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第一章 追放
監禁される
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火事から一週間が経った。
私は両親の突然の死のショックから立ち直れないでいた。自分がこんなに脆いとは思ってもいなかった。
不思議なことに誰も見舞いに来ないのだが、誰とも会いたくなかったので、かえって都合がよかった。
唯一ローズがいろいろと力づけてくれるが、今の私には誰の言葉も届かない感じだった。
公爵家の不審火ということで、火事の原因を王室が調査することになり、何人もの調査員が派遣されて来ていた。
私は今日も焼け跡の前で、王室の調査員たちが動いているのをぼうっと眺めていた。
「失火の原因はグレースお嬢様の魔法の残り火でした」
声の主は調査隊の責任者のリチャードだ。私と少し離れていたところにいたエカテリーナに報告をしている。
(え? 何を言っているの?)
私は耳を疑った。
「それは本当ですか!?」
エカテリーナがリチャードに何度も確認している。
「ええ、複数のメイドから証言をもらっています」
エカテリーナが私をものすごい形相で睨んだ。エカテリーナはかなりのブラコンで、お父様を敬愛し、彼女から兄を奪ったお母様を嫌っていた。私は容姿がお母様似で、幼少のころから彼女からあまり良くは思われていないことは何となく感じていた。
「グレース! なんてことをしてくれたの。私の大切な兄さまは、お前が殺したのよっ」
エカテリーナが狂気の顔で私に迫って来た。
(ち、違う)
私はここ数日、両親の死のショックでまともに話せなくなっていた。
「エカテリーナ、そんなはずないじゃない。グレースはあなたと同じ離れで生活しているし、魔法の練習は私と一緒に訓練場でしか行っていないわ」
最近はいつも私の横にいてくれる教育係のローズが、私の気持ちを代弁してくれた。彼女は伯爵家の四女で、エカテリーナとは旧友で、同じ未亡人ということもあり、仲が良かった。
「ローズ様はグレース様に有利な証言をする立場におられますので、証言は無効とさせていただきました」
リチャードが妙な理屈をこねている。どうやら彼は、失火の原因を私の責任にしたいようだ。
「証拠隠滅される恐れがありますので、グレース様をしばらく地下牢に監禁いたします」
リチャードがとんでもないことを言い出している。
(なんですって!?)
私はローズに何とかしてほしいと目で訴えた。
「ちょっとおかしくない? 公爵家の第一継承権を持つお嬢様を監禁するなんて正気とは思えないわ。そもそも、証言しているメイドたちって誰なの?」
ローズの言う通りだ。そもそも私が今はリッチモンド家の主のはずで、エカテリーナではなく、私に調査結果を報告すべきだ。
しかし、リチャードはローズの主張を受け付けない。
「証人の安全のため、名は伏せております。ローズ様、これ以上捜査の邪魔をされるようでしたら、あなたも監禁しますよ」
ローズはリチャードに向かって一歩前に出た。
「監禁してもらおうじゃないのっ」
さらに詰め寄るローズをエカテリーナが止めた。
「ローズ、冷静になって」
「エカテリーナ、グレースお嬢様が母屋で魔法を使うはずがないことは、あなたも知っているでしょう」
「そうだけど、娘たちが、グレースが母屋で魔法を使っているところを見たっていうのよ」
(え? アニーとテイルが? なんでそんな嘘を……)
私はローズを見つめて、やっていないという意味で首を横に振った。
「ちょっと、あなたたちなんでそんな嘘をっ」
ローズがアニーとテイルに詰め寄るが、エカテリーナが娘たちに部屋に戻るように言って、彼女たちは部屋に戻って行ってしまった。
「セバスチャン、グレースを牢に入れて」
エカテリーナの命令にセバスチャンが私の腕を掴む。
(い、痛いっ)
私は引きずられるようにして、セバスチャンに連れられて行く。セバスチャンの顔は怒りに染まっていた。完全に私が犯人だと思っているようだ。主は私なのにエカテリーナの命を聞くなんで、頭がおかしいとしか思えない。
「ちょっと、エカテリーナっ」
ローズがなおもエカテリーナに食い下がっている。
「ローズ、これはリッチモンド家の問題よ。口を挟まないで頂戴」
こうして、私は地下牢に監禁されることになった。
私は、誰とも面会を許されず、お風呂にも入れず、着替えも渡されない状態で、地下牢に監禁された。そして、二週間後の私の16歳の誕生日に、ようやく牢から出された。
私は両親の突然の死のショックから立ち直れないでいた。自分がこんなに脆いとは思ってもいなかった。
不思議なことに誰も見舞いに来ないのだが、誰とも会いたくなかったので、かえって都合がよかった。
唯一ローズがいろいろと力づけてくれるが、今の私には誰の言葉も届かない感じだった。
公爵家の不審火ということで、火事の原因を王室が調査することになり、何人もの調査員が派遣されて来ていた。
私は今日も焼け跡の前で、王室の調査員たちが動いているのをぼうっと眺めていた。
「失火の原因はグレースお嬢様の魔法の残り火でした」
声の主は調査隊の責任者のリチャードだ。私と少し離れていたところにいたエカテリーナに報告をしている。
(え? 何を言っているの?)
私は耳を疑った。
「それは本当ですか!?」
エカテリーナがリチャードに何度も確認している。
「ええ、複数のメイドから証言をもらっています」
エカテリーナが私をものすごい形相で睨んだ。エカテリーナはかなりのブラコンで、お父様を敬愛し、彼女から兄を奪ったお母様を嫌っていた。私は容姿がお母様似で、幼少のころから彼女からあまり良くは思われていないことは何となく感じていた。
「グレース! なんてことをしてくれたの。私の大切な兄さまは、お前が殺したのよっ」
エカテリーナが狂気の顔で私に迫って来た。
(ち、違う)
私はここ数日、両親の死のショックでまともに話せなくなっていた。
「エカテリーナ、そんなはずないじゃない。グレースはあなたと同じ離れで生活しているし、魔法の練習は私と一緒に訓練場でしか行っていないわ」
最近はいつも私の横にいてくれる教育係のローズが、私の気持ちを代弁してくれた。彼女は伯爵家の四女で、エカテリーナとは旧友で、同じ未亡人ということもあり、仲が良かった。
「ローズ様はグレース様に有利な証言をする立場におられますので、証言は無効とさせていただきました」
リチャードが妙な理屈をこねている。どうやら彼は、失火の原因を私の責任にしたいようだ。
「証拠隠滅される恐れがありますので、グレース様をしばらく地下牢に監禁いたします」
リチャードがとんでもないことを言い出している。
(なんですって!?)
私はローズに何とかしてほしいと目で訴えた。
「ちょっとおかしくない? 公爵家の第一継承権を持つお嬢様を監禁するなんて正気とは思えないわ。そもそも、証言しているメイドたちって誰なの?」
ローズの言う通りだ。そもそも私が今はリッチモンド家の主のはずで、エカテリーナではなく、私に調査結果を報告すべきだ。
しかし、リチャードはローズの主張を受け付けない。
「証人の安全のため、名は伏せております。ローズ様、これ以上捜査の邪魔をされるようでしたら、あなたも監禁しますよ」
ローズはリチャードに向かって一歩前に出た。
「監禁してもらおうじゃないのっ」
さらに詰め寄るローズをエカテリーナが止めた。
「ローズ、冷静になって」
「エカテリーナ、グレースお嬢様が母屋で魔法を使うはずがないことは、あなたも知っているでしょう」
「そうだけど、娘たちが、グレースが母屋で魔法を使っているところを見たっていうのよ」
(え? アニーとテイルが? なんでそんな嘘を……)
私はローズを見つめて、やっていないという意味で首を横に振った。
「ちょっと、あなたたちなんでそんな嘘をっ」
ローズがアニーとテイルに詰め寄るが、エカテリーナが娘たちに部屋に戻るように言って、彼女たちは部屋に戻って行ってしまった。
「セバスチャン、グレースを牢に入れて」
エカテリーナの命令にセバスチャンが私の腕を掴む。
(い、痛いっ)
私は引きずられるようにして、セバスチャンに連れられて行く。セバスチャンの顔は怒りに染まっていた。完全に私が犯人だと思っているようだ。主は私なのにエカテリーナの命を聞くなんで、頭がおかしいとしか思えない。
「ちょっと、エカテリーナっ」
ローズがなおもエカテリーナに食い下がっている。
「ローズ、これはリッチモンド家の問題よ。口を挟まないで頂戴」
こうして、私は地下牢に監禁されることになった。
私は、誰とも面会を許されず、お風呂にも入れず、着替えも渡されない状態で、地下牢に監禁された。そして、二週間後の私の16歳の誕生日に、ようやく牢から出された。
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