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伯爵家の秘密
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「坊ちゃん、カトリーヌは王の側室でやす。マリアンヌ嬢ちゃんは王の実の娘で、リリアさまの腹違いの妹で、坊ちゃんとは血縁関係はないでやす」
「なんですって? どういうことです?」
「王はカトリーヌのことが忘れられず、家臣のいうことを聞いたようなふりをして、カトリーヌと画策し、伯爵に嫁がせる形にして、実際には自分の女として囲うことにしたらしいでやす。旦那様は結婚式でカトリーヌから計画を聞かされ、カトリーヌとは一度も寝所を同じくしたことはないそうでやす」
「あれ? ってことは、第六皇子って」
「そうでやす。腹違いの兄になりやす。どうも王妃に勘繰られていたようで、疑いを晴らすための狂言でやす。最終的には婚約破棄に持っていくそうでやす」
「マリアンヌはそのことを知っているのでしょうか」
「はい、知っているようですが、知ったのは坊ちゃんの島流しが決まったときのようです」
そうか。別れ際にあんなことを言ったのは、本当の兄ではないと知ったからなのか。
「当時の王は、まだ王位に就いたばかりで、家臣のいうことを聞かざるを得なかったようでやす。でも、今は王位も安定しやしたので、動いたそうです」
「なるほど」
「本当は坊ちゃんとローズではなく、旦那様とローズを島流しにする予定だったそうでやす」
「え?」
「リリア王女でやす。坊ちゃんと婚約したいとずっと王と王妃に懇願していたそうでやす」
「そうなんですか?」
「はい。坊ちゃん、気づいてないんですかい? リリア王女は坊ちゃんのことが大好きですぜ。誰が見ても明らかなのに、坊ちゃんだけ気づいていやせん。坊ちゃんはいろいろなことを知っていて、とても賢いのに、こと恋愛だけはさっぱりでやすね」
「全然気づかなかったです。そういえば、エリカさんになんでわからないの、とげんこつされたことがありましたが、そういう意味だったんですね」
「坊ちゃん、エリカも坊ちゃんのことが好きなんでやすが・・・」
「え? エリカさんもですか!?」
「私から聞いたってのは言わないで下せえ。結婚する前にエリカに殺されてしまいやす」
「なんか、俺って、モテるんですか?」
「もう1人、アラさんも坊ちゃんを狙ってやすぜ。なんかちょっと違う感じで狙ってやすが」
いやはや、びっくりだ。前世ではまったくモテなかった俺が、なぜ? あっ、リトマス紙? いや、違う、王女様とはリトマス紙をもらう前からだ。
「よくわからないです」
「まあ、まだ12歳でやすから、焦らず、じっくり考えればいいと思いやす。で、話を戻しますが、最初はリリア王女が坊ちゃんと結婚する方向で、王室は考えていたそうなんでやす」
「そういえば、カトリーヌが俺のことは我慢すると言ってました」
「ところが、王女様に聖女の適性があり、それも非常に高い適性があることがわかり、王は国としての利益を考え、リリア王女を聖女に推すことにしたんです。リリア王女は何年も泣いて暮らしたそうでやすよ。坊ちゃんのことが本当に好きなんでやすね」
全く知らなかった。進んで聖女になったとばかり思っていた。
「坊ちゃんがリリア王女を避けるようになり、王女は聖女になることを決心したそうでやす。なんで避けたんでやすか?」
「あ、女性らしくなったので、女性恐怖症が出てしまって、会うことができなくなったんです」
「そうでやすか。いったんあきらめた坊ちゃんが島にいて、リリア王女は聖女でも坊ちゃんといっしょになれるのではと希望を持ったと思いやすよ。リューシュさんと坊ちゃんの関係を見れば、聖女が結婚しても問題ないとあっしも思いやす」
「そんなに俺のことを」
「それで、王にもカトリーヌにも、リリア王女との結婚がなくなった坊ちゃんは用済みになりやした。で、まずは坊ちゃんとローズを追放というか、殺害することにしたわけでやす。まあ、今こうして生きておられやすので、失敗したわけでやすが」
「って、ことは父は、いずれ殺されるのでしょうか」
「ええ、間違いなく殺されます。なんだかんだ理由をつけられ、家ごと潰されると思いやすよ。旦那様も坊ちゃまたちが島流しになったとき、次は自分だと思ったようです。今は逃亡中でやすよ。城には戻っていやせん」
「いやあ、なんかいろいろあって、びっくりです。父はマイクおじさんが店を経営していることは知っているんですか?」
「いいえ、ご存知ないでやす。坊ちゃんを船で島まで送ったことを報告して以来、旦那様とは会っておりやせん。今話した内容は、組織の調査とひかるの証言からでやす。坊ちゃま、どうしやす?」
「そうですね・・・。父に会いましょう」
「なんですって? どういうことです?」
「王はカトリーヌのことが忘れられず、家臣のいうことを聞いたようなふりをして、カトリーヌと画策し、伯爵に嫁がせる形にして、実際には自分の女として囲うことにしたらしいでやす。旦那様は結婚式でカトリーヌから計画を聞かされ、カトリーヌとは一度も寝所を同じくしたことはないそうでやす」
「あれ? ってことは、第六皇子って」
「そうでやす。腹違いの兄になりやす。どうも王妃に勘繰られていたようで、疑いを晴らすための狂言でやす。最終的には婚約破棄に持っていくそうでやす」
「マリアンヌはそのことを知っているのでしょうか」
「はい、知っているようですが、知ったのは坊ちゃんの島流しが決まったときのようです」
そうか。別れ際にあんなことを言ったのは、本当の兄ではないと知ったからなのか。
「当時の王は、まだ王位に就いたばかりで、家臣のいうことを聞かざるを得なかったようでやす。でも、今は王位も安定しやしたので、動いたそうです」
「なるほど」
「本当は坊ちゃんとローズではなく、旦那様とローズを島流しにする予定だったそうでやす」
「え?」
「リリア王女でやす。坊ちゃんと婚約したいとずっと王と王妃に懇願していたそうでやす」
「そうなんですか?」
「はい。坊ちゃん、気づいてないんですかい? リリア王女は坊ちゃんのことが大好きですぜ。誰が見ても明らかなのに、坊ちゃんだけ気づいていやせん。坊ちゃんはいろいろなことを知っていて、とても賢いのに、こと恋愛だけはさっぱりでやすね」
「全然気づかなかったです。そういえば、エリカさんになんでわからないの、とげんこつされたことがありましたが、そういう意味だったんですね」
「坊ちゃん、エリカも坊ちゃんのことが好きなんでやすが・・・」
「え? エリカさんもですか!?」
「私から聞いたってのは言わないで下せえ。結婚する前にエリカに殺されてしまいやす」
「なんか、俺って、モテるんですか?」
「もう1人、アラさんも坊ちゃんを狙ってやすぜ。なんかちょっと違う感じで狙ってやすが」
いやはや、びっくりだ。前世ではまったくモテなかった俺が、なぜ? あっ、リトマス紙? いや、違う、王女様とはリトマス紙をもらう前からだ。
「よくわからないです」
「まあ、まだ12歳でやすから、焦らず、じっくり考えればいいと思いやす。で、話を戻しますが、最初はリリア王女が坊ちゃんと結婚する方向で、王室は考えていたそうなんでやす」
「そういえば、カトリーヌが俺のことは我慢すると言ってました」
「ところが、王女様に聖女の適性があり、それも非常に高い適性があることがわかり、王は国としての利益を考え、リリア王女を聖女に推すことにしたんです。リリア王女は何年も泣いて暮らしたそうでやすよ。坊ちゃんのことが本当に好きなんでやすね」
全く知らなかった。進んで聖女になったとばかり思っていた。
「坊ちゃんがリリア王女を避けるようになり、王女は聖女になることを決心したそうでやす。なんで避けたんでやすか?」
「あ、女性らしくなったので、女性恐怖症が出てしまって、会うことができなくなったんです」
「そうでやすか。いったんあきらめた坊ちゃんが島にいて、リリア王女は聖女でも坊ちゃんといっしょになれるのではと希望を持ったと思いやすよ。リューシュさんと坊ちゃんの関係を見れば、聖女が結婚しても問題ないとあっしも思いやす」
「そんなに俺のことを」
「それで、王にもカトリーヌにも、リリア王女との結婚がなくなった坊ちゃんは用済みになりやした。で、まずは坊ちゃんとローズを追放というか、殺害することにしたわけでやす。まあ、今こうして生きておられやすので、失敗したわけでやすが」
「って、ことは父は、いずれ殺されるのでしょうか」
「ええ、間違いなく殺されます。なんだかんだ理由をつけられ、家ごと潰されると思いやすよ。旦那様も坊ちゃまたちが島流しになったとき、次は自分だと思ったようです。今は逃亡中でやすよ。城には戻っていやせん」
「いやあ、なんかいろいろあって、びっくりです。父はマイクおじさんが店を経営していることは知っているんですか?」
「いいえ、ご存知ないでやす。坊ちゃんを船で島まで送ったことを報告して以来、旦那様とは会っておりやせん。今話した内容は、組織の調査とひかるの証言からでやす。坊ちゃま、どうしやす?」
「そうですね・・・。父に会いましょう」
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