ダンジョンで同棲生活始めました ひと回り年下の彼女と優雅に大豪邸でイチャイチャしてたら、勇者だの魔王だのと五月蝿い奴らが邪魔するんです

もぐすけ

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第四章 ルシアのルーツ

ライルの推理

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ライルたちは施設の入退出履歴を調べ上げた。その結果、以下のことが判明した。

ルシアの母たちは、「誕生の部屋」を出た後、1年間ほどキューブルームなどの施設で暮らしている。ワールドショップでの買い物履歴まで記録されており、彼女たちは地上に出た後の生活の準備をしていたようだ。

ただし、理由はわからないが、「誕生の部屋」を出た1か月後に、ルシアの母だけは「時間の流れを遅くする部屋」に入っている。そして、11か月後にルシアと一緒に部屋から出てきている。すなわち、ルシアは「時間の流れを遅くする部屋」で産まれていたのだ。

その後、ルシアの母とルシアが「時間の経過を元に戻す部屋」に入っている。

そして、ルシアがイグアスの教会に置かれ、ルシアの母たち五人が王都の魔法学園に移動して、彼女たちの痕跡はこれが最後となっている。

***

ライルは記録から判明したことを元に、仮説を立てた。

ルシアの母スミルは、妊娠した状態で「誕生の部屋」に入れられたのではないかと。

ルシアの父は、世界政府が用意した女性と子作りをしている間、密かにスミルとも子作りを継続していたと考えられるのだ。

世界政府は自身が準備した女性たちの妊娠チェックはしていただろうが、スミルの妊娠チェックはしていないはずだ。スミルも恐らく「誕生の部屋」に入るときは、自身の妊娠に気づいていなかったと思う。

ところが、1400年以上も経って「誕生の部屋」から出て、キューブルームで生活をしているうちに、スミルは自身の妊娠に気づき、他の四人が自分の感染を疑う危険性があると考えたのだと思う。なぜなら、夫が感染者である五人目の女性との性行為の後に自分とはしたことはない、と主張しても、信じてもらえる確証がないからだ。

そこで、スミルは未来を見て来るとかいう理由をつけ、「時間の流れを遅くする部屋」に入ったのだろう。スミルが「時間の流れを遅くする部屋」に入ったということは、スミルが施設の起動者であるということだ。「時間の流れを遅くする部屋」には起動者しか入れないからだ。

「時間の流れを遅くする部屋」に11カ月もいたら、外の世界は300年以上も経過しているため、部屋から出てきたときは、ほかの四人は既に世を去っていたはずだ。

記録ではその後、「時間の流れを戻す部屋」にスミルとルシアが親子で入っているが、恐らくすぐに入ったのではなく、二人で何年か一緒に暮らした後で、何らかの問題が発生したために入ったのだとライルは考えた。

どちらかが重病になったとか、大けがをしたとかで、どうしようもなくなって、「時間の流れを戻す部屋」に入ったのだろう。

理由は何であれ、「時間の流れを戻す部屋」に入ると、時間が「時間の流れを遅くする部屋」で過ごした正味の11カ月後に戻る。その時点ではほかの四人はまだ生きていて、キューブルームで暮らしている。

恐らくだが、スミルは約束よりもずいぶん長く「時間の流れを遅くする部屋」に入っていて、毎日だれかが「時間の流れを戻す部屋」の前で見張っていたのではないだろうか。「時間の流れを遅くする部屋」に再び入られるとまた出て来るのを待つしかないからだ。

11カ月後にスミルがルシアを抱いて「時間の流れを戻す部屋」から出て来て、見張りは喜んだのと同時に、なんで赤ん坊がと驚いたはずだ。

そして、すぐにスミルが死んだ夫の子供を妊娠していたことに気づくはずだ。

あの死病と実際に闘った世代の彼女たちの死病に対する恐怖は相当なものだったと思う。感染の可能性のあるスミルとルシアを排除しようとしたはずだ。

当然スミルもそれはわかっているはずで、すぐに逃げ出したんだと思う。逃げる際にこれも恐らくだが、ルシアを教会に預け、自分が囮になって四人を引き付けて王都に逃げたように思う。

ライルは自分の仮説を話した後、ルシアに向かって自分の考えをさらに追加した。

「ルシア、俺の予想では恐らくお母さんはまだ生きていて、四人から逃げているはずだ。お前に会いに来ないのは、四人に知られたら、お前も命を狙われるからだと思う。だが、お前は感染していない。なぜなら、俺が生きているからだ。俺を証拠として、四人を説得すれば、お母さんとルシアと俺で暮らせるようになるぞ」

ルシアは喜んだが、すぐに美しい顔を曇らせた。

「でも、どうやってさがせばいい?」

ルシアがすがるような目をしてくる。ライルはルシアを抱きしめて、耳元でささやいた。

「ここに勇者と聖女がいる。彼女たちに国王や教皇を動かしてもらえば、すぐに見つかるだろう」
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