任者のグラウス枢機卿は、勇者を笑顔で迎えた。

「うん。大事なメンバになるからね。しっかりと見極めさせてもらうよ」

ニックはずいぶんぞんざいな態度をとると聞いていたが、その通りだった。

選定には国王、教皇も参加する。ニックは2人に会釈した。

(さすがにあの2人には礼を尽くすか)

ニックの評判を「下を見下し、上にへつらう」と枢機卿は聞いていたが、まさにその通りのニックの行動に失笑した。

選定は王都のシールラリー大聖教会で執り行われている。

教会の奥の壇上中央にグラウス枢機卿が立ち、その後ろの席に国王、教皇、10人の枢機卿が座っており、ニックがその席に加わった。

「では、3名の聖女候補者、前に出なさい」

ホール中央には聖なる真円と呼ばれる文様が描かれており、そのなかに3人が並んだ。

3人とも聖女の最終候補になるだけあって、非常に美しい。

資料によると、3人は学園の同学年で、仲がいいらしい。

1人ずつ自己紹介を始めた。といっても、名前を名乗るのみである。

「スターシア・ダイムと申します」

「ナタリー・シスと申します」

「ルミエール・リンクと申します」

実はすでに聖女は内定しており、ルミエールが選定される予定であった。

残りの2人は式典のために呼ばれたに過ぎない。本人たちもその旨了承している。

式典は進み、予定通り、ルミエールが聖女に選定され、教皇から聖女のロッドを贈られた。このロッドを持つものは神官系究極魔法ホーリーライトを発動することができるようになるのだ。

無事、式典は終了すると思いきや、勇者ニックが最後にとんでもないことを言い出した。

「残りの2人も優秀でしょうから、勇者パーティに参加をお願いしたいです」

「いや、それは……」

とグラウス枢機卿が反論しようとしたが、ニックに遮られた。

「前職のマリアが戦闘中に死亡したのは、ライルの愚かな判断ミスが原因でしたが、もっと魔力があれば、ライルの失敗をカバーすることが可能でした。聖女候補2名を加えることで前回の失敗を繰り返すことはなくなるでしょう」

まことしやかなことを理由に挙げているが、ニックの女癖の悪さはよく耳にする。グラウス枢機卿としては反対したいところだが、

「よいではないか。教皇、何か問題はございますか?」

と王がしゃしゃり出てきた。王はどんなに評判が悪くても、ニックの肩を持つことがなぜか多い。

教皇も国王に言われては反論は難しい。ニックの理屈もそれなりに筋が通っているのだ。

「問題ございません。一刻も早く魔王を退治して、今度こそ人々に安寧をもたらすようお願いいたします」

グラウス枢機卿は3人の聖女たちの方を見たが、3人とも冷めた目でニックを見ていた。真ん中のルミエールが枢機卿の視線に気づき、大丈夫です、といった強い視線を送ってきた。

(そうだな、あの3人が報告書通りだったとしたら、ニックは苦労するだろうな)

彼女たちは素行の悪い男子生徒を何人も退学に追い込んでいるのだ。彼女たちなら、逆にニックを追い詰めるだろうとグラウス枢機卿は確信し、聖女選定の儀式を終了した。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

聖女を追放した国は、私が祈らなくなった理由を最後まで知りませんでした

藤原遊
ファンタジー
この国では、人の悪意や欲望、嘘が積み重なると 土地を蝕む邪気となって現れる。 それを祈りによって浄化してきたのが、聖女である私だった。 派手な奇跡は起こらない。 けれど、私が祈るたびに国は荒廃を免れてきた。 ――その役目を、誰一人として理解しないまま。 奇跡が少なくなった。 役に立たない聖女はいらない。 そう言われ、私は静かに国を追放された。 もう、祈る理由はない。 邪気を生み出す原因に目を向けず、 後始末だけを押し付ける国を守る理由も。 聖女がいなくなった国で、 少しずつ異変が起こり始める。 けれど彼らは、最後まで気づかなかった。 私がなぜ祈らなくなったのかを。

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

なんか修羅場が始まってるんだけどwww

一樹
ファンタジー
とある学校の卒業パーティでの1幕。

【完結】偽物聖女として追放される予定ですが、続編の知識を活かして仕返しします

ユユ
ファンタジー
聖女と認定され 王子妃になったのに 11年後、もう一人 聖女認定された。 王子は同じ聖女なら美人がいいと 元の聖女を偽物として追放した。 後に二人に天罰が降る。 これが この体に入る前の世界で読んだ Web小説の本編。 だけど、読者からの激しいクレームに遭い 救済続編が書かれた。 その激しいクレームを入れた 読者の一人が私だった。 異世界の追放予定の聖女の中に 入り込んだ私は小説の知識を 活用して対策をした。 大人しく追放なんてさせない! * 作り話です。 * 長くはしないつもりなのでサクサクいきます。 * 短編にしましたが、うっかり長くなったらごめんなさい。 * 掲載は3日に一度。

召喚失敗!?いや、私聖女みたいなんですけど・・・まぁいっか。

SaToo
ファンタジー
聖女を召喚しておいてお前は聖女じゃないって、それはなくない? その魔道具、私の力量りきれてないよ?まぁ聖女じゃないっていうならそれでもいいけど。 ってなんで地下牢に閉じ込められてるんだろ…。 せっかく異世界に来たんだから、世界中を旅したいよ。 こんなところさっさと抜け出して、旅に出ますか。

幼馴染パーティーから追放された冒険者~所持していたユニークスキルは限界突破でした~レベル1から始まる成り上がりストーリー

すもも太郎
ファンタジー
 この世界は個人ごとにレベルの上限が決まっていて、それが本人の資質として死ぬまで変えられません。(伝説の勇者でレベル65)  主人公テイジンは能力を封印されて生まれた。それはレベルキャップ1という特大のハンデだったが、それ故に幼馴染パーティーとの冒険によって莫大な経験値を積み上げる事が出来ていた。(ギャップボーナス最大化状態)  しかし、レベルは1から一切上がらないまま、免許の更新期限が過ぎてギルドを首になり絶望する。  命を投げ出す決意で訪れた死と再生の洞窟でテイジンの封印が解け、ユニークスキル”限界突破”を手にする。その後、自分の力を知らず知らずに発揮していき、周囲を驚かせながらも一人旅をつづけようとするが‥‥ ※1話1500文字くらいで書いております

神に逆らった人間が生きていける訳ないだろう?大地も空気も神の意のままだぞ?<聖女は神の愛し子>

ラララキヲ
ファンタジー
 フライアルド聖国は『聖女に護られた国』だ。『神が自分の愛し子の為に作った』のがこの国がある大地(島)である為に、聖女は王族よりも大切に扱われてきた。  それに不満を持ったのが当然『王侯貴族』だった。  彼らは遂に神に盾突き「人の尊厳を守る為に!」と神の信者たちを追い出そうとした。去らねば罪人として捕まえると言って。  そしてフライアルド聖国の歴史は動く。  『神の作り出した世界』で馬鹿な人間は現実を知る……  神「プンスコ(`3´)」 !!注!! この話に出てくる“神”は実態の無い超常的な存在です。万能神、創造神の部類です。刃物で刺したら死ぬ様な“自称神”ではありません。人間が神を名乗ってる様な謎の宗教の話ではありませんし、そんな口先だけの神(笑)を容認するものでもありませんので誤解無きよう宜しくお願いします。!!注!! ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇ご都合展開。矛盾もあるかも。 ◇ちょっと【恋愛】もあるよ! ◇なろうにも上げてます。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

処理中です...