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第一章 人族の国

親衛隊の出立

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王都に戻ったカトリーヌはローズに報告を行った。

ノウキ・マモルは傑出した人物であり、第一軍に彼の私的魔法使い部隊とともに編入をしたとの報告だ。

ローズは40歳だが、マリエール、エリザベートの母だと納得できる美貌であった。

「カトリーヌがそこまで褒めるとは珍しいわね。マリは本当に神託を受けたのかしら」

ローズとカトリーヌは、メイデン家本邸に用意されているローズの執務室で話をしていた。

「聖女様はあのご性格ですので、嘘は話されないかと思います」

ローズは娘のおっとりとした顔を思い出した。

「そうよね。あのおめでたい性格ですものね。エリザの様子はどうだった?」

「エリザベート嬢はノウキのことを好いているようでした」

カトリーヌはエリザベートがノウキのことをかなり意識していることに気づいていた。というか、気づかない方がおかしい。何かとノウキのところに行きたがるし、ノウキと会いに行くときの身支度にはかなりの時間をかけていた。

また、姉大好きのエリザベートが、ノウキがマリエールと話しているときに、姉ではなく、ノウキを目で追っていた。

ああ、乙女心ねえ、とカトリーヌはそんなエリザベートをみて、甘酸っぱい気持ちになっていたのであった。

「あの男嫌いのエリザが珍しいわね。ところで、そのノウキの私的魔法使い部隊って何なの?」

「見目麗しい女性20名の魔法使いの部隊です」

「ノウキってのはそういう趣味の男なの?」

「いいえ、彼のスキルがそういうスキルなのです」

カトリーヌはノウキのスキルを説明した。

「へえ、変わったスキルね。でも、もし、それが本当だとしたら、親衛隊を彼の配下にして、魔法の訓練をお願いしてもいいかもね」

「ローズ様の親衛隊ですか?」

「そうよ。容姿は問題ない隊員が多いはずよ」

確かにローズの親衛隊は才色兼備の女性が多い。

「20名ほど選抜して、ノウキのところに送ってくれるかしら」

「かしこまりました。それともう一つご報告が」

「なにかしら」

「ノウキですが、彼の発想する料理がとてもおいしいのです!!」

「どういうこと?」

「私が食べたのはハンバーグ、スパゲッティナポリタン、それと試作中というしゃぶしゃぶと生姜焼きでしたが、もうそれはそれは美味でして、できればあのまま滞在したかったほどです」

「なんですって!?」

「20名を送るときにローズ様も一緒にいかれては、いかがでしょうか」

「そ、そうよね。ノウキが頭角を現してから会う、なんて言ってしまったけど、私が娘に会いに行くだけよね」

「はい、そのとおりでございます。それで、お願いがあるのです」

「わかっているわよ。あなたを護衛に指名するわよ」

こうしてローズ、カトリーヌが20名の美女をつれて、伯爵家の別邸に行くことになった。

ローズは決めるのも早いが、決めてからの動きも早い。

すぐに20名を選抜し、旅支度を命じた。馬車の手配も命じて、翌朝には22名で王都を出立したのである。
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