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貴族のミゲルと奴隷のヒサコ
「か、可愛がってくださいませ……」
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カリカリと契約書の必要事項に記入をし最後にヒールの効果がついているナイフで親指を切り少量の血が出たことを確認すると書類と特別な魔道具の核となる魔石に指を押しつける。するとそれらは赤く光り一瞬部屋全体を照らした。
「これでヒサコと私共商会との契約は切れ、ミゲルさまとの仮契約が発生しました。あとはミゲルさまがヒサコに魔石と魔力を変化させた首輪をつければほぼ本契約となります」
ディランはにこにこと契約書を確認してから巻き取り部下が用意した箱にその契約書を入れながら言った。
今はヒサコの首に首輪は無い。ディランの店との契約が切れたからだ。そこに俺が血をつけた魔石と魔力、それから少しの呪物と補助魔法で作った首輪をつける。
赤く染められた厚い皮でできたベルトの首輪には小さな銀色のプレートが付いていてそこに我が家の紋章とヒサコの名前が書かれている。
首輪は魔法で作ったため多少の伸縮が可能で首が苦しくてたまらないなんてことがない優れものだ。
「さて。これで契約が完了するはず………が、特に変わった様子がないように思うがこれはどういうことだ?」
俺は奴隷を買うのは今回がはじめてで本契約の時にも先ほどの契約書の時のように光ったりするものと思っていたがそうではないのだろうか?
「はい。これで本契約はほぼ終了です。後はヒサコが一人以上の見届け人の前で…ああ。見届け人は私が致しますのでご安心を。ミゲルさまに仕えると宣言すれば双方に契約の印が浮き上がりそれを持って本契約の開始となります」
「なるほど……ではヒサコ。宣言を許す」
俺は『最初からそう言えよ!』なんておくびにも出さずヒサコに向き合いそう言うとヒサコはゆっくりと両膝をついてから指を組み宣言した。
「私、ヒサコ・オオミヤはミゲル・アフデッシュ・フォン・ヌルフィさまにお仕え致します……」
ヒサコがそう言い終わると俺達の間に先ほどの赤い光が出現し今度はお互いの体の中に入っていった。
特に体が熱くなるとかそういうことはなく代わりに右手の人差し指に赤い指輪のような痣が浮き出た。
俺の人差し指には上下に1本づつ線がありその中に三角が並んでいるようなものが浮かび上がり、ヒサコの人差し指には赤い蔦が指輪のように巻きつくような形で浮かび上がっていた。
◆◆◆
「ミゲルさま……今日からよろしくお願いいたします……誠心誠意お仕えしますので……か、可愛がってくださいませ……」
契約も済み代金を払い奴隷市場の敷地から出るとヒサコはそう言って頭を下げた。なかなか出来た奴隷じゃないか。しかし頭を下げたことで珍しい髪色を隠すためのかつらがずれてるぞ。
それにしてもこれはディランの所で仕込まれたのかそれとも俺に媚を売っておこうという計算なのか。
しかし今はどちらにしてもとても気分が良かった。あの幻のような人種が俺に頭を垂れているのだからな!
「ヒサコ。今の俺は気分が良い。このまま下町で好きなものを買ってやろう。食い物でも服でも装飾品でも何でも買ってやろう」
「え……いいのですか?私、奴隷ですが……」
ヒサコは信じられないものでも見るような眼で俺を見上げている。まあそうだろうな。奴隷にこんなことを言うやつはそうはいない。
「良い。さっきも言っただろう。今、俺は気分が良いんだから水を差すな」
「も、申し訳ありません……っではその……ミゲルさまに選んでいただきたく……」
なんでも欲しいものは特に思いつかないからそれなら主人である俺が選んだものを食べたり身につけたりしたいんだと。こいつはなかなか面白いというかおかしなやつみたいだ。もちろんこれが本心から言っているのならと前提が付くが。
「これでヒサコと私共商会との契約は切れ、ミゲルさまとの仮契約が発生しました。あとはミゲルさまがヒサコに魔石と魔力を変化させた首輪をつければほぼ本契約となります」
ディランはにこにこと契約書を確認してから巻き取り部下が用意した箱にその契約書を入れながら言った。
今はヒサコの首に首輪は無い。ディランの店との契約が切れたからだ。そこに俺が血をつけた魔石と魔力、それから少しの呪物と補助魔法で作った首輪をつける。
赤く染められた厚い皮でできたベルトの首輪には小さな銀色のプレートが付いていてそこに我が家の紋章とヒサコの名前が書かれている。
首輪は魔法で作ったため多少の伸縮が可能で首が苦しくてたまらないなんてことがない優れものだ。
「さて。これで契約が完了するはず………が、特に変わった様子がないように思うがこれはどういうことだ?」
俺は奴隷を買うのは今回がはじめてで本契約の時にも先ほどの契約書の時のように光ったりするものと思っていたがそうではないのだろうか?
「はい。これで本契約はほぼ終了です。後はヒサコが一人以上の見届け人の前で…ああ。見届け人は私が致しますのでご安心を。ミゲルさまに仕えると宣言すれば双方に契約の印が浮き上がりそれを持って本契約の開始となります」
「なるほど……ではヒサコ。宣言を許す」
俺は『最初からそう言えよ!』なんておくびにも出さずヒサコに向き合いそう言うとヒサコはゆっくりと両膝をついてから指を組み宣言した。
「私、ヒサコ・オオミヤはミゲル・アフデッシュ・フォン・ヌルフィさまにお仕え致します……」
ヒサコがそう言い終わると俺達の間に先ほどの赤い光が出現し今度はお互いの体の中に入っていった。
特に体が熱くなるとかそういうことはなく代わりに右手の人差し指に赤い指輪のような痣が浮き出た。
俺の人差し指には上下に1本づつ線がありその中に三角が並んでいるようなものが浮かび上がり、ヒサコの人差し指には赤い蔦が指輪のように巻きつくような形で浮かび上がっていた。
◆◆◆
「ミゲルさま……今日からよろしくお願いいたします……誠心誠意お仕えしますので……か、可愛がってくださいませ……」
契約も済み代金を払い奴隷市場の敷地から出るとヒサコはそう言って頭を下げた。なかなか出来た奴隷じゃないか。しかし頭を下げたことで珍しい髪色を隠すためのかつらがずれてるぞ。
それにしてもこれはディランの所で仕込まれたのかそれとも俺に媚を売っておこうという計算なのか。
しかし今はどちらにしてもとても気分が良かった。あの幻のような人種が俺に頭を垂れているのだからな!
「ヒサコ。今の俺は気分が良い。このまま下町で好きなものを買ってやろう。食い物でも服でも装飾品でも何でも買ってやろう」
「え……いいのですか?私、奴隷ですが……」
ヒサコは信じられないものでも見るような眼で俺を見上げている。まあそうだろうな。奴隷にこんなことを言うやつはそうはいない。
「良い。さっきも言っただろう。今、俺は気分が良いんだから水を差すな」
「も、申し訳ありません……っではその……ミゲルさまに選んでいただきたく……」
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