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第一章 人族の国
カトリーヌの視点:ノウキ・マモル
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ノウキの話の内容はこうだ。
彼には生まれながらのスキルがある。一言で言うと、部下が絶対に彼の命令を守るというスキルだ。
そんなスキルは聞いたことがないが、目の前の訓練の内容を見る限り、そういった規格外のスキルの存在を認めざるを得ない。それほどまでに目の前の風景は異常だ。
ただ、その対象がノウキが美しいと判断した女性に限られる、というところが胡散臭い。
だが、証人として呼ばれたリリアナというメイド長によると、今いる20名はノウキが選んで訓練をさせているのではなく、最初に訓練を一週間行った後に残っている20名が、引き続き訓練を受けているのだという。
わかった。いったんは信用しよう。それにしても、このトレーニングメニューはえげつない。一人一人メニューが微調整されているが、ギリギリ体を壊さない最大値を引き出すように綿密に設定されている。
一人訓練中の女性を呼んで、トレーニングの内容を聞いてみたところ、日々の体調や訓練の達成状況など毎朝アンケートがあり、それによってトレーニングメニューが変わるとのことで、今まで一度も同じメニューになったことはないという。
毎日精魂尽き果てます、と笑顔で語るので、なぜそんなに頑張れるんだと確認したら、「ノウキの命令だから」の一言だった。ノウキの命令を守ることに生きがいを感じるらしい。
「ノウキ、このメニューはあなたの考案なの?」
ノウキが考案したのだとしたら、女性の体を知り尽くしている。エロガキ再認定だ。
「いいえ、僕ではありません。マリエールさんです。僕もこの後、彼女から訓練を受けます」
そうだった。聖女様がノウキの時空魔法のトレーニングのために、毎日訪ねて来ているとエリザベート嬢が話していた。
聖女様は魔法の天才と言われ、聖女にまで昇りつめた方だが、魔法に天才は存在しない。絶え間ない努力を続けているものだけが、魔法使いの頂点にいられるのだ。
そうか、聖女様の指導か。それであれば、女性の体を熟知したメニューを作ることができるのも頷ける。アンケートを見たが、生理中の症状の詳細も記載するようになっている。
聖女様がアンケートを毎日確認して、トレーニングをアレンジして、一人一人に伝えるのだそうだ。
その後、聖女様といっしょに行っているというノウキ自身のトレーニングを見学させてもらったが、すごい、の一言だった。
メイドメイジたちのトレーニングの数倍の密度だ。あとで聖女様に聞いたところ、なんと聖女様と同じ訓練メニューを毎日こなしているという。
「え? 私にできるのだから、殿方にできるのは当たり前ですわよ」
そうだった。聖女様はとんでもなく天然だった。私はノウキに心の底から同情した。
「ノウキ、あなたがこなしているメニューは、この国の魔法使いの頂点に立つお方の日々の訓練メニューみたいよ。あなた、信じられない精神力と体力を持っているわね」
「そうなんですか。きついとは思いましたが、まさかそんなメニューだったとは。僕、強くなっちゃいますね」
そう言って、ノウキは心の底から嬉しそうな顔をした。
私はノウキをメイドメイジ部隊ごと召し抱えることにした。
早速、王都に帰り、ローズ様にご報告せねば。
彼には生まれながらのスキルがある。一言で言うと、部下が絶対に彼の命令を守るというスキルだ。
そんなスキルは聞いたことがないが、目の前の訓練の内容を見る限り、そういった規格外のスキルの存在を認めざるを得ない。それほどまでに目の前の風景は異常だ。
ただ、その対象がノウキが美しいと判断した女性に限られる、というところが胡散臭い。
だが、証人として呼ばれたリリアナというメイド長によると、今いる20名はノウキが選んで訓練をさせているのではなく、最初に訓練を一週間行った後に残っている20名が、引き続き訓練を受けているのだという。
わかった。いったんは信用しよう。それにしても、このトレーニングメニューはえげつない。一人一人メニューが微調整されているが、ギリギリ体を壊さない最大値を引き出すように綿密に設定されている。
一人訓練中の女性を呼んで、トレーニングの内容を聞いてみたところ、日々の体調や訓練の達成状況など毎朝アンケートがあり、それによってトレーニングメニューが変わるとのことで、今まで一度も同じメニューになったことはないという。
毎日精魂尽き果てます、と笑顔で語るので、なぜそんなに頑張れるんだと確認したら、「ノウキの命令だから」の一言だった。ノウキの命令を守ることに生きがいを感じるらしい。
「ノウキ、このメニューはあなたの考案なの?」
ノウキが考案したのだとしたら、女性の体を知り尽くしている。エロガキ再認定だ。
「いいえ、僕ではありません。マリエールさんです。僕もこの後、彼女から訓練を受けます」
そうだった。聖女様がノウキの時空魔法のトレーニングのために、毎日訪ねて来ているとエリザベート嬢が話していた。
聖女様は魔法の天才と言われ、聖女にまで昇りつめた方だが、魔法に天才は存在しない。絶え間ない努力を続けているものだけが、魔法使いの頂点にいられるのだ。
そうか、聖女様の指導か。それであれば、女性の体を熟知したメニューを作ることができるのも頷ける。アンケートを見たが、生理中の症状の詳細も記載するようになっている。
聖女様がアンケートを毎日確認して、トレーニングをアレンジして、一人一人に伝えるのだそうだ。
その後、聖女様といっしょに行っているというノウキ自身のトレーニングを見学させてもらったが、すごい、の一言だった。
メイドメイジたちのトレーニングの数倍の密度だ。あとで聖女様に聞いたところ、なんと聖女様と同じ訓練メニューを毎日こなしているという。
「え? 私にできるのだから、殿方にできるのは当たり前ですわよ」
そうだった。聖女様はとんでもなく天然だった。私はノウキに心の底から同情した。
「ノウキ、あなたがこなしているメニューは、この国の魔法使いの頂点に立つお方の日々の訓練メニューみたいよ。あなた、信じられない精神力と体力を持っているわね」
「そうなんですか。きついとは思いましたが、まさかそんなメニューだったとは。僕、強くなっちゃいますね」
そう言って、ノウキは心の底から嬉しそうな顔をした。
私はノウキをメイドメイジ部隊ごと召し抱えることにした。
早速、王都に帰り、ローズ様にご報告せねば。
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