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第四章 ルシアのルーツ

再会

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メリンダが国王に、ルミエールが教皇に古代人とルシア親子の話をして、ルシアの母を探してもらうよう依頼した。

国王は勅旨を出し、全国の領主がルシアの母の保護に乗り出した。教皇は各地の教会に働きかけ、情報収集と見つけた場合には保護するよう指示した。

効果は絶大で、1週間後、王都郊外の修道院のシスターがルシアの母であることが判明した。

ルシアとライルはすぐにワールドパスポートを使って、修道院に到着した。

修道院長には教皇から話が行っており、ルシアの母スミルの退院が認められていた。

修道院の前でルシアと母は20年ぶりの再会を果たした。

スミルの修道院はいいところだったようで、スミルはとても健康的に見えた。さすがルシアの母だけあり、アラフォーとは思えないほど艶やかで美しい人だった。

二人は無言で見つめあって、涙を流し、抱き合った。

ルシアがスミルにライルを紹介した。スミルはライルの顔を見てクスッと笑ってから、ライルを抱擁した。

その後、ルシアの瞬間移動でスミルをキューブルームに連れ帰った。

実はスミルにも瞬間移動の能力をワールドパスポートから提供されていたようだが、キューブルームに帰ることは怖くて出来なかったようだ。

スミルにお風呂に入ってもらって落ち着いた後、メリンダたちも呼んで、スミルの話を聞くことになった。

「誕生の部屋」で時間が動き出してからの経緯は、ほぼライルの推測通りだったが、補足があった。

「時間の流れを遅くする部屋」から出た後、やはりすぐには時間を元に戻さず、ルシアと20年間一緒にルームキューブで暮らしていたそうだ。

地上にもちょくちょく出ていたらしいが、ある日、ワールドパスポートにテンタウルス星から四人の男女が来訪してきて、地上に接続して、侵略を開始したのだという。

来訪してきた四人は異様に強く、この世界の冒険者どころか、軍隊でさえ、たった四人に全く太刀打ちが出来なかったそうだ。

そして、その四人がイグアスのダンジョンに侵入し、キューブルームに攻撃を開始し始めたので、やむを得ず、時を元に戻したとのことだった。

「ワールドパスポートはテンタウルス星には行けないようになっているけど、テンタウルス星からの来訪制限はかかっていないのよ。すぐにでも制限をかける必要があるわ」

スミルは隣に座っているルシアの髪を撫でながら、そう言った。

「ルシア、すぐに行こう」

ライルはルシアに声をかけた。ワールドパスポートが機能してすぐには来ないとは思うが、懸念は早く取り除いておきたかったのだ。

「『誕生の部屋』で一緒だった他の四人の行方はご存知ですか?」

ライルはワールドパスポートに向かう途中で、スミルに聞いてみた。実は四人については、メリンダから状況を聞いていた。

「いいえ、何も。彼女たちから命を狙われて、王都中を必死で逃げ回って、修道院に飛び込んだ後は、ずっと息を潜めて生きてきたから。ルシアに接触することも我慢した。それにしても、ライルくん、あなた、夫にそっくりね」

そう言ってスミルはライルの顔を懐かしそうに見る。ライルはスミルの夫によく似ているらしい。娘が連れて来た男があまりにも娘の父親に似ていて、スミルは笑ってしまったそうだ。ライルを最初に見たとき、スミルがクスッと笑ったのは、そういうことだった。

「四人の方々はそれぞれ伴侶を見つけて、平和に暮らしています。お母さんには申し訳ないことをしたと皆さん謝っておられました」

ライルはメリンダからの報告をスミルに伝えた。

「そう。これでやっとあの悪夢のような病気から逃げ切れたのね」

スミルは心の底から安心したようだった。

その後、ルシアは、施設メイドにワールドパスポートへの外部からの来訪は、全て禁止するよう設定を依頼した。





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