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第21話 走れメロス3
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図書館に到着した桜児は、初めて入る場所に少し戸惑った。
入り口には大きなモニターと、カウンターに司書さんらしきスタッフが座っている。
モニターには図書館にある部屋の一覧と使用状況が映し出されている。
他にも大まかな地図が隣にある。小説は入り口から入って左に進んだところにあるようだ。
桜児は小説コーナーへと向かうが、走れメロスがどこにあるか見当もつかない。
種類ごとに分けられているようだが、推理小説でも青春ものでもない。
走れメロスは何小説なんだ?マラソン小説?
そんなことを考えながらうろうろしていると、ソファ席に座っている生徒を発見した。
同じクラスではないが、確か同じ1年生の図書委員だったような。。
桜児は自分で探すことを放棄して、自分より図書館に詳しいであろう女生徒に声をかける。
「なぁなぁ、あんた確か図書委員だよな?走れメロスを探してるんだけど、どこにあるか知ってる?」
そう尋ねられた女生徒は、読んでいた本とかけていた眼鏡を外して桜児に目をやる。
「走れメロスはマラソン小説ではないし、ここは時代と作者順に並べられているから、太宰治の作品なら近現代の作品が並べられているところにあるんじゃないかしら。」
「マラソン小説?そんなジャンルがあるのか?」
桜児はさっき自分が頭の中で生み出したジャンルをすっかり忘れていた。
「あなたがさっき言ってたのよ?何も考えずに言葉を発しているのね。それにここは図書館だから静かにしてもらえるかしら?」
女生徒はそう言い放つと、読書に戻った。
桜児は先ほど自分が考えていたことを口でも発していたことを認識した。
ありがとう、と女生徒に感謝を伝えて教えられた近現代のコーナーへと向かう。
「えーと、太宰だからここら辺か?」
近現代コーナーに来た桜児は作者順に並べられた『た』の欄に太宰治を見つける。
その中から走れメロスを見つけたが、いくつものメロスがあって戸惑った。
どれを読んだら良いんだ?とりあえずいくつか手に取り、先ほどの読書スペースに戻る。
席に座り、持ってきたメロスをぱらぱらとめくってみるが、良く分からない。
それもそのはず。桜児は初めて本をきちんと読むのだ。
子供の頃に絵本は読んだことがあるが、それも幼稚園の先生や親に読み聞かせてもらっただけなので、自ら活字を読むことに拒否反応が出てしまう。
そこで桜児はさっき優しく教えてくれた女生徒に聞いてみよう。
すると桜児はメロスを抱えて女生徒の元へと向かう。
4人掛けのソファ席で本を読んでいる女生徒の向かいのソファにドンッ、と腰掛けてメロスをテーブルに置くと、女生徒はびくっと体を震わせて桜児を見やる。
「なぁなぁ、メロスがいっぱいあったんだけど、どれを読んだら良いかなぁ?」
そう言われた女生徒は、はぁと溜息をついて桜児が持ってきたメロスを見る。
「あなたは本とか読んだことないだろうから、この青い鳥文庫のを読んだら良いんじゃないかしら。小学生でも読めるような作品をだしている所だから。」
女生徒が指さした本には、自分でも書けそうなメロスが表紙に書かれていた。
「分かった、ありがとう!」
桜児は言われた本を手に取ると、それをテーブルに置いて残りの本を元の場所に戻しに行く。
しかし、桜児がメロスがあった場所に本を戻しに行くと、そこには少し人だかりができていた。
人だかりを掻き分けてメロスを戻した瞬間に、人だかりから腕が伸びてきてあっという間に桜児が戻したメロスをすぐさま旅立っていった。
桜児がテーブルに戻ると、先ほどの異様な光景をみていた女生徒が尋ねてきた。
「走れメロスって今そんなに人気なの?昔から読まれていているのに。」
そう聞かれた桜児は、丑嶋先生の顔が浮かんだ。
入り口には大きなモニターと、カウンターに司書さんらしきスタッフが座っている。
モニターには図書館にある部屋の一覧と使用状況が映し出されている。
他にも大まかな地図が隣にある。小説は入り口から入って左に進んだところにあるようだ。
桜児は小説コーナーへと向かうが、走れメロスがどこにあるか見当もつかない。
種類ごとに分けられているようだが、推理小説でも青春ものでもない。
走れメロスは何小説なんだ?マラソン小説?
そんなことを考えながらうろうろしていると、ソファ席に座っている生徒を発見した。
同じクラスではないが、確か同じ1年生の図書委員だったような。。
桜児は自分で探すことを放棄して、自分より図書館に詳しいであろう女生徒に声をかける。
「なぁなぁ、あんた確か図書委員だよな?走れメロスを探してるんだけど、どこにあるか知ってる?」
そう尋ねられた女生徒は、読んでいた本とかけていた眼鏡を外して桜児に目をやる。
「走れメロスはマラソン小説ではないし、ここは時代と作者順に並べられているから、太宰治の作品なら近現代の作品が並べられているところにあるんじゃないかしら。」
「マラソン小説?そんなジャンルがあるのか?」
桜児はさっき自分が頭の中で生み出したジャンルをすっかり忘れていた。
「あなたがさっき言ってたのよ?何も考えずに言葉を発しているのね。それにここは図書館だから静かにしてもらえるかしら?」
女生徒はそう言い放つと、読書に戻った。
桜児は先ほど自分が考えていたことを口でも発していたことを認識した。
ありがとう、と女生徒に感謝を伝えて教えられた近現代のコーナーへと向かう。
「えーと、太宰だからここら辺か?」
近現代コーナーに来た桜児は作者順に並べられた『た』の欄に太宰治を見つける。
その中から走れメロスを見つけたが、いくつものメロスがあって戸惑った。
どれを読んだら良いんだ?とりあえずいくつか手に取り、先ほどの読書スペースに戻る。
席に座り、持ってきたメロスをぱらぱらとめくってみるが、良く分からない。
それもそのはず。桜児は初めて本をきちんと読むのだ。
子供の頃に絵本は読んだことがあるが、それも幼稚園の先生や親に読み聞かせてもらっただけなので、自ら活字を読むことに拒否反応が出てしまう。
そこで桜児はさっき優しく教えてくれた女生徒に聞いてみよう。
すると桜児はメロスを抱えて女生徒の元へと向かう。
4人掛けのソファ席で本を読んでいる女生徒の向かいのソファにドンッ、と腰掛けてメロスをテーブルに置くと、女生徒はびくっと体を震わせて桜児を見やる。
「なぁなぁ、メロスがいっぱいあったんだけど、どれを読んだら良いかなぁ?」
そう言われた女生徒は、はぁと溜息をついて桜児が持ってきたメロスを見る。
「あなたは本とか読んだことないだろうから、この青い鳥文庫のを読んだら良いんじゃないかしら。小学生でも読めるような作品をだしている所だから。」
女生徒が指さした本には、自分でも書けそうなメロスが表紙に書かれていた。
「分かった、ありがとう!」
桜児は言われた本を手に取ると、それをテーブルに置いて残りの本を元の場所に戻しに行く。
しかし、桜児がメロスがあった場所に本を戻しに行くと、そこには少し人だかりができていた。
人だかりを掻き分けてメロスを戻した瞬間に、人だかりから腕が伸びてきてあっという間に桜児が戻したメロスをすぐさま旅立っていった。
桜児がテーブルに戻ると、先ほどの異様な光景をみていた女生徒が尋ねてきた。
「走れメロスって今そんなに人気なの?昔から読まれていているのに。」
そう聞かれた桜児は、丑嶋先生の顔が浮かんだ。
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