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番外編 バレンタインですのよ!②
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抱き上げて連れてこられたのは錬金術準備室、ではありませんでしたわ。緊急用に準備されている、学園用の馬車乗り場でした。学園に通っている生徒達は、行き返りにしか馬車を使いません。ですので何か急ぎの要件があった場合、すぐに移動できるよう馬車を学園が管理しているのです。
今回の場合あまり褒められた使用用途ではありませんが、あのまま学園にいても抜け殻のようになったわたくしは何もできなかったでしょう。そういう意味ではジェラルドさまの判断は正しいと言える、のでしょうか?
ジェラルドさまも一緒に帰るのはどうかと思いますが…。でもこうして隣に旦那さまのぬくもりを感じて、安心しているところもあります。
泣いたからでしょうか?程よいぬくもりと安心感で、わたくしの瞼は閉じていったのでした。
目が覚めれば、そこはわたくし達の寝室でした。窓から見える様子を見れば、あれからそう時間は経っていないように思います。
寝室というプライベートな場所に帰ってきたことで、わたくしは安心したのと共に今朝までのあのドキドキ感を思い出しました。そしてその結果も。
あんなに繊細な細工だったチョコレートのバラは、粉々になって、きっと茎すらもぽっきり折れてしまっているでしょう。ずっと握っていたプレゼントの箱を振ったら、そういう音がしますし…。バレンタインのチョコ、どうしましょうか…。
そうしてしょんぼりしていると、寝室のドアが開きジェラルドさまがいらっしゃいました。
「ああ、起きた?気分はどう?今メイドのメリーが、君の好きな紅茶を入れてるけど…飲む?」
ジェラルドさまは学園でのことは、無かったように接してくださいました。でも、わたくし…
「い、いただきますわ…。……ジェラルドさますみません。今日はバレンタインですのに…チョコをお渡しできませんの…」
ぎゅっと角がへこんだ箱を抱きしめて、そう言いました。こんな壊れて姿をとどめていない、ただのチョコレートの破片なんて差し上げられませんわ…。
せっかくのイベント事だというのに、どうしてこうもうまくいかないのでしょうか。また涙が出てしまいそうですの…。
「ねえ、アデリーナちゃん。ずっと抱きしめてるその箱、チョコが入ってるんだよね?俺にくれないの?見た感じちょっと箱がへこんでるけど、もしかして『チョコが割れたから、俺に渡したくない』とかかな?」
ジェラルドさまはまだベッドから降りていないわたくしの隣に腰掛け、そしてつんっとわたくしの腕の中にある箱をつつきました。そこまでわかっているなら察して欲しいのですが。
泣きそうになりながらこくんと頷くと、ジェラルドさまはにこーっと笑ってわたくしの額にちゅっと軽くキスをして、それから割れたチョコのバラが入った箱を取り上げてしまわれたのです。
あっという間のことでしたわ。気が付いたら箱がジェラルドさまの手の中にあるのです。
「ジェラルドさま!だめっ返してくださいっ!そんな壊れてしまったものなんて…!」
「アデリーナちゃん。思い出してごらん?君の夫が何を得意としているのか。それにね、俺はアデリーナちゃんにはずっと笑顔でいて欲しいんだよ」
そう言うとジェラルドさまは止める間もなく、箱を開けてチョコを出してしまったのですわ。
今回の場合あまり褒められた使用用途ではありませんが、あのまま学園にいても抜け殻のようになったわたくしは何もできなかったでしょう。そういう意味ではジェラルドさまの判断は正しいと言える、のでしょうか?
ジェラルドさまも一緒に帰るのはどうかと思いますが…。でもこうして隣に旦那さまのぬくもりを感じて、安心しているところもあります。
泣いたからでしょうか?程よいぬくもりと安心感で、わたくしの瞼は閉じていったのでした。
目が覚めれば、そこはわたくし達の寝室でした。窓から見える様子を見れば、あれからそう時間は経っていないように思います。
寝室というプライベートな場所に帰ってきたことで、わたくしは安心したのと共に今朝までのあのドキドキ感を思い出しました。そしてその結果も。
あんなに繊細な細工だったチョコレートのバラは、粉々になって、きっと茎すらもぽっきり折れてしまっているでしょう。ずっと握っていたプレゼントの箱を振ったら、そういう音がしますし…。バレンタインのチョコ、どうしましょうか…。
そうしてしょんぼりしていると、寝室のドアが開きジェラルドさまがいらっしゃいました。
「ああ、起きた?気分はどう?今メイドのメリーが、君の好きな紅茶を入れてるけど…飲む?」
ジェラルドさまは学園でのことは、無かったように接してくださいました。でも、わたくし…
「い、いただきますわ…。……ジェラルドさますみません。今日はバレンタインですのに…チョコをお渡しできませんの…」
ぎゅっと角がへこんだ箱を抱きしめて、そう言いました。こんな壊れて姿をとどめていない、ただのチョコレートの破片なんて差し上げられませんわ…。
せっかくのイベント事だというのに、どうしてこうもうまくいかないのでしょうか。また涙が出てしまいそうですの…。
「ねえ、アデリーナちゃん。ずっと抱きしめてるその箱、チョコが入ってるんだよね?俺にくれないの?見た感じちょっと箱がへこんでるけど、もしかして『チョコが割れたから、俺に渡したくない』とかかな?」
ジェラルドさまはまだベッドから降りていないわたくしの隣に腰掛け、そしてつんっとわたくしの腕の中にある箱をつつきました。そこまでわかっているなら察して欲しいのですが。
泣きそうになりながらこくんと頷くと、ジェラルドさまはにこーっと笑ってわたくしの額にちゅっと軽くキスをして、それから割れたチョコのバラが入った箱を取り上げてしまわれたのです。
あっという間のことでしたわ。気が付いたら箱がジェラルドさまの手の中にあるのです。
「ジェラルドさま!だめっ返してくださいっ!そんな壊れてしまったものなんて…!」
「アデリーナちゃん。思い出してごらん?君の夫が何を得意としているのか。それにね、俺はアデリーナちゃんにはずっと笑顔でいて欲しいんだよ」
そう言うとジェラルドさまは止める間もなく、箱を開けてチョコを出してしまったのですわ。
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