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第二章 地上の動き
新勇者選定
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勇者は死亡または今回のように勇者剥奪の儀を行うと、次の勇者が神から啓示される。
過去にも多くはないが、勇者に相応しくないものに対して、勇者剥奪の儀が実施されて来た。同じ勇者が再選される場合もある。人間の視点と神々の視点にはかなりズレがあるためだ。
だが、今回はさすがに再選はないと見られていた。
カンターレ大聖堂にて、勇者選定が実施された。予想通り、勇者は再選されず、別の人物が選定された。
メリンダ・スピンフィールド
の名前が大聖堂に響き渡る。
続いて本人特定のための詳細も報告された。
16歳 女性 王都在住 魔法学園在籍
参列者はざわめく。女性の勇者だからではない。女性が選定されることはよくあるのだ。
あの世紀の残念魔法使い、ライル・スピンフィールドの実妹が勇者に選出されたからだ。
***
メリンダが魔法学園で授業を受けていると、担任から呼び出しを受けた。
授業を受けている途中での呼び出しだ。よほどのことだと思うのだが、メリンダには心当たりがありすぎて、理由が分からなかった。
ただ、普段は苦虫を噛み潰したような顔をしている担任が、今日は笑顔でこっち来いしている。
何なの? 逆に気味が悪いし、怖いんだけど。
メリンダはいつものように職員室に連れて行かれるかと思っていたが、何と園長室に連れて行かれた。
園長も笑顔だ。一体どうしたのだ。
「メリンダさん、あなた勇者に選定されました! 我が校から聖女はよく選出されますが、勇者はあなたが初めてです! なんて光栄なことでしょう!」
メリンダは、この後、園長が何を言ったのか、ほとんど覚えていなかった。
メリンダは園長室に残されて、色々な人の挨拶を受けた。
ルミエール、スターシア、ナタリーがやって来て、ようやくメリンダは現実に戻って来た。
「まさか、ドン亀のあなたを選定するなんて、ニックを選定したり、神の目は節穴かしら」
神にダメ出しするまさかの聖女ルミエールだった。
「あなたに相応しい勇者といえば、私しかいないでしょう、ルミエール」
メリンダとルミエールはハイタッチした。この2人は親友にして、スターシアとナタリーとともに現役女子学生冒険者チーム「ダイヤモンド」の仲間だった。
「で、これからどうするの? メリンダ」
スターシアが尋ねた。
「もちろん、まずは残念魔法使いを探すわよ」
魔王を倒すには兄に会う必要がある。
「やはり死んではいないと思ってるのね」
ナタリーも死んでいないと信じていた。ライルは王都から逃げ出すまでは、「ダイヤモンド」の師匠的存在だったのだ。
「迷惑ばかりかけて、勝手に死ぬなんて、許せないわ。きっちりと借りは返してもらうわよ」
ライルのせいで、家族への誹謗中傷がこの半年、絶えることはなかった。両親はそのため田舎に引きこもってしまった。
メリンダも退学になりかけたり、生徒や中には先生たちからまでも嫌がらせを受けたりした。
そんなときでも、この3人は変わらぬ態度で接してくれた。
ライルが冤罪であることは、妹のメリンダには分かっていた。メリンダが許せないのは、卑怯者のニックにいいようにやられて、世間からちょっと非難されただけで、傷ついて逃げ回る軟弱なところだ。
兄は昔から苦労知らずで、何でも簡単にできて、ルックスもよく、女の子にもモテて、順風満帆だったゆえに、挫折に弱いのだ。
それに対してメリンダは、常に優秀な兄と比較され、不器用ながらも、努力と根性でのし上がってきた。
「さあ、イグアスに行くわよ」
過去にも多くはないが、勇者に相応しくないものに対して、勇者剥奪の儀が実施されて来た。同じ勇者が再選される場合もある。人間の視点と神々の視点にはかなりズレがあるためだ。
だが、今回はさすがに再選はないと見られていた。
カンターレ大聖堂にて、勇者選定が実施された。予想通り、勇者は再選されず、別の人物が選定された。
メリンダ・スピンフィールド
の名前が大聖堂に響き渡る。
続いて本人特定のための詳細も報告された。
16歳 女性 王都在住 魔法学園在籍
参列者はざわめく。女性の勇者だからではない。女性が選定されることはよくあるのだ。
あの世紀の残念魔法使い、ライル・スピンフィールドの実妹が勇者に選出されたからだ。
***
メリンダが魔法学園で授業を受けていると、担任から呼び出しを受けた。
授業を受けている途中での呼び出しだ。よほどのことだと思うのだが、メリンダには心当たりがありすぎて、理由が分からなかった。
ただ、普段は苦虫を噛み潰したような顔をしている担任が、今日は笑顔でこっち来いしている。
何なの? 逆に気味が悪いし、怖いんだけど。
メリンダはいつものように職員室に連れて行かれるかと思っていたが、何と園長室に連れて行かれた。
園長も笑顔だ。一体どうしたのだ。
「メリンダさん、あなた勇者に選定されました! 我が校から聖女はよく選出されますが、勇者はあなたが初めてです! なんて光栄なことでしょう!」
メリンダは、この後、園長が何を言ったのか、ほとんど覚えていなかった。
メリンダは園長室に残されて、色々な人の挨拶を受けた。
ルミエール、スターシア、ナタリーがやって来て、ようやくメリンダは現実に戻って来た。
「まさか、ドン亀のあなたを選定するなんて、ニックを選定したり、神の目は節穴かしら」
神にダメ出しするまさかの聖女ルミエールだった。
「あなたに相応しい勇者といえば、私しかいないでしょう、ルミエール」
メリンダとルミエールはハイタッチした。この2人は親友にして、スターシアとナタリーとともに現役女子学生冒険者チーム「ダイヤモンド」の仲間だった。
「で、これからどうするの? メリンダ」
スターシアが尋ねた。
「もちろん、まずは残念魔法使いを探すわよ」
魔王を倒すには兄に会う必要がある。
「やはり死んではいないと思ってるのね」
ナタリーも死んでいないと信じていた。ライルは王都から逃げ出すまでは、「ダイヤモンド」の師匠的存在だったのだ。
「迷惑ばかりかけて、勝手に死ぬなんて、許せないわ。きっちりと借りは返してもらうわよ」
ライルのせいで、家族への誹謗中傷がこの半年、絶えることはなかった。両親はそのため田舎に引きこもってしまった。
メリンダも退学になりかけたり、生徒や中には先生たちからまでも嫌がらせを受けたりした。
そんなときでも、この3人は変わらぬ態度で接してくれた。
ライルが冤罪であることは、妹のメリンダには分かっていた。メリンダが許せないのは、卑怯者のニックにいいようにやられて、世間からちょっと非難されただけで、傷ついて逃げ回る軟弱なところだ。
兄は昔から苦労知らずで、何でも簡単にできて、ルックスもよく、女の子にもモテて、順風満帆だったゆえに、挫折に弱いのだ。
それに対してメリンダは、常に優秀な兄と比較され、不器用ながらも、努力と根性でのし上がってきた。
「さあ、イグアスに行くわよ」
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