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第五章 王室
王との謁見
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カトリーヌは王との謁見の間にいた。
「リンズのメンバを代表してご挨拶します。カトリーヌです」
宰相として参加しているロミエール侯爵の顔が青くなる。
「カトリーヌ、最敬礼をしなさい」
「お父様、カイザー王に無礼を働いているつもりはないわ」
玉座にはアルデラルドの王カイザーが座している。隣には王妃マリアンヌが優しげに微笑んでいた。
「まあ、よい。カトリーヌ殿、遠路はるばるご苦労であった」
「カイザー王。力の差、というものを理解していないようだから、今、見せるわ」
「なに!?」
カトリーヌの手元から発射されたと思われるレーザービームが玉座の右後ろに飾ってある甲冑の額部分にきれいな穴をあけた。驚いたことに甲冑はピクリとも動いていない。
「私はいつでもあなたを殺せるの」
参列していた大臣から怒号が飛ぶ。
「無礼もの」
「王の御膳でなんたる所業」
「カトリーヌ侯爵、どういうつもりだ」
カトリーヌがかかとを思いっきり床にたたきつけた。
ドゴーンという豪快な音が鳴り響き、床にヒールが突き刺さっていた。
大臣たちが一斉に押し黙る。
「うるさい人はこの床と同じ運命をたどるわよっ」
カイザー王が大臣たちに黙っておれ、と声をかけた後、カトリーヌに向き直り、眼光鋭く、言葉を発した。
「カトリーヌ何が言いたい?」
「カイザー王、我らリンズに手出しは無用よ。謁見だの、呼びつけるだの、勘違いは今日で終わりにしてね。さもなくば、国を滅ぼすわよ」
「カトリーヌ、お久しぶりね。そんなにすごまなくても、手出しはしないわよ。ねえ、王様」
やんわりとしたあたたかな声色で王妃マリアンヌがカトリーヌに語りかけた。
カトリーヌは昔からこの王妃が苦手だ。カトリーヌはむっとして黙り込んだ。
カイザー王がマリアンヌを一瞥してから、カトリーヌに話しかける。
「そうだな。確かに少し貴殿たちの力を誤解していたようだ。非礼を詫びよう」
王の謝罪を見て、大臣たちがざわついた。
そんな大臣たちを目で威圧し、カイザーは続ける。
「カトリーヌ。貴殿たちとは友好な関係にありたい。貴殿たちの国内での行動を阻害する行為は一切行わない。国内すべての関所はフリーパスとし、全ての公共施設において、VIP待遇を提供したい。如何だろうか」
「ご配慮に感謝するわ。手出ししなければ、何もしないわ。では、帰るわね」
そう言い残して、カトリーヌは謁見の間を立ち去った。
大臣からロミエール侯爵に矢のような非難が集中する。
王は先ほどの魔法の威力を思い出していた。
「おい、そこまでにしろ」
大臣達が押し黙る。ロミエール侯爵は額からの汗が止まらないようだ。何度もハンカチで顔を拭いている。
「宰相、カトリーヌは確か失魔症ではなかったか?」
「はい、10歳のときにそう診断され、旅に出ておりましたが、先日完治したと手紙があり、家に戻って参りました」
「以前と変わったか?」
「はい。別人のようです」
「さっきの魔法は?」
「私は外であの魔法をみました。レーザービームは数百メートルもの射程があり、通過点にあったものは鉄であろうとなんであろうと穴が開いてました。それから、ヒールが床に突き刺さってましたが、あの怪力は重量魔法だそうです」
「重力魔法?」
「ものを重たくしたり、軽くしたりする魔法です。それを用いることで、厚さ30センチはある鉄の扉を片手で持ち歩き、回し蹴りで吹っ飛ばしていました」
「取り込めるような力ではないな」
「はい。話によるとリンリンというリーダは男性で、配下のメンバー11人はすべて女性で、10人が彼の妻、1人が婚約者とのことです。リンリンは女たちの心をがっちりと掴んでおり、最近妻になってリンズには加入していない1人を加え、合計12人の女性たちは、同じ男性を愛するものとして、固い絆で結ばれているそうです。カトリーヌも妻の1人ですが、結婚できたことを非常に幸せに感じているようです」
妻たちが足を引っ張りあっているカイザーとはえらい違いだ。
案の定、マリアンヌから突っ込みが入った。
「そうなのね。王様、リンリンさんを見習ってくださいな」
「マリアンヌ。カトリーヌとは知己のようだが」
「従妹です。私の母は彼女の母の姉ですのよ。リンリンさん、会ってみたいわ」
「リンズを敵に回すのは得策ではない。あの様子では他国に取り込まれることもあるまい。徹底的に友好関係を維持するようにしろ。いいな」
「「「御意」」」
その場にいる全員が、国の方針としてのリンズへの優遇対応を了解した。
「リンズのメンバを代表してご挨拶します。カトリーヌです」
宰相として参加しているロミエール侯爵の顔が青くなる。
「カトリーヌ、最敬礼をしなさい」
「お父様、カイザー王に無礼を働いているつもりはないわ」
玉座にはアルデラルドの王カイザーが座している。隣には王妃マリアンヌが優しげに微笑んでいた。
「まあ、よい。カトリーヌ殿、遠路はるばるご苦労であった」
「カイザー王。力の差、というものを理解していないようだから、今、見せるわ」
「なに!?」
カトリーヌの手元から発射されたと思われるレーザービームが玉座の右後ろに飾ってある甲冑の額部分にきれいな穴をあけた。驚いたことに甲冑はピクリとも動いていない。
「私はいつでもあなたを殺せるの」
参列していた大臣から怒号が飛ぶ。
「無礼もの」
「王の御膳でなんたる所業」
「カトリーヌ侯爵、どういうつもりだ」
カトリーヌがかかとを思いっきり床にたたきつけた。
ドゴーンという豪快な音が鳴り響き、床にヒールが突き刺さっていた。
大臣たちが一斉に押し黙る。
「うるさい人はこの床と同じ運命をたどるわよっ」
カイザー王が大臣たちに黙っておれ、と声をかけた後、カトリーヌに向き直り、眼光鋭く、言葉を発した。
「カトリーヌ何が言いたい?」
「カイザー王、我らリンズに手出しは無用よ。謁見だの、呼びつけるだの、勘違いは今日で終わりにしてね。さもなくば、国を滅ぼすわよ」
「カトリーヌ、お久しぶりね。そんなにすごまなくても、手出しはしないわよ。ねえ、王様」
やんわりとしたあたたかな声色で王妃マリアンヌがカトリーヌに語りかけた。
カトリーヌは昔からこの王妃が苦手だ。カトリーヌはむっとして黙り込んだ。
カイザー王がマリアンヌを一瞥してから、カトリーヌに話しかける。
「そうだな。確かに少し貴殿たちの力を誤解していたようだ。非礼を詫びよう」
王の謝罪を見て、大臣たちがざわついた。
そんな大臣たちを目で威圧し、カイザーは続ける。
「カトリーヌ。貴殿たちとは友好な関係にありたい。貴殿たちの国内での行動を阻害する行為は一切行わない。国内すべての関所はフリーパスとし、全ての公共施設において、VIP待遇を提供したい。如何だろうか」
「ご配慮に感謝するわ。手出ししなければ、何もしないわ。では、帰るわね」
そう言い残して、カトリーヌは謁見の間を立ち去った。
大臣からロミエール侯爵に矢のような非難が集中する。
王は先ほどの魔法の威力を思い出していた。
「おい、そこまでにしろ」
大臣達が押し黙る。ロミエール侯爵は額からの汗が止まらないようだ。何度もハンカチで顔を拭いている。
「宰相、カトリーヌは確か失魔症ではなかったか?」
「はい、10歳のときにそう診断され、旅に出ておりましたが、先日完治したと手紙があり、家に戻って参りました」
「以前と変わったか?」
「はい。別人のようです」
「さっきの魔法は?」
「私は外であの魔法をみました。レーザービームは数百メートルもの射程があり、通過点にあったものは鉄であろうとなんであろうと穴が開いてました。それから、ヒールが床に突き刺さってましたが、あの怪力は重量魔法だそうです」
「重力魔法?」
「ものを重たくしたり、軽くしたりする魔法です。それを用いることで、厚さ30センチはある鉄の扉を片手で持ち歩き、回し蹴りで吹っ飛ばしていました」
「取り込めるような力ではないな」
「はい。話によるとリンリンというリーダは男性で、配下のメンバー11人はすべて女性で、10人が彼の妻、1人が婚約者とのことです。リンリンは女たちの心をがっちりと掴んでおり、最近妻になってリンズには加入していない1人を加え、合計12人の女性たちは、同じ男性を愛するものとして、固い絆で結ばれているそうです。カトリーヌも妻の1人ですが、結婚できたことを非常に幸せに感じているようです」
妻たちが足を引っ張りあっているカイザーとはえらい違いだ。
案の定、マリアンヌから突っ込みが入った。
「そうなのね。王様、リンリンさんを見習ってくださいな」
「マリアンヌ。カトリーヌとは知己のようだが」
「従妹です。私の母は彼女の母の姉ですのよ。リンリンさん、会ってみたいわ」
「リンズを敵に回すのは得策ではない。あの様子では他国に取り込まれることもあるまい。徹底的に友好関係を維持するようにしろ。いいな」
「「「御意」」」
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