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第二章 地上の動き
やり直しの相談
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勇者は神から選ばれし神の祝福を受けた人間だ。そして、魔王は悪魔の王サタンが憑依した人間だ。
神と悪魔は勇者と魔王に姿を変え、太古の昔から戦いに興じて来た。
勝負がついた後、通常は次の戦いまで100年間のインターバルを持つ取り決めが神と悪魔とでなされているのだが、前回の決着は両者にとって、非常に後味の悪いものだった。
そのため、決着後すぐに神と悪魔の間で、話し合いが行われた。
「あのクソ勇者、何だ、あれは?」
「あれは酷い。なぜあんな風になったんじゃろうか」
「あいつ抜きでもう一回やり直しでいいな」
「仕方あるまい」
この結果、ニック抜きでの再戦が決まったのであった。
サタンが去った後、女神が神に尋ねた。
「どんな戦いだったんです?」
「ほれ、こんな感じじゃよ」
神は女神に戦いの記録を見せてやった。
「これは酷いですね」
「勇者にしたときは、強い冒険者に憧れる元気な男の子じゃったんだがのう」
<第24回勇者対魔王の戦いの記録 ライルの視点バージョン>
「ライルあとどれぐらい持つ?」
ニックから怒鳴り声で聞かれた。
「あと10分ぐらいだ」
これで5回目だ。何度聞かれても同じなので、少しでも集中させてくれと思うが、ニックは自分勝手で傲慢なやつだ。なんでこんなのが勇者なんだ?
俺たちは今、魔王相手に奮闘中だ。
といっても、奮闘してるのは俺と聖女のマリアとタンク役のレンドルだけで、ニックは見ているだけだ。
俺はこの領域一帯に結界を作り、真空状態にして魔王を窒息死させるために、結界を維持している。
魔王は必死になって俺を攻撃しようとするが、タンク役のレンドルがガードしてくれている。聖女のマリアはレンドルの回復と、俺への魔力供給で大忙しだ。
「ライルあとどれぐらい持つ?」
まただ。せめて黙っていてくれないか。
ニックも昔はこんなやつではなかったのだが、俺が間接魔法を修得してからは、今のような感じでの戦闘形態になり、こいつは何もしなくなった。
「あと2分だ」
「おいおいあと2分で魔王は本当にくたばるのかよ?」
お前が言うな、と俺は言いたい。そもそも情報不足のままで魔王との戦闘になったのは、こいつがいい格好して、マスコミにリップサービスしたのが原因だ。
まずい、魔力が切れそうだ。この魔王、いったいいつまで息が続くんだ。
「マリア、治療魔法の魔力をセーブしろ」
ニックからとんでもない指令が出た。レンドルは何も言わず、歯を食いしばって耐えているが、どんどんと傷が増えていく。
予定時間より2分経過したが、まだ魔王は倒れない。
俺はマリアを見た。マリアが力なく微笑んでいる。そうか、魔力がほとんどないのか。
レンドルがもう今にも倒れそうだ。
「ニック、魔王をけん制してくれ」
俺は叫んだ。このままでは全員死ぬ。
「俺は最後の切り札だ。まだその時ではない」
ニックがしれっと答える。
こいつ、最後は自分だけ逃げるつもりで体力を温存してやがる。まずい、レンドルが死ぬ。
そのとき、マリアがレンドルに治癒魔法を唱えた。レンドルがよろよろと立ち上がる。
「馬鹿、治癒魔法はセーブしろと言っただろうがっ」
ニックが喚いているが、マリアの様子がおかしい。
マリア、お前、息をしていない? 魔力をセーブするために自分への呼吸魔法を止めているのだ。まるで魔王とどちらが先に窒息するかを競っているかのようだ。
予定より5分経過した。まだ魔王は倒れないが、遂にマリアが倒れた。
俺たちへの酸素の供給がなくなってしまった。
レンドルはいつ死んでもおかしくない状況だ。マリアは倒れたままで、俺の魔法は切れそうだ。
ニックが呼吸ができなくなり、結界から出ようとしている。
そんなことをしたら、結界が破れてしまう。結界は魔王の動きに同期しているのだ。魔王が結界から逃げられないようにはしているが、仲間が逃げることは想定していないため、逃げることが可能だ。
ニックが結界を破ってしまったら、マリアとレンドルは犬死にだ。
俺はなけなしの魔力でニックにレジストの魔法をかけ、ニックの足を止める。ニックがすごい形相で俺を睨む。
俺はやってはいけないと言われている魔力の絞り出しをすでに5回行っている。恐らくもう魔法使いとしてはやっていけないであろう。6回目の絞り出しを行い、結界を踏ん張って維持していたところ、やっと魔王が倒れた。
同時にレンドルも動かなくなった。
倒れて動けなくなっている魔王にニックがとことこ歩いて近づいて行き、とどめを刺した。
俺はようやく結界を解いた。
神と悪魔は勇者と魔王に姿を変え、太古の昔から戦いに興じて来た。
勝負がついた後、通常は次の戦いまで100年間のインターバルを持つ取り決めが神と悪魔とでなされているのだが、前回の決着は両者にとって、非常に後味の悪いものだった。
そのため、決着後すぐに神と悪魔の間で、話し合いが行われた。
「あのクソ勇者、何だ、あれは?」
「あれは酷い。なぜあんな風になったんじゃろうか」
「あいつ抜きでもう一回やり直しでいいな」
「仕方あるまい」
この結果、ニック抜きでの再戦が決まったのであった。
サタンが去った後、女神が神に尋ねた。
「どんな戦いだったんです?」
「ほれ、こんな感じじゃよ」
神は女神に戦いの記録を見せてやった。
「これは酷いですね」
「勇者にしたときは、強い冒険者に憧れる元気な男の子じゃったんだがのう」
<第24回勇者対魔王の戦いの記録 ライルの視点バージョン>
「ライルあとどれぐらい持つ?」
ニックから怒鳴り声で聞かれた。
「あと10分ぐらいだ」
これで5回目だ。何度聞かれても同じなので、少しでも集中させてくれと思うが、ニックは自分勝手で傲慢なやつだ。なんでこんなのが勇者なんだ?
俺たちは今、魔王相手に奮闘中だ。
といっても、奮闘してるのは俺と聖女のマリアとタンク役のレンドルだけで、ニックは見ているだけだ。
俺はこの領域一帯に結界を作り、真空状態にして魔王を窒息死させるために、結界を維持している。
魔王は必死になって俺を攻撃しようとするが、タンク役のレンドルがガードしてくれている。聖女のマリアはレンドルの回復と、俺への魔力供給で大忙しだ。
「ライルあとどれぐらい持つ?」
まただ。せめて黙っていてくれないか。
ニックも昔はこんなやつではなかったのだが、俺が間接魔法を修得してからは、今のような感じでの戦闘形態になり、こいつは何もしなくなった。
「あと2分だ」
「おいおいあと2分で魔王は本当にくたばるのかよ?」
お前が言うな、と俺は言いたい。そもそも情報不足のままで魔王との戦闘になったのは、こいつがいい格好して、マスコミにリップサービスしたのが原因だ。
まずい、魔力が切れそうだ。この魔王、いったいいつまで息が続くんだ。
「マリア、治療魔法の魔力をセーブしろ」
ニックからとんでもない指令が出た。レンドルは何も言わず、歯を食いしばって耐えているが、どんどんと傷が増えていく。
予定時間より2分経過したが、まだ魔王は倒れない。
俺はマリアを見た。マリアが力なく微笑んでいる。そうか、魔力がほとんどないのか。
レンドルがもう今にも倒れそうだ。
「ニック、魔王をけん制してくれ」
俺は叫んだ。このままでは全員死ぬ。
「俺は最後の切り札だ。まだその時ではない」
ニックがしれっと答える。
こいつ、最後は自分だけ逃げるつもりで体力を温存してやがる。まずい、レンドルが死ぬ。
そのとき、マリアがレンドルに治癒魔法を唱えた。レンドルがよろよろと立ち上がる。
「馬鹿、治癒魔法はセーブしろと言っただろうがっ」
ニックが喚いているが、マリアの様子がおかしい。
マリア、お前、息をしていない? 魔力をセーブするために自分への呼吸魔法を止めているのだ。まるで魔王とどちらが先に窒息するかを競っているかのようだ。
予定より5分経過した。まだ魔王は倒れないが、遂にマリアが倒れた。
俺たちへの酸素の供給がなくなってしまった。
レンドルはいつ死んでもおかしくない状況だ。マリアは倒れたままで、俺の魔法は切れそうだ。
ニックが呼吸ができなくなり、結界から出ようとしている。
そんなことをしたら、結界が破れてしまう。結界は魔王の動きに同期しているのだ。魔王が結界から逃げられないようにはしているが、仲間が逃げることは想定していないため、逃げることが可能だ。
ニックが結界を破ってしまったら、マリアとレンドルは犬死にだ。
俺はなけなしの魔力でニックにレジストの魔法をかけ、ニックの足を止める。ニックがすごい形相で俺を睨む。
俺はやってはいけないと言われている魔力の絞り出しをすでに5回行っている。恐らくもう魔法使いとしてはやっていけないであろう。6回目の絞り出しを行い、結界を踏ん張って維持していたところ、やっと魔王が倒れた。
同時にレンドルも動かなくなった。
倒れて動けなくなっている魔王にニックがとことこ歩いて近づいて行き、とどめを刺した。
俺はようやく結界を解いた。
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